2020年01月12日

リチャード・ジュエル/RICHARD JEWELL

 試写会に当たったので行ってきました!
 神戸市内で試写会って初めてだ〜。 しかし当選ハガキを当日、映画館カウンターで座席券に引き換えなければならず、場合によっては満席でお断りすることもあるという! ダッシュで仕事場を去り、可能な限り早く行ったのだが、「もうお席が少なくなっておりまして〜」と言われてしまう。 結構多めに出しているのか。 でも席が取れてよかったです。

  リチャード・ジュエルP.jpg 1996年、アトランタ爆破事件の実話
   その日、全国民が敵になった――

 1996年、アトランタ。 オリンピックが開催中のこの都市で、爆破テロ事件が発生した。 記念公園で警備員としてその場に居合わせたリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)はベンチの下に置き忘れていたリュックを見つけ、その存在を周囲の警官に知らせ、爆弾処理班を呼んでもらう。 その間に何か起こったら困ると、野外コンサートでノリノリの観客たちを少しずつベンチから離れてもらう。 結果、被害者は出たが爆弾の威力から考えたら奇跡的に少なかった。 一夜にして<アメリカの英雄>となってしまったリチャード。
 しかしFBIは<孤独な爆弾魔>のプロファイルにリチャードが当てはまると、特にショウ捜査官(ジョン・ハム)はリチャードの犯行を疑わず、懇意の新聞記者キャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)に情報をリーク。 地元紙は一面でリチャードが犯人に違いないと書き立てる。 リチャードと、母親のボビ(キャシー・ベイツ)の生活は24時間ずっとマスコミに囲まれるものになってしまった・・・という話。

  リチャード・ジュエル1.jpg リチャードはとにかく法と秩序を重んじる、すべての人のために役に立ちたいと考えているタイプ。 それ故にちょっと周囲と話がかみ合わなかったり、空気が読めない人に見える。
 リチャードが備品係として働き、弁護士ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)と知り合いになった十年前のエピソードからじわっと始まるので、映画はかなり静かなペース。 リチャードの言動を部分的に見ていくことで、彼がどういう人なのかわかってくるが・・・観客ひとりひとり感じ方が違っていくかも(イメージを決めるような言葉が一切出てこないから)。 あたしは「この人、なんかずれてないかな?」といぶかしく思い、彼の不用意な言葉に「ほんとにこの人、犯人ではないんだよね?」と動揺してしまう。
 実際に爆弾が置かれ、911に予告の電話があり、爆発した状況を考えると犯人は別にいるのだが・・・疑われる・疑いを深めかねないリチャードの言動をあえて残しているのがイーストウッドの意図したところなんだろうけど、現実はドラマのように証拠映像はないし、「立証の難しさ」について改めて考えることになった。

  リチャード・ジュエル2.jpg どんな手も使いそうなショウ捜査官(ジョン・ハム)。
 ショウ捜査官は自分の地元に爆弾を持ち込まれたことで怒ってる、どうしても犯人を捕まえたいという気持ちはわかるが、何故あんな結果ありきの行動をするのか。 また毒花のような新聞記者の見た目があまりにステロタイプでげんなりするが、オリヴィア・ワイルドの無駄遣いではないことがありがたい。 誰が出ているか事前に調べていなかったので、キャシー・ベイツ登場にはびっくり! このお母さん、素晴らしい。 ワトソンの秘書ナディア(ニナ・アリアンダ)もすごくいい人! ダメな人がたくさん登場するので、この二人が清涼剤。

  リチャード・ジュエル4.jpg リチャードとワトソン、いつしか二人の友情が。
 以前の彼を知っていて、そんなことをするやつではないと言い切るワトソン、さりげなくもカッコいい。 こんなにカッコいいサム・ロックウェルがいただろうか! 「なんで大切なことを事前に話さないんだ!」とぶちぎれる姿もいい。
 マスコミの無責任さは今も変わっていないが、ネット社会である現在ならばリチャードはどんなことになったのか。 いやいや、疑わしいという印象で決めつけられて一気に情報が流通してしまう例をいくつも見てきているではないか。 あたしだってリチャードに対して「そんな感じでは疑われても仕方ないのでは」と思ってしまったし。 空気読めないとか、ズレた受け答えをするからといって犯人だと決めつけられていいわけではないのだ。
 それ故に、終盤で示されるリチャードの“尊厳”に、胸が熱くなるのだろう。
 二人の友情にも。
 FBIもマスコミも責任を取らないためすっきりしない感は残るが、リチャードとワトソンの関係性であたたかい気持ちになる。 「あとはそれぞれ考えて」も押しつけがましくなく、イーストウッドの職人芸を堪能。 89歳でも一年映画一本ペースで作り続けているパワーに脱帽する。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする