2020年09月09日

ガーンジー島の読書会/メアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズ

 去年公開の映画『ガーンジー島の読書会の秘密』で存在を知る。 映画は時間が合わなくて観に行けなかったんだけど、近々WOWOWにて放送予定なのでそれで観るつもり。 なので原作であるこちらを先に読むことに。 絶版(品切・重版未定)のため、図書館から借りました。

  ガーンジー島の読書会1.jpgガーンジー島の読書会2.jpg 中身はほぼ全編手紙のやりとり。
 筆名で第二次世界大戦中の出来事を面白おかしく書き記す記事を書いていたジュリエットだが、彼女が描きたいのは人間のリアルな感情の動き。 手に入れた本にあなたの住所と名前が書いてありました、とガーンジー島に住む人からジュリエットに届いた手紙がきっかけで、ジュリエットはガーンジー島の住人たちと文通を始める。 ガーンジー島は大戦中ナチスに支配されていて島民は不自由な生活を強いられていたのだが、“読書とポテトピールのパイの会”の存在が島民の心を支えていたという。 ジュリエットはその会のきっかけを作ったエリザベスという女性に会いたくてたまらないが、エリザベスはナチスの収容所に連れていかれて行方不明だという・・・。

 往復書簡で成り立つ物語といえば『あしながおじさん』だけど、本作はジュリエットを中心に様々な人が書く手紙(ときどき電報)が入り乱れる(宛先がジュリエットばかりではない)。 最初は人物関係がわからないけれど、手紙を読んでいくうちにわかってくる。 相手への好意とか、信頼とか、そしてそれを書く書き手の気持ちとか。 一通の手紙がそれほど長くはないので、短い章の積み重ねでタペストリーをつくるかのごとし。
 ガーンジー島の人々が経験した苦難、戦争の決して隠せない爪痕、終戦前に生まれた子供が今は元気に育っていく様子、ジュリエットの恋模様(フェミニズム仕様)、秘密の手紙などなど、多くの断片がほぼ等しい重さで語られる。 重苦しく悲しくなりすぎず、ハッピーでも浮つきすぎず、強く印象に残るのは希望を失わず自分の信条を偽らないで生きようとする人々の姿なのだ。
 読書会で、「本のことを誰かと話せるのがうれしい」と言った人がいた。 それだよね! 本が好きでもきらいでも、そういう話ができることがうれしいという気持ち。 <読書会>って憧れるけどいまいち正体がつかめない(どう実施したらいいのかわからない)あたしにとって、「それでいいんだ!」と気づかせていただきました。
 ただ、読書会自体の描写は少なくて・・・ジュリエットと島民たちの交流のほうにページ数は割かれている。 いや、それはそれでいいんだけど。

ラベル:海外文学
posted by かしこん at 23:59| 兵庫 ☁| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする