2020年09月07日

グッバイ、リチャード/RICHARD SAYS GOODBYE

 いかにもジョニー・デップありきの企画だよなぁ、どうしよう、と少し悩んだ。 しかし最近のジョニー・デップのリアルな感じを表現していることに価値があるわけで。 同時代を生きているというか、近い世代のスーパースターだから。

  グッバイ、リチャードP.jpg 人生はくそったれで、愛おしい。
  余命180日。残された時間をありのまま生きる男が見つけた人生の答えとは――。

 大学教授として文学を教えるリチャード(ジョニー・デップ)は、がんで余命六ヶ月であることを告げられる。 驚愕するリチャードだが、残りの人生やりたいことをやることにする。 毎日飲んだくれ、タバコも吸ってみて、学生からマリファナももらう。 講義の学生も選びに選んで少人数で実施。 娘のクレア(ゾーイ・ドゥイッチ)は急激に変わった父親にあきれつつ、何かが変だと思い始める・・・という話。
 思っていた以上に“小品”のつくりだった。 ジョニー・デップはほぼ出ずっぱりなのに“熱演”とか感じさせず、程よい力の抜け具合。

  グッバイ、リチャード1.jpg 受け入れられずにパニックになるリチャード。
 章立てのつくり、会話が中心で進む感じ、シニカル度合いなど、イギリスっぽいんだけど・・・でもアメリカかな?、と悩む。 大仰な構図とか、顔のドアップをあえて避ける感じとか。 あえて感情移入をさせないつくりにしているのだろうか。
 余命宣告されて人生をひっくり返す設定なら『ブレイキングバッド』が思い浮かぶけど、あれに比べればリチャードのやることは小者感丸出しなので冷たい目で見てしまうのだろうか。

  グッバイ、リチャード3.jpg ゼミ発表も外でやる。
 学生たちは以前のリチャードを知らないので、彼の無茶苦茶なやり方に「ぽかーん」なところはジェネレーションギャップそのものなのかしら。 学生たちがリチャードに触発されていい方向に成長、みたいな流れにもならないので、「そんなんでいいのか!」と思う。 特にある場面では、「それ、男ならいいのか?!」(女であればヤバイ―男であればいいという問題ではなくない?)とモヤっとしてしまった。

  グッバイ、リチャード2.jpg 親友のピーター(ダニー・ヒューストン)が超いいやつ!
 リチャードは病気のことを同僚のピーターにだけ話すんだけど・・・このピーターが繊細ではないけどすごくいいヤツで、彼の直球な言動がリチャードのひねくれ具合を照射する。 死を目前にしても、五十歳過ぎてても、人間はそう簡単に変われないという皮肉なのであろうか。 若い頃はいろいろあったけど、その後落ち着いたよね〜、と思われたジョニー・デップがまさか中年の危機で若いセクシー美人に走るなんて、やっぱり若い頃の感じは変わっていないのか、的な。
 そう感じられてしまうのはちょっと残念なんだけど・・・個人的には「モロ文系の人の苦悩って感じで合理性が見えなくて意味不明」って思えてしまったのがよくなかった(今ひとつ話に入り込めなかった)かなぁ。 ときどきいいことは言うんだけど、あまり心には刺さらない。
 というか、あのラストだと途中でリチャードが見つけたものが全否定されないかな? それでも、一度決めたことを貫き通すことに意味があるということなのか。 考えさせられはするけど、いまひとつ腑に落ちない映画だった。

posted by かしこん at 18:11| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする