2020年02月12日

生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人/アンドリュー・メイン

 前作『森の捕食者』はなかなかシュールでパンキッシュなところがあり、筋のきめは粗いがユーモアと力技が効いていて、あたしはなかなかお気に入り。 けれど人生勝ち組とは言えない、コミュニケーション不全気味のセオがこの事件を経過して一体どうなっていくのかこっそり気になっていた。 そこで二作目である。
 セオは変わっていた!
 だが・・・あんなことがあったのだから、変わるのは当たり前ではないか。
 銃を所持するようになり、撃つ練習を欠かさず、身体も鍛えている。 全然違う人になったようにも見えるが、“これまでの彼”がおろおろしないですむ力を身につけただけなのだ。 真実を知りたいと暴走する信念を支えることが物理的に可能になってしまった。 もうセオ・クレイは引っ込み思案なマッドサイエンティストではなく、開き直りを覚えたマッドサイエンティストだ。

  生物学探偵セオ・クレイ2 街の狩人.jpg “街の狩人”は犯人を追うセオのことでもある。
 『森の捕食者』事件以降、マスコミなどに追いまくられて大学の職を辞めてしまった“ぼく”ことセオ・クレイは、生物情報工学者としてのキャリアを活かしてと見た目は最先端テクノロジー企業、実態はテロリスト要員を炙り出す仕事をしてしまっていた。 こんなはずじゃない、と思っていたところへ、9年前に失踪したままの息子を探してほしいと依頼がきて・・・という話。
 ここで逃げるのが以前のセオだったかもしれないけど、更にぎりぎりまで逃げる理由を考えているけれど、結局引き受ける。 引き受けたからには全力を尽くす(真相を突き止めるまでやめる気はない)ことになるので、担当の刑事さんにいくら怒られ(?)ようとも、「これって法律違反になるけど・・・他に手はない」とあっさりグレーゾーンから飛び出す決意をする。 いや、飛び出すというほどの覚悟もなく、さらっと法を無視しちゃう(また、バレてもそのときはそのときって思ってる)。 やっぱり、キャラ、変わりましたね・・・。
 今回、狩られるのは、子供たちをだまくらかしてひどい目に遭わせたり、殺したりしていた男。
 だから読み手もセオの行動に疑問をはさまない。 ・・・でも、それでいいのかなとも思っちゃう。
 勿論、そんな事件を起こすほうが悪い。 死ぬしかその罪は償えないだろ、と感じることもある。 だけど・・・感情よりも何かを優先しているセオは、この後どうなるんだろうか。 シリーズの先が心配・・・。


ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする