2020年03月05日

皇帝と拳銃と/倉知淳

 通勤時にいつでも持ち出せるように、とブックカバーをかけて「いつでも出動準備OK!」な本たちがうちには山ほどある。 カバーが無地なら(使うのは印刷ミスしたA4用紙の裏)、マスキングテープでちょっと模様をつくってみたり、ゼンタングルの練習をしてみたりとその作業も実は結構楽しい。 分厚い本はA4よりも二回りくらい大きいファッション雑誌のブランド広告ページを破ってカバーにすると紙質も立派だし、どこで折るかでコラージュっぽくなるのも面白い。
 しかしそうやって棚の上にどんどん積んでいくと、カバーの中身が何かわからなくなる・・・めくって探す、という事態にも陥っているけど、それはそれでまた楽し。 これは、そんな待機本の一冊。

  皇帝と拳銃と.jpg 〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ警察官探偵、登場。
 と、帯にあるように、まさに『刑事コロンボ』のエピソードにあっても不思議じゃない倒叙物短編4編収録。 ただし犯罪をあばく警部は乙姫という名の、見た目は葬儀屋のような、死神のような人物。
 一編目の『運命の銀輪』というタイトルに、「アリアンロッド!」と思ったのはあたしだけだろうか・・・。
 二編目、表題作『皇帝と拳銃と』はともに「警部があやしいと感じたポイントが読者にも推測できるようになっている、正統派倒叙物」。
 後半の『恋人たちの汀』・『吊られた男と語らぬ女』は“語り”に重きが置かれ、ちょっと違う雰囲気。
 どちらかといえばあたしが好きなのは前半のタイプだが・・・全部同じ傾向だと飽きられるというか、手掛かりの見つけ方をこちらも取得してしまうからかな?
 ただ、犯行の動機は比較的単純で、殺される側もまたダメな人で、そんなところもまたコロンボっぽいのだが、あまりに類型的すぎてもう一工夫ほしかったかも。 シリーズ化はするのだろうか。 乙姫警部には「この人のことをもっと知りたい!」と思わせるものがないので(なにしろ陰気で、“死神”と表現される以上のことがない)、微妙に盛り上がらない・・・。 コンビを組む俳優ばりの美貌を持つ鈴木刑事も、そんなにキャラは立っていない。 倒叙物、というジャンルをシンプルなまでに突き詰めた結果がこれ、ということなのか。
 でも意外に一気読み。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする