2020年01月09日

依頼人は死んだ/若竹七海

 今月後半からNHKのドラマ『ハムラアキラ』(全七回)が始まるということで・・・どの原作が扱われるのかさっぱりわからないのだが、シシド・カフカの年齢的にこのあたりが近いかも、それに短編集だからドラマのもとにはしやすかろう、と思い、ものすごく久し振りに再読。 奥付を見ると第一刷は2003年。 約17年前なの!、と絶叫したくなった。 『プレゼント』はもっと前だよね・・・調べるのがコワい。

  葉村晶 依頼人は死んだ.jpg 私立探偵(調査員)・葉村晶初単独主役の短編集。
 長谷川所長の事務所で三年勤め、離れようとしたところを所長が「うちの手が足りない時に手伝ってくれないか」ということでフリー契約となった葉村晶の20代後半の日々。 旧友の相場みのりとルームシェア時代。

 一本目『濃紺の悪魔』の冒頭で絶句する。 葉村晶の家族、特にすぐ上の姉の話をすっかり忘れていた!
 こんな衝撃的なことを何故忘れていたのか。 続きのシリーズで触れていない(姉がいる、というのは出ていたが)せいもあるけど・・・『濃紺の悪魔』のしめくくりで納得。 この感じがちょっとしっくりこなかったんだよな、と。 いまとなっては「それはそれでありかも」と思えるのですが・・・あの当時はもっとリアルに振ってほしかったんだろう。 だが・・・それ故に彼女の“運の悪さ”と“悪運の強さ”の証明にもなるんだよな。
 海外のミステリ・スリラー系のシリーズでは主要キャストやその近しい人がひどい目に遭っていることが多く、それもまた事件を追う個人的な動機になっているのだけれど、葉村晶もまたそうだったのか、と気づくことは驚きだった。 けれどその影がのちのシリーズに出てこないところが、彼女の強さ。
 この連作では自殺の件が多い。 日本で起こる殺人の件数よりも自殺の件数のほうが多いから、統計的にも正しい。 その分、ジトっとしたそこらへんにいる人の悪意が満載で、大変気分が悪い。 少々ファンタジックおちに行きたくなるのもむべなるかな、である。
 『私の調査に手加減はない』はぜひドラマにしてほしい。

  悪いうさぎ.jpg ついでに『悪いうさぎ』も読む。
 あ、やはりお姉さんが存在する、という話題は出たけどそれだけ。 あのおちへの目くばせはあるけれど、気づかなければそれまで。 ここから現実世界に寄り、葉村晶も年をとっていくのがかたまったんだろうか、とか考えてしまった。
 そしてやはり後味は悪い・・・この先の彼女のことを知っているから、少し気持ちはなぐさめられるけど。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする