2020年09月03日

カーテンコール!/加納朋子

 宮部みゆき、近藤史恵ときたら、次は加納朋子であろう。
 翻訳ものを中心に読んでいると、日本人作家、しかも前からずっと読んでいる人の文は読みやすくてしょうがないというか、がんがん読めてしまうんですよね。 だからちょっと物足りないというか、もっと読みたい気持ちになってしまうのだろうか。

  カーテンコール! 加納朋子.jpg アンコールではなく、カーテンコールであることがポイント。
 私立萌木女学園は歴史のある女子大学。 しかし学生減少により閉校が決まった。 最後の卒業生を出す年、このままでは卒業できない学生たちをどうにか卒業させようと半年間の特別補講合宿をすることに。 集められた十人ほどの学生は、みなそれぞれに問題を抱えたものばかり・・・という話。

 これまた連作短編形式。 単位を取れない学生たち一人一人の事情がそれぞれの視点で語られていくのだが・・・これが最近の悩みだよね〜、という。 いや、昔からあったことだけど、最近明確化されたこと。 ただ連作短編形式なので、一人一人のキャラに深まりがないというか・・・そもそもそんなに深みはないのかもしれないけど。 ひとつの悩みが大きすぎて、まずはそれだから。
 そんな成長物語なのかといえばそれだけではなく・・・いや、成長物語ではあるんだけど。
 これは宮部みゆきの『絶対零度』(『昨日がなければ明日もない』収録)でもそうだったんだけど、「気立てのよい女性が不条理なまでのひどい目に遭い、誰も助けられなくて、彼女の死でまわりの人間が何が起こっていたか気づく」っていうのつらすぎるんですけど! ・・・それが、時代的に女性という存在に割り振られていた役割による弊害だというのはわかっていますし、だからこそ現在から未来にはそんなことがあってはならないのだから語り継ぐことは必要だけれども・・・これ以外に方法はないのか、と。
 それを受け止めて立ち上がる学生たちだから未来を信じることができるし、「ただのいい話」で終わらせないためには必要だったのかなぁ。
 一気読みしたし、ほのぼのできる部分もあるんだけど・・・『絶対零度』と続いたのでやりきれなさが残るわ。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 02:43| 兵庫 ☔| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする