2020年02月12日

生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人/アンドリュー・メイン

 前作『森の捕食者』はなかなかシュールでパンキッシュなところがあり、筋のきめは粗いがユーモアと力技が効いていて、あたしはなかなかお気に入り。 けれど人生勝ち組とは言えない、コミュニケーション不全気味のセオがこの事件を経過して一体どうなっていくのかこっそり気になっていた。 そこで二作目である。
 セオは変わっていた!
 だが・・・あんなことがあったのだから、変わるのは当たり前ではないか。
 銃を所持するようになり、撃つ練習を欠かさず、身体も鍛えている。 全然違う人になったようにも見えるが、“これまでの彼”がおろおろしないですむ力を身につけただけなのだ。 真実を知りたいと暴走する信念を支えることが物理的に可能になってしまった。 もうセオ・クレイは引っ込み思案なマッドサイエンティストではなく、開き直りを覚えたマッドサイエンティストだ。

  生物学探偵セオ・クレイ2 街の狩人.jpg “街の狩人”は犯人を追うセオのことでもある。
 『森の捕食者』事件以降、マスコミなどに追いまくられて大学の職を辞めてしまった“ぼく”ことセオ・クレイは、生物情報工学者としてのキャリアを活かしてと見た目は最先端テクノロジー企業、実態はテロリスト要員を炙り出す仕事をしてしまっていた。 こんなはずじゃない、と思っていたところへ、9年前に失踪したままの息子を探してほしいと依頼がきて・・・という話。
 ここで逃げるのが以前のセオだったかもしれないけど、更にぎりぎりまで逃げる理由を考えているけれど、結局引き受ける。 引き受けたからには全力を尽くす(真相を突き止めるまでやめる気はない)ことになるので、担当の刑事さんにいくら怒られ(?)ようとも、「これって法律違反になるけど・・・他に手はない」とあっさりグレーゾーンから飛び出す決意をする。 いや、飛び出すというほどの覚悟もなく、さらっと法を無視しちゃう(また、バレてもそのときはそのときって思ってる)。 やっぱり、キャラ、変わりましたね・・・。
 今回、狩られるのは、子供たちをだまくらかしてひどい目に遭わせたり、殺したりしていた男。
 だから読み手もセオの行動に疑問をはさまない。 ・・・でも、それでいいのかなとも思っちゃう。
 勿論、そんな事件を起こすほうが悪い。 死ぬしかその罪は償えないだろ、と感じることもある。 だけど・・・感情よりも何かを優先しているセオは、この後どうなるんだろうか。 シリーズの先が心配・・・。


ラベル:海外ミステリ
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2020年02月11日

今日は7冊。

 しばらく本を買っていないなぁ、と思っていたら、一気に出てきましたよ・・・。

  あの日に消えたエヴァ.jpg あの日に消えたエヴァ/レミギウシュ・ムルス
 「ポーランドbPベストセラー作家によるスーパーページターナー本!」と帯にあり・・・北欧ミステリブームの余波で東欧のほうも訳してもらえるようになってありがたい。

  警部ヴィスティング カタリーナ・コード.jpg カタリーナ・コード 警部ヴィスティング/ヨルン・リーエル・ホルスト
 この表紙イラスト、『犯罪心理捜査官セヴァスチャン』シリーズを思い出させるな〜、と作者を見て「ん?、なんか見覚えが?」。 背表紙を見たら『猟犬』の作者で、しかも同じシリーズものだそうである(ヴィスティング警部のこと覚えてなかった)。 あぁ、版元変わるパターン・・・。 ノルウェーは人の名前が覚えられない。

  BUTTERバター 柚木麻子.jpg BUTTER/柚木麻子
 ノンフィクションノベルとも帯に書かれているけど・・・ベースが実際に起こった事件というだけで他はかなり違っていそうなのにそう呼んでいいものか(カポーティの『冷血』レベルじゃないとそう呼べない気が個人的にする)。 突き詰めれば女の友情になりそうなところに惹かれ。

  夫・車谷長吉.jpg 夫・車谷長吉/高橋順子
 先日、仕事場のおじいちゃんが休みの日に姫路に行ったとかで、そこの文学館に車谷長吉の直筆の手紙が結構あって・・・みたいな話を聞いた。 車谷長吉って知ってる?、と聞かれたので「『赤目四十八瀧心中未遂』の人ですよね。 昔、新聞の日曜版で人生相談してたのは読んだことあります」と答えた。 「奥さんは詩人の、なんやったかな、名前」と話は更に迷走したのだが・・・そういえばその人生相談で自分は過去に惨憺たる目に遭っていて、人生はそもそも苦しいものとか言ってたよなぁ、というのを数年前訃報を聞いたときにも思い出したのだ。
 そんな矢先にこの本が文庫化され・・・これは読めということかもなぁと感じた次第。

  ハトシェプスト 山岸凉子.jpg ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ/山岸涼子
 あ、これ読んでない、と思って。 『封印』はともだちから借りて読みました。 古代エジプトって惹かれます。

  かわいい夫 山崎ナオコーラ.jpg かわいい夫/山崎ナオコーラ
 以前ある友人に「日本では配偶者をほめる文化(特に妻から夫)が薄いのをなんとかしたい」と言われ、「確かに」と思ったので機会があればいろんな人から“配偶者のいい話”を聞くようにしているのだが、ぼやきを聞くことのほうが多い。 まぁ、ぼやきとは一週回ったのろけなのかもしれないが、愚痴や悪口にも聞こえちゃうよね。 この本を見て「妻側から夫側をほめる、だ!」、と思ったので。

  出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に.jpg 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと/花田菜々子
 単行本のときに話題になっていたのを覚えていて、「どうやって出会い系で本をすすめるのか?」の具体的な手法が知りたくて読んでみることに。 著者は書店員さんなんですね。

ラベル:新刊
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2020年02月10日

第92回アカデミー賞授賞式

 アカデミー賞授賞式、ありました。
 おおかたいわゆる批評家の方々の言う通り。 ただ未知数の部分は「字幕の外国語映画を選ぶのか否か」。

作品賞
『パラサイト 半地下の家族』
 結果的に「あり」ということだった。 アカデミー会員を増やし多様性を増した(もともとは白人の60歳以上が大多数だった)成果が表れたということだろうか、去年の『ROMA/ローマ』がいい線いったのもその流れだったのかも。

主演男優賞
ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)
 スピーチの最後にちょっと兄に触れたことが、リヴァーのホアキンへの影響の大きさを感じずにはいられなくて目頭が熱くなる。

主演女優賞
レニー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)
 あまりスピーチに心打たれなかった。 作品を観てないから、ジュディ・ガーランドをよく知らないからだろう。

助演男優賞
ブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
 面白いことを言うのかと期待していたら、そんなでもなくて・・・助演男優賞は最初の発表だから空気が読みづらい? しかし彼が政治寄りの発言をしたので、以後の人たちは言いやすくなったのかも。

助演女優賞
ローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)
 家族バンザイの価値観をいちばん見せてくれたのは今回この人。

監督賞
ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)
 英語喋れるんじゃなかったっけ? でも通訳をはさみ、その間を理解しながら会場の笑いをとる感じに、「どんだけ海外の映画祭などで場数を踏んでいるのか!」と思う。 確か韓国内でも政権によってブラックリストを作られ、製作に制限をかけられた時期があったような・・・今が自由に映画をつくれる環境ならばよかったよ。

脚色賞
『ジョジョ・ラビット』
 作品賞にノミネートされている映画のフッテージが現れるとき、観客のリアクションが賑やかなのが『パラサイト』と『ジョジョ・ラビット』だった。 それだけ支持されている、愛されているのねと感じる。

脚本賞
『パラサイト 半地下の家族』

撮影賞
『1917 命をかけた伝令』
 全編ワンカット、だからかなぁ。 実際はワンカットは無理で、4〜8分ぐらいのワンカット撮影したシーンをつないでいるらしい。

美術賞
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
 1960年代のハリウッド完全再現が、当時を知る人の心を打ったのね。

音響編集賞
『フォードvsフェラーリ』
 エンジン音やブレーキがきしむ音などをつくりあげたことに、らしい。 確かに、あの臨場感はすごかった。

録音賞
『1917 命をかけた伝令』
 こっちは「映画館で観たときの観客への音の伝わり具合」が評価のポイントらしい。 こっちはこっちで別の臨場感がありそう。

編集賞
『フォードvsフェラーリ』
 レースシーンすごかったもんね・・・納得。

作曲賞
『ジョーカー』
 『ジョーカー』の音楽はいわゆる“劇伴”とは違うもの・・・存在意義がそもそも違うものを並べて評価しなきゃいけないのも大変。

歌曲賞
“(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン”(『ロケットマン』)
 エルトン・ジョンと一緒に壇上にあがった人がバーニーなの!

衣装デザイン賞
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
 若草物語の時代もコスチューム・プレイ扱いになるのかと驚く。 というか、女の生き方ってこの時代の悩みがいまだに共有されてるってことよね・・・。

メイク・ヘアスタイリング賞
『スキャンダル』
 シャーリーズ・セロンの顔の骨格を変えたことか・・・横顔のシーンは別人だもん。 でもシャーリーズ・セロンだとわからないといけないし、その加減が絶妙なんだろうな。

視覚効果賞
『1917 命をかけた伝令』
 廃墟などほぼCGらしい・・・。

国際長編映画賞
『パラサイト 半地下の家族』(韓国)
 ペドロ・アルモドバル監督の『ペイン・アンド・グローリー』も観たい・・・。 フランス代表の『レ・ミゼラブル』(あの『レミゼ』とは全然違う話)もヤバそう。

長編アニメ映画賞
『トイ・ストーリー4』

短編アニメ映画賞
『ヘア・ラヴ(原題)』

短編実写映画賞
『向かいの窓』

短編ドキュメンタリー賞
『ラーニング・トゥ・スケートボード・イン・ア・ウォーゾーン(原題)』

長編ドキュメンタリー賞
『アメリカン・ファクトリー』
 紹介フッテージを見てやっとどういう内容なのかがなんとなく。 他の候補作『娘は戦場で生まれた』・『ブラジル−消えゆく民主主義』などもヤバそう(知らないことを知らされる感)。

  20200209ハリウッド (6).JPG 授賞式前日のドルビー・シアター
 実はアメリカにいる友人から、「ロスに来る用事があったから、ドルビーシアターに立ち寄ってみたよ!」と写真が送られてきた。
 おぉ、レッドカーペットのスタートってこんな感じなの。
 「準備で動いている人がすごく多い。 でもちょっと場所はずれると、ホームレスの人がめっちゃいる」とのこと。 オープニングあたりでクリス・ロックもいじってたから珍しいことではないのか。
 あと、式全体的に女性をたたえることが強調されている感が・・・Me,too以後の流れではあるけど、わざわざ称えないといけないのかというのになんだか微妙な気持ちに。 いや、これはアカデミーが女性を選ぶことにためらいを持たなくなった、変化の現れだと強調しているのかもしれないのだけれど、2020年でもまだその段階?、っていうのが微妙で。 いやいや、ホアキンが「権利を侵害するものを許してはならない」みたいなことをスピーチしたけど、その対象は弾圧やヘイトスピーチと同様、ハラスメントも含まれるという概念がまだまだ世界に広まっていないということなのだ。
 作曲賞のパフォーマンスで、92回にして初めてオーケストラの指揮者が女性であることを紹介したシガーニー・ウィーヴァーがぐっと涙をこらえているのを見て、「あぁ、“戦う女性”の最初の主人公ともいえるこの人は、どれだけ大変なものと戦ってきたのだろうか」とあたしもウルウルしてしまいました。
 それと、ビリー・アイリッシュどんだけ愛されてる! エミネムがおっさんになってる!

ラベル:アカデミー賞
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2020年02月09日

アルコール消毒問題

 映画館や、不特定多数の人が来るだろう場所では一週間ぐらい前から、消毒用アルコールのボトルが数多く置かれるようになった。 もともと置いてあったけど、一か所だったのが三か所以上に増え、一本だったボトルの数も一か所二本に。 新型コロナウィルス対策にはとりあえずアルコール洗浄という感じなのね。

  20200207アルコール消毒のお知らせ.JPG こんな様子。
 それでふと思い出すのは2009年の新型インフルエンザ騒動のこと。 患者第一号が神戸から出たということで・・・あのときはほんとに街から人がいなくなった。 電車の中でマスクをしないで咳き込んでいる人がいると空気が殺気立った。
 2003年だったかSARSのときも、台湾の陽性反応出た人が関西を旅行していたことがわかり、その人の移動ルートが発表されてた。
 それらに比べれば・・・行政の対策がゆるい気がする。 だからこういう形でそれぞれが自衛するしかないんだろうな。
 あたしもカバンの中には除菌シート(ウェットティッシュ的なやつ)を入れている。 マスクはその時々で使う(いつもつけるのではなく、必要な時につける)。 人が集まるところには行かないようにする(映画館には行っているがいいのか悪いのか込んではいない)、長く滞在しない、自分に疲労がたまって免疫力が落ちないようにする、などを心掛けている。
 時間はかかるがうまいこと収束してほしい。 『コンテイジョン』のような展開にならないように願う。

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2020年02月08日

ジョジョ・ラビット/JOJO RABBIT

 映画館の予告で少し前から見ていたけれど、世間的には全然宣伝されてなくない?、と思ってました。 上映一週目は一日5回だったのが、二週目から3回に減っていたし、アカデミー賞作品賞ノミネートとはいえ急がねば終わる!、と焦った(できれば授賞式の結果が出る前に観ておきたい)。
 しかし地域によっては満席札止めになっていたということをあとから知る。 あたしが話題になっていることに気づかなかっただけなのか?

  ジョジョ・ラビットP.jfif 愛は最強。

 第二次大戦下のドイツ。 ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は10歳、これからヒトラーユーゲントの合宿に参加する。 うまくやれるのか全く自信はないが、“親友”のアドルフ(タイカ・ワイティティ)にはげまされて前向きになるが、クレンツェンドルフ大尉・別名キャプテンK(サム・ロックウェル)や教官のミス・ラーム(レベル・ウィルソン)といった人々の指導によるなかなかにキツい日々が待っていて・・・という話。

  ジョジョ・ラビット4.jpg アドルフはジョジョにしか見えない設定。
 ドイツが舞台なのに台詞が全部英語なのには違和感バリバリだが(「ドイツ語喋れないのか? :Can you speak Germany?」とか、ドイツ語喋ってないじゃん・・・)、英語圏の人たちが作っているから仕方ない。 アドルフもナチ崇拝しているジョジョが勝手に理想化した姿なのでアドルフ・ヒトラーに似て非なる加減が絶妙。 ポップなつくりは歴史ものというよりはファンタジーの趣きでノリノリだ。
 こういう感じなのかなぁ、と油断していたら、後半ガツンと容赦ない描写になって呆然とする。

  ジョジョ・ラビット1.jpg 登場人物も濃い。
 ジョジョの母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)のパンクっぷりもすごいが、キャプテンKのダメ具合もすごい。 サム・ロックウェルったら、またこういう役ばかり・・・。 ジョジョのおさななじみヨーキー(アーチー・イェーツ)がまたすごくいいヤツで、心が洗われるよね!
 なんというか、映画文法を身につけるためのお手本みたいな映画ですよ。 台詞ではなく映像で語るとか、チラ見せしたモチーフを忘れさせないうちに回収するとか、俳優の見せ場をちゃんと作るとか、勿論物語でしっかり引っ張るとか。
 「映画って何をどう見たらいいかよくわからない(ぼやっと観てたからそんな場面あったの覚えてない)」みたいな感じの人たちや若い人たちに是非観てもらいたい!

  ジョジョ・ラビット3.jpg エルサ(トーマシン・マッケンジー)もカギを握る人物。
 寓話的な明るいノリなのは、記憶としては古いけど歴史としてはちょっと浅い時期のことは物語として語り直すことで若い世代や外国の人に伝わりやすくなるのかも・・・。
 実は二席おいた同じ列の人がかなり早い段階から号泣していたので、あたしはちょっと引き気味になってしまっていたのに、キャプテンKに泣かされそうになり・・・こらえたのにエンディングのデヴィッド・ボウイで目がうるうるになり。
 そこで気づく。 オープニングのビートルズも歌詞はドイツ語だった。 あえて台詞を全部英語にすることで、どこかに帰属する感じを出したくなかったのか。 歴史をフィクションというフィルターを通すことで改めて現実が見られるように。
 ストーリーに触れないでいるのがむずかしい。 事前知識なしで観たほうが絶対いい。 あたしがみた予告編のつくり、最小限の情報だったんだな。 それ以上知らないままこの映画を観て、よかった。

posted by かしこん at 18:49| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月07日

フィッシャーマンズ・ソング コンウォールから愛をこめて/FISHERMAN'S FRIENDS

 予告を観たときに「おおっ、これは!」と思った(なんか前にも書いたか、これ)。
 イギリスの地方が舞台の実話ベース。 これって、『ブラス!』・『フル・モンティ』・『カレンダーガール』なんかの流れをくむ感じですよね!

  フィッシャーマンズ・ソングP.jpg 人生には歌とビールとちょっぴりのユーモアが欠かせない
  漁師バンドがイギリス中を席巻する奇跡の実話!コーンウォールの美しい港町を舞台に送る感動のサクセスストーリー!

 イギリス南西部、コーンウォール地方の港町ポート・アイザック。 地元の漁師であるジム(ジェームズ・ピュアフォイ)、ジェイゴ(デヴィッド・ヘイマン)、リードヴィル(デイヴ・ジョーンズ)、ローワン(サム・スウェインズベリー)らは古くから伝わる漁師歌(舟歌)を船の上だけでなく、人前で歌うようになって定期的にライヴ演奏をしている。 たまたま休暇に来ていた音楽プロディーサーのダニー(ダニエル・メイズ)は仲間内の賭けにより、“漁師バンド”との契約をとるように言われ・・・という話。

  フィッシャーマンズ・ソング1.jpg 海辺の発表会。
 リードヴォーカルは交代制、何を歌うかはその場の雰囲気、いつでも本業(漁と海のレスキュー)を優先。 プロ意識とアーティスティックなこだわりの不思議な融合で、働き、歌うおじさんたちはかっこいい! 味のあるおじさんがいっぱいいる映画ってなんか楽しい。
 ジェームズ・ピュアフォイは『ザ・フォロイング』でブレイクするかと思ったんだけど・・・思ったほどではなかったよな(ヒュー・ジャックマンとジェラルド・バトラーの間ぐらいにイメージがかぶるから?)、ということを思い出しつつ英国の俳優の層の厚さをあらためて実感。 それは制作側にも言えるのかも、日本に置き換えればいわゆるご当地映画になるだろうに、完成度が全然違うのよねぇ。

  フィッシャーマンズ・ソング6.jpg コーンウォール地方の風景もばっちり。
 確かクリームティーも有名な地域だが、主な舞台の一つがパブのためお酒の登場が多かった(ダニーがデヴォン地方出身者だったらネタになったかも)。 ワーキングタイトルのラブコメ(『ラヴ・アクチュアリー』や『ノッティングヒルの恋人』など)っぽく感じる場面もあり。 イギリスの地方の風景や空気感には、緯度が近いからか北東北人としての懐かしさを呼び起こされるし。

  フィッシャーマンズ・ソング5.jpg 漁師のお仕事がいちばん。
 個人個人のバックボーンはあまり多く語られないのだが・・・リードヴォーカルをとる歌の歌詞が人生の断片の一部を示していたりして、実力派俳優のみなさんの佇まいで表現しちゃってる。 あえてキャラの深掘りをしないことで、観客の想像(もしくは自分の知っている人に似ているところなど)にまかせてるのかな。 場合によっては「類型的すぎる!」と言われちゃいそうなのに・・・それを感じさせないのは実話ベースで、モデルになった人々へのリスペクトが溢れているからなのか。

  フィッシャーマンズ・ソング2.jpgフィッシャーマンズ・ソング3.jpg 
 字幕では「タランティーノの映画かよ」となっていたけど、「レザボア・シー・ドッグス気取りか?」と言われちゃった揃いのピーコート姿(おまけに最初はサングラス)、かっこいい! 揃いの服だとすごく“グループ感”が出ますね!
 ローワンがリードをとる未亡人の歌はすごく声がいい!、と感じたけど、正直漁師のみなさんの歌は普通〜ちょっといいぐらいかな?、だったんだけど・・・エンドロールで流れる本物の“FISHERMAN'S FRIENDS”の歌には度肝を抜かれた。 この厚みと響き、すごいんですけど!
 全編このエンディングを引き立てるためのものだったのか・・・。

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2020年02月06日

今シーズン、初雪!

 夜中過ぎ、ゴミ出しをしようと思って家を出たら・・・雪が降ってる?!
 といっても粉雪とかボタン雪とか優雅な感じのものではなくて、1mm前後の氷のボールみたいなやつ。 叩きつけるみたいに降ってくるけど、軽いから風に舞い上がりつつ、てのひらで受ければすぐ融ける。
 でもなんだか、空から白くて小さくて冷たいものが降ってくるというのは、北東北人としてはテンションが上がります!
 ゴミ置き場で、思わず両手を広げて全身で雪を受け止めてみたり(といっても肌が出ている部分は手と顔だけだけど)。
 寒いけど、なんだかすぐに家に戻りたくなくて、ぱしぱしぱしとゴミ袋にぶつかる雪の音を聞く。 楽しい。
 一晩中降りつづけてくれたら、朝には地面がうっすら白くなってくれているかもしれないけれど・・・積もるほどは降らないだろうな。
 やっと冬になった実感。

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2020年02月04日

見事な紅梅

 うっかりしていたが、二月である。
 そういえばこっちでは二月(場合によっては一月のうちに)、梅が咲くのではないか。
 梅が咲いた三日後に桜が咲く、という感覚がずっと身体に残っているのか、咲くのは4月という印象で。
 しかし仕事場への道端で、濃いピンクが目に留まる。

  20200204見事な紅梅.JPG 日陰でもこの通り。
 北東北では白梅がほとんどなイメージ、こんな間近で紅梅を見るとなんだか不思議な気持ち。 紅梅とは実際はもっと赤が強いやつが多いことは知っているのだが、「梅といえば白い」なあたしにとってはこれで十分赤い(写真よりも、直接見たほうが赤く感じたし)。
 「もう、梅、咲いてますね」と仕事場で話したら、おじいちゃん(あだ名)が、「そういえば、“紅白歌合戦”とかの“紅白”って、梅のことちゃうか?」と言い出す。
 「あぁ、白梅と紅梅ってことですか?」
 「せや。 この歳になって、初めて梅の花をじっくり見た気がするわ。 その対比が美しくてやなぁ」
 と、梅をモチーフにした俳句や短歌をいくつか詠んだことを告げる。 手帳に書いているらしい。
 それはちょっといい話だが(さすがおじいちゃん)、ちゃちゃっとググったあたしは残念なことを知らせる。
 「紅白の由来ですが、諸説ありますが有力なのは<源平合戦>みたいですよ。 源氏の旗印が白、平家が赤だそうです」
 「えっ、源氏が白なの? 平家が負けたんやから“白旗”なんじゃないの?」
 「・・・降参を示す白旗はヨーロッパあたりから来てるんじゃないですかね」
 「せやか・・・。 紅白は梅のことじゃないか、と三人ぐらいにゆうてもうたわ」
 そのあまりに残念そうな様子に、会話が聞こえていた机が近いお二人も思わず笑ってしまう。 まぁ、誰かに喋るとしたら裏をとってからにするでしょう(実際あたしはすぐ調べるし、おじいちゃんの思い付きは当たっていることもあるが見当違いのことも多いので)。
 しかしそういう思い付きを口に出す彼の存在は、みんなに愛されている。 おかげであたしは「紅白幕は戦後、業者が仕掛けてはやらせたもの、略式」などなど紅白に関する知識を知ることができた。 仕事が込み合っていなければ、おじいちゃんと話ができるのは意外に楽しい。 あたしの祖父はあたしが生まれる前に亡くなっているので、「おじいちゃんがいたらこんな感じなのかな」みたいなことを、たまに思ったりする。

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2020年02月03日

配信はおおいそがし

 WOWOW加入者は<WOWOWメンバーズオンデマンド>という配信サービスを受けられるのだが・・・。
 ふと、“ドラマ”のページを開けたら、ちょっと懐かしい警察ドラマがドカンと配信を開始していて。

  20200202WOWOWオンデマンドドラマ.jpg こんな感じで。

 『刑事ヴァランダー 白夜の戦慄』、『主任警部アラン・バンクス』、『ローマ警察殺人課アウレリオ・ゼン』などなど・・・(全部日本語吹替版である)。
 昨年末には『新米刑事モース』・『刑事モース』も全シーズン配信されて「おぉ!」となったばかりなのに。 『モース』はまたNHKBSプレミアムで放送がはじまるからWOWOWの権利が切れるとかあるのかな。
 なにしろヴァランダーは原作をだいぶ端折っているけど、ケネス・ブラナーが惚れ込んだだけあって魂の部分は通じている。 スウェーデンオールロケなので風景や空気感、空の色が素晴らしい。 アラン・バンクスはドラマを観て原作を読みたくなって、邦訳出ているものを探しまくった。 質が高いものはそういう衝動を生む。 だから繰り返し観たくなる。
 しかしあたしはそういう配信をノートPCで受け取るわけで。
 つい別のことしちゃうよね〜。 日本語で喋ってくれるからわかった気になるよねぇ(少なくとも一回以上は観ているからストーリーもわかっている)。 でも繰り返しで観ることで前回気づかなかったことに気づくのに、あまり映像を観てないまま終わってしまうという・・・ダメじゃん。 吹替の方の声を楽しむ感じになっているよ・・・。

ラベル:海外ドラマ
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2020年02月02日

フォードVSフェラーリ/FORD V FERRARI

 結構前に予告を観たときに「おおっ、これは!」と思った。
 しかしマット・デイモンの、クリスチャン・ベイルのファンでもないのだが(勿論、キライじゃない)。 おじさん多めだからかしら。 いや、あたしはカーレースが好きなのだ。

  フォードvsフェラーリP.jpg 絶対王者に挑んだ男たちの奇跡の実話。

 1960年代後半、フォード・モーター社は経営困難の憂き目にあっていた。 ここでイメージを刷新するため、ヘンリー・フォード二世(トレイシー・レッツ)は常勝フェラーリにル・マンで勝つことにし、アメリカ人初のル・マン優勝者で、現在はレーサーを引退しエンジニアに転身したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)に白羽の矢が立つ。 シェルビーは勝つためには唯一無二のレーサーが必要だとイギリス人のケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)を口説き落とす。 しかしマイルズの歯に衣着せぬ物言いは、フォード副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の反感を買い・・・という話。
 序盤のカーレースシーンは車窓の風景がいかにもCGっぽく、「やっちまったかな」と思ったのだが・・・徐々に気にならなくなり、後半の1966年ル・マン24時間耐久レースに至ってはのめり込んでしまった。 音も臨場感あり、カーレースの迫力、ものすごい!(あたしは「モータースポーツ」という言い方がピンとこない。 スポーツじゃない、命がけだもん)

  フォードvsフェラーリ1.jpg サングラスかけてるとガラ悪い。
 60年代という時代のせいもあるのだろうが、現場の人間対背広組の対立があまりにもあからさま・・・フォード上層部がマジむかつくのだ。 現在ではもっと複雑になっているのだろうから、この単純さが爽快といえば爽快だが。 ジョシュ・ルーカス、一時期は主役を張ったこともあるけど脇で落ち着いたのかな。 金髪碧眼の美丈夫はすっかり悪役が定着した。
 背広組の中で唯一話の通じるリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)、なんか見たことあるなぁと思ってたんだけど・・・『ウォーキング・デッド』最初の頃のシェーン(リックの親友の保安官仲間)の人じゃないか! 悪そうなところがひとかけらもなくて、全く気づかなかったよ! そんな感じで、見たことある人たちが沢山出ていたのも楽しかった。

  フォードVSフェラーリ2.jpg ピーター、かわいい!
 マイルズの息子ピーター役のノア・ジュープは『wonder 君は太陽』の最初の友だち、『クワイエット・プレイス』の長男など“なにかにじっと耐えているような困り顔”が印象深い子役だけどそのまま成長してくれているなぁ、とうれしい。 このままいい役者になってほしい。 父親としてはまったく落ち着きのないケン・マイルズだけど、ピーターは大好きだったんだろうなと感じる(エンドロールで、ピーター・マイルズご本人がこの映画に協力していることを知る)。
 ケンの奥さんは地味顔美人?、と思っていたら『アウトランダー』の主役の人だった。

  フォードVSフェラーリ3.jpg ケン・マイルズ飛ばす。
 登場人物が出揃い、状況が説明されるまでちょっと長く感じたけど、いざル・マン目指します!、となったら早い早い。 爆走するクルマの合間にシェルビーとマイルズの信頼と友情が積み重なり、「あぁ、この二人は少年のまま大人になったある種の理想像か!」としみじみ。 勿論、“ある種の理想像”なので完璧ではないんだけど(特にシェルビー、ひどい)。 でもこの映画の語り口自体も“古き良きアメリカ”的な理想像なのかもしれない、フォード上層部のやり方は汚いが、個人の存在を否定するレベルの昨今のパワハラ問題に比べればましかも。
 終盤、ある選択をするマイルズに、あたしは悔し涙があふれてしまった。 それが気遣いか? 丸くなることなのか? ・・・あたしは全然成長してないらしい。
 シェルビーとマイルズ、マット・デイモンとクリスチャン・ベイル以外じゃ無理、というほどはまってる。 この二人あっての企画かなぁ。
 153分もあったことを知り、驚く。 後半の体感は5000回転以上のスピードだった。

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2020年02月01日

ナカムラチョコレート、初挑戦。

 2月であるよ!
 ヴァレンタイン用のチョコレートを買わねば! しかしバタバタしているので、百貨店のカタログを熟読する余裕がない。 とりあえず特設コーナーに行って、気になったやつを買う!
 しかしそうすると・・・なんとなく「いつも買ってるやつになってない?」
 新鮮味がないんじゃ!
 ということで初めてのお店をためしに買ってみることに。 日本人ショコラティエがオーストラリアで開業、日本支店(?)は摂津本山に、でもこの時期はデパートに出店している。
 ボックスセットもあるが、バラで買うこともできたので、味見もかねて。

  ナカムラチョコレート2.JPG バラ買いしたボンボンショコラ。
 向かって右から、ゴールデンキャラメル、ローステッドワトルシード&マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツハニー。
 ショコラは一個300円から(350円から400円が主流)。 その割に一粒が小さい。 なんて高いの!、と絶句しそうになるが、ひとつ食べてみたら・・・テンパリングが薄め、その分ガナッシュがしっかり入っていて、なめらかだったりいろんな工夫が込められている。 賞味期限が短いので、外国産の輸入ものに比べて長く保つためのものが少ないのかな?
 うむ、意外といける。
 しかし一個のお値段を考えたら当たり前のような・・・。

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