2020年03月23日

深層地下4階/デヴィッド・コープ

 「それに寄生されたら最後、すべてを奪われる」というキャッチコピーと、有機体的毒々しい緑(個人的にはキライじゃない色)の表紙に、「なんかタイムリー!」と盛り上がり、何冊か読みかけの中に更に割り込ませ、一気読み。
 ・・・正直、期待はずれだったかな。 もっとシリアスなタイプのものかと・・・というかこの状況下なので、ぐっとシリアス&リアリスティックなものを読みたかったんですね。 勝手なあたしの気分です。 そうじゃなければもっと楽しめたような。

  深層地下4階.jpg 主役は、宇宙からやってきた真菌。
 1987年12月、宇宙ステーションの残骸が西オーストラリアの郊外に落ちた。 そして近隣の人たちが全員死んだ。 原因は酸素タンクに入っていた、実験用の真菌が宇宙空間・墜落など様々な困難・刺激を受けて進化し、まったく新しい形質を獲得。 それに恐ろしさを感じた米軍特殊任務専門チーム(?)は、真菌コルディセプス・ノヴァスを天然の冷凍庫を利用した軍の施設に封じ込めた。
 しかし2019年3月、チームの提言は公的に引き継がれなかった。 温暖化のせいで冷凍庫の気温は年々上がっている。 そしてもともと軍の秘密基地だったアチソン施設は、一般企業に売却され貸倉庫として使われている。
 その日の当直であったティーケーキとナオミは、施設の奥から謎のブザーが鳴り響いていることに気づき・・・という話。

 膨大な時間を飽きることなく<増殖>という目的を忘れることない真菌コルディセプス・ノヴァス視点と、人生いいことない・貧乏くじを引いてばかりのティーケイクとナオミの「ボーイ・ミーツ・ガール」的ストーリー、裏でこっそり30年前のチーム再結成、という大きく三つの軸がよりあわさることで人類未曽有の危機を回避・・・という話ではあるものの、ティーケーク(仇名、本名はトラヴィス)がとにかくお喋りキャラで、コメディ要素が半端ない。 巻き込まれる人たちも一癖も二癖もあるヘンな人ばかりなので・・・「ま、こいつら死んでも仕方ないかなぁ」と思っちゃうんだよなぁ・・・
 真菌の描写はあまりにスピーディーな展開で、「なんか都合よすぎる・・・」疑惑が生まれるが、まぁ30年じわじわ努力してたからね、ということで。
 ダメ男トラヴィスが極限状況に至って自らを省み、成長する(しかも一目惚れしたナオミのために)、というのがこの物語の本質。
 筆者がベテラン脚本家だけあって、読んでいるときのイメージがほぼ映画。
 その後についてもう少し書いてくれてもよかったかな。 映画だと長くなりすぎるのは歓迎されないのかな。

posted by かしこん at 03:48| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする