2020年02月16日

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと/花田奈々子

 「出会い系サイトで本をおすすめする」とは一体どういうことなのか。
 それが知りたくて読み始めるが、いきなり語り手は結婚生活をもう続けられないと家を飛び出し、ファミレスやスーパー銭湯を渡り歩く“宿なし”として登場し、まず人生に迷っていることにどよめく。
 これは、「本をすすめる」ことが描かれているだけでなく、「他人に本をすすめることでいつしか自分が救われる」というある種の王道ものでもあり。

  出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に.jpg なんでこんなガーリーなイメージ?
 宿なし生活に「なんでこんなことに」と呆然とする筆者は書店員。 しかし仕事も以前に比べるとうまくいってはおらず、日々疲労がたまる。 そんなときに「知らない人と30分だけ会って、話してみる」というWEBサービスXを知り、一念発起、「1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりな本を1冊選んでおすすめさせていただきます」ととプロフィール欄に書き込む。

 X(仮名)というサービスは出会い系とはいえ異性の恋愛関係だけに限っていないようなので・・・いろんな人がいるが、勿論ヤバい人もいる。 読んでた最初はXがSHOWROOM的なものかと思って、「あぁ、動画配信というか、スカイプ的なもので会って話すのかな、それならありかも」と解釈したが・・・タイトルは「実際に会って」。 しかも読み進んでいったら実際に会っているし!
 出会い系で知り合った人と初めて会うなんてヤバい、とは思わない。 そんな遅くない時間で、不特定多数の人がそこそこいる場所ならばそう危険とかではないだろうし。 ただ知らない相手と「本をすすめる」まで会話をするってのがハードル高い! 話が通じる人ばかりではないし。 でもそこがこの本の読みどころでもあるわけで。
 ただし、本のセレクトは「いかにも書店員」って感じの直球が多い感じ。 王道、ベストセラー、話題になった本を中心に、サブカル系に自分の好みを入れ込んでくるところとかまさにあたしのイメージする書店員そのものです(その割にご本人は自分をいわゆるカリスマ書店員みたいな存在とは縁遠いと思っている)。
 こういう方にはありがちだが、「そこそこ読んでます」という人にはおすすめ本が出てこないという・・・。 あまり普段読まない、何を読んだかよくわからないという相手には有効なんだな、と。 あたしもですが、ジャンル小説を主に読んでいる場合は「それ知ってます」になっちゃう(だからマニア寄りはマニア寄り同士で会話したくなるのかも)。
 でも、「本の話ができるのは楽しい」っていうのは確かだ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする