2020年09月23日

シチリアーノ 裏切りの美学/IL TRADITORE

 マフィア物は特に好きというわけではないんだけど(年々、血で血を洗う感じがしんどくなってきて)、予告で主役がピエルフランチェスコ・ファヴィーノじゃないかと気づいて。 よく知らないんだけど、なんだか好きな俳優さんなのです。

  シチリアーノ裏切りの美学P.jpg 真のプライド。そのために男は命を賭けた――
 1980年代、シチリアではマフィアの全面戦争が激化していた。 パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)は派閥争いの仲介に失敗したためブラジルに居を移して一見静かな生活を送っていた。 が、対立するコルレオーネ派はイタリア国内にいるブシェッタの親族や仲間に報復を繰り返し、ブシェッタ本人もブラジル政府に拘束・拷問の上イタリア政府に引き渡されることに。 マフィア撲滅を目指しているファルコーネ判事(ファウスト・ルッソ・アレジ)との会話に心打たれたブシェッタは、犯罪組織“コーザ・ノストラ”について語る・・・という話。
 現実に起きた出来事・実在の人物を基にしているため、そしてイタリア本国では有名な事件なのでしょう、説明がほとんどない。 字幕で名前と立場など出てくるけど、再登場の際まで覚えてはいられない。 なのに最後まで「?」に支配されることなく見入ってしまう。 なんだろう、勢い? 絵力? ゴージャスさがあるのよね、全体に。

  シチリアーノ裏切りの美学2.jpg ブシェッタ一族のパーティー。
 華やかな場面の裏で殺し合いは進む。 画面左下に数字がどんどんカウントアップされていき、「この数字はなんだ?」と思ったところで、殺された人が何人目の犠牲者なのかわかる、という。 殺された人の字幕が出るところは『仁義なき戦い』みたいです。
 鏡工場(?)で襲撃したりと残酷だけじゃなく鮮烈。 いや、だから余計に残虐なのかな。 R15+も納得。 ブラジル政府、マジか!、など、いろんな意味で唖然とする。

  シチリアーノ裏切りの美学1.jpg ファルコーネ判事が唯一の良心。
 ブシェッタとファルコーネ判事、二人のシーンはそんなに多くないですが、それ故に印象深くて。 ブシェッタが心を開く気持ち、わかる〜。 うーむ、これはほぼ出ずっぱりのピエルフランチェスコ・ファヴィーノが好きだから甘い評価になってしまっているのだろうか。 いや、イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督もきっとブシェッタ本人に魅力を感じたからに違いない。 それにしてもシチリアンマフィアって怖すぎる〜。
 そしてファルコーネ判事への悲劇に至って、「これって、パオロ・ソレンティーノ監督の『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』と同じ事件か!」と気づいた・・・そっちはマフィアを利用していた政治家がメインだけど、抗争は一緒。 だからわからないなりにもついていけたのかな?

  シチリアーノ裏切りの美学3.jpg 「精神病院」と呼ばれた法廷。
 ピエルフランチェスコ・ファヴィーノが石原裕次郎のように見えました・・・(『太陽にほえろ』のボス的な)。
 ガラスケースに入るブシェッタ、彼を「裏切者(原題“IL TRADITORE”)」とののしる大勢の構成員たち。 裁判長もあっけにとられるヤジ合戦だけど、それが成立しちゃう法廷ってなんなの・・・80年代おそるべし。
 カット割りも多く、時間も行ったり来たりするし、説明不足極まれりなんだけど、なんか美しさがある。 2時間半もあるというのに2時間以上あるような気がしなかった!
 誕生日パーティーでカラオケを歌うブシェッタ、やたら歌がうまい(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノも、ブシェッタ本人の映像でも)。 実際はもっといろいろあって、ブシェッタ側のより都合の悪いことは隠されてたりするんだろうけど、「ある勢力を終わらせる覚悟を持った人物」の姿を描こうとしたのだろう。

posted by かしこん at 01:29| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする