2019年12月13日

THE INFORMER 三秒間の死角/THREE SECONDS

 えっ、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三秒間の死角』が映画になったの?、と気づいたのは何か月か前のOSシネマズのホームページで<上映予定作品>を見ていたとき。 原作はスウェーデンだが映画はイギリス、しかもハーバーランドでの公開のためミントではチラシが手に入らなかった(もともとなかったのかもしれん)。 11月29日から公開がなんかうまいこと観に行けず(限定公開を優先してしまったため)。 いつ行けるかとスケジュールを見ていたら、翌週から朝一回上映になってる! レイトショー設定のあるうちに行かねば!、と遅いけど(21:30〜23:35)平日レイトショーに滑り込む。

  ザインフォーマー三秒間の死角P.jpg FBIに裏切られた情報屋の脱出劇

 殺人の罪で収監されたが、FBIの情報提供者になることで自由を得たピート・コズロー(ジョエル・キナマン)は麻薬組織に潜入、ついにボスの“将軍”を取引現場に立ち会わせるチャンスがやってきた。 FBI捜査官ウィルコックス(ロザムンド・パイク)らがその場を急襲し、一網打尽にして組織を壊滅させればすべてチャラになり、危険な任務ともお別れ、妻ソフィア(アナ・デ・アルマス)と娘のもとに帰れるはずだった。
 しかしニューヨーク市警の若い警官が別口で潜入捜査を行っていたことがバレ、殺されてしまう。 市警のグレンズ警部(コモン)が捜査に乗り出すが、ウィルコックスの上司モンゴメリー(クライヴ・オーウェン)は市警には何も言わず、別のプランをピートに命じてきて・・・という話。
 「はっきり語らないけど、よくある展開だからそこは察して」的な省略が物語をご都合主義っぽくさせてはいるが、手掛かりを方々に散らばせて、「それはその後どうなる!」と気になって飽きさせない。 思っていたより面白かった!

  ザインフォーマー三秒間の死角2.jpg ピートがなかなかカッコいいのである。
 リブートした『ロボコップ』の人であるが、本作のほうがいい男度が上がっている気が。 北欧系なのがいい方向に出てるのか、追い込まる姿が絵になる人だからなのか、ほぼひどい目に遭わせられてばかりのピート・コズローについ同情してしまう。 序盤は「北欧ミステリをニューヨークに置き換えるのは無理があるのでは」と感じるものの、その違和感は“非情なもしくは無情の世界”を強調していると気づく(フェンタニルで商売するヤツらにかかわってはヤバいし、権力を振りかざすヤツらにかかわられるのもヤバい)。 その容赦のなさがこの映画の肝である。

  ザインフォーマー三秒間の死角1.jpg クライヴ・オーウェン、なんか久し振り。
 ロザムンド・パイクがまたしてもメイクするどころではない、使命に生きようとする女・・・とはいえこれまでとはまたちょっと違う感じ。 いろいろ葛藤する姿、よかった。 というか、出てくる人たちみんな何かを隠しているというか、あやしさ全開なので誰も信用できない・・・そりゃピートもとことん自衛するよね、それでも信じようとしてしまうところが痛々しい(2.85secondsの表記がさりげなさすぎて気づきにくいよ)。
 筋立てを話すとありがち路線になってしまうのですが、役者たちの熱演と、途中から舞台になる刑務所の「囚人の人口過多具合」の描写がものすごい。 原作の社会派な部分の面目躍如。

  ザインフォーマー三秒間の死角3.jpg コモン、かっこいい!
 最近、コモンいい感じが続いているなぁと思っていたら、最もカッコよいのが来た! 情だけでなく正義をまっとうしようとする姿、いい!
 原作ではグレーンス警部が主役だけどシリーズはもともとは群像劇なので、本質を尊重していると感じた。 彼だけが信用できる人っぽいのもまたいい感じ。
 裏切りに次ぐ裏切り、突破口が開けたかと思えば袋小路、とハラハラさせる展開ながら緊張感に満ちてないところが逆にいい(つらくて見ていられない・・・にならない)。 もやっとする感じは残りつつも爽快感もあり、しっかりエンターテイメント。
 と、すごくレイトショー向きの作品なのに・・・それでも公開してもらえるだけありがたいのだ(本作の制作は2017年)。
 映画になってもカドカワは品切れ重版未定の原作を増刷しないし(電子版はあり)、他のルースルンド作品を出してる早川書房に権利を譲ってくれ〜。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする