2020年09月16日

幸せへのまわり道/A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD

 トム・ハンクスがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた作品、何故か日本では地味な規模で公開・・・。
 マシュー・リスはドラマ『ブラザーズ&シスターズ』で全シーズン(6年ぐらい?)おつきあい、その後イギリスのワイン番組のレギュラーで出たのも2シーズン観てまして、個人的に親しみを感じている役者さんです。

  幸せへのまわり道P.jpg これは、実話に基づいた物語。ひとつの出会いが奇跡を呼び起こす。

 1995年。 ロイド・ヴォーゲル(マシュー・リス)はこれまで記者としていくつも大きなネタをものにしてきたが、気遣いのない取材はかなり反感も生んでいた。 8年前に結婚した妻との間に息子が最近生まれたばかり。 姉の結婚式に出向いたロイドは、そこで長いこと絶縁してきた父親のジェリー(クリス・クーパー)に会ってしまう。 母親と自分たち姉弟を捨てた(その後、母親は病死)ジェリーに対する怒りと憎しみが抑えられないロイド。
 その後、雑誌『エスクァイア』の依頼で、こども番組の司会者としてアメリカ中の人気者であるフレッド・ロジャース(トム・ハンクス)の取材でピッツバーグへ出発する。 フレッドは一筋縄ではいかない不可解な人物で、フレッドのほうもロイドが何か家族の問題を抱えていることに気づく・・・という話。
 フレッド・ロジャースは多くの人に知られた実在の人物ということで、似せにいってるんだろうなぁという気はしたけどご本人を知らないのでなんとも。 こども番組の人気者・・・日本でいうところの“のっぽさん”的な感じ?

  幸せへのまわり道3.jpg 人形はもうひとりの自分。
 フレッド・ロジャースは25年後の今の視点から観てもポリコレ的に正しい言葉を使う人で、それは相手を気遣うからこそ言葉を選ぶ。 無意識にも傷つけぬように。 不特定多数の子供を意識しているからこそ、固定概念や偏見を持ってほしくないという気持ち。 だから子供たちに、かつての子供たちにも好かれ、彼が歌う番組のオープニングテーマは広い世代に愛されているのだろう。
 しかし“聖人”と呼ばれるような人は昔からそうだったわけはなく・・・言葉に尽くせないほどの努力があったのだろうな、と思うと気が遠くなる。 そんな、過去にいろいろありそうな感じをトム・ハンクスが体現。 これまでのどの役とも似てないよ。

  幸せへのまわり道4.jpg クリス・クーパー、なんか雰囲気違ってない?
 詫びを入れに来たけど素直に謝れない父親・・・最初、クリス・クーパーだとわからなくて(ジェフ・ペリー ‐ 『スキャンダル隠された秘密』のサイラス・ビーン役の人かと)。 いや、でもサイラスじゃないなぁ、ハーヴェイ・カイテルっぽく寄せてるの?、とかいろいろ考えてしまい、クリス・クーパーだとわかった時の驚きと言ったら! 単にあたしがぼやっとしているだけなんですが、役者ってすごいわとあらためて感じてしまう。

  幸せへのまわり道1.jpg インタビューが終わっても、ロイドに会いに来るフレッド。
 見方によってはロイドはすごくイヤなヤツなんだけど、父親への怒りが燻ぶって今でもうまく処理できていないことが早い段階でわかるから、彼の子供じみた態度を「わかる」と思ってしまう。 だから慎重なフレッドの言葉を、「心の内を見せない」と感じていらだつ気持ちもわかる。 でもそうじゃないんだよ。 フレッドはロイドを思うから交流を断たないんだし。

  幸せへのまわり道2.jpg 父親の自覚。
 結果だけ見れば「いい話」。 ロイドはフレッドとの関わりを通じてかつての自分を見つめ、受け入れ、父親を許そうとする。 そして自らが父親として生きることを自覚し、行動が変わっていく。 息子を自分のようにしないために。 でもそんなロイドの心の過程がしっかり表現されているため、見ているあたしはものすごく苦しかった。 許すのは相手のためではなく自分のためなんだけど、そんなに早く受け入れないといけないんですか。
 いい話なのに・・・個人的に、結構メンタルに来てしまった。 マシュー・リスって家族に問題がある役が似合うというかうまいから。 漠然とした“ありがち邦題”だけど、これはなかなか忘れられない一本。
 子供番組の背景で使う<おもちゃのまち>の出来が素晴らしく、映画的にもとてもいい効果。 だからメタ要素も普通に理解できちゃうのかなぁ。

posted by かしこん at 15:14| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする