2019年12月10日

不穏な眠り/若竹七海

 ほら、すぐ読んじゃったじゃない!
 ゆっくり読もうとしてみたんだけど、もともとが薄い(本文で250ページない)ので無駄な抵抗に近かった・・・。

  不穏な眠り 若竹七海.jpg なんと解説は辻真先だ!
 私立探偵・葉村晶の連作短編集、4編収録。
 『水沫隠れの日々』・『新春のラビリンス』・『逃げ出した時刻表』・『不穏な眠り』収録。
 有能だが運の悪い葉村晶の不運度は、短編だとより際立つ。 度重なるとむしろスラップスティックコメディのような趣に(古いほうの『トムとジェリー』を思い出してしまうほど)。 が、解き明かされる“事件”や“謎”には、人間のいやーなところがつまっている。
 また途中で話を聞くことになる人々の中にも、ヤバい人たちがかなりいる。 この国、大丈夫かと読んでいて真顔になるほどだ。
 しかも予想通り富山店長は理不尽なことを言ってくるし(本人が自分に非がないと思っているので)、<東都総合リサーチ>の桜井さんとの持ちつ持たれつは相変わらずだし(とはいえ晶のほうが負担が大きい)、いつも通りな部分もあるけど齢は重ねていくので、いろんな意味で感情移入してしまいます。 あたしは晶さんより少し年下なのだけれど、

 男たちにジロジロ見られながら、事務所を出た。こういうとき、年をとってよかったと思う。若い時分には、アキラなのに女かよ、とガッカリされるとそれだけでへこんだ。今は気にならない。勘違いするほうが悪いのだ。
                       (――『新春のラビリンス』)

 みたいなこと言われると、「あぁ、わかる!」と力強く頷いてしまう。
 彼女の考える“人として”の最低ラインを守ることが美学となり作品世界をハードボイルドなものにしているが、ちょっと意地を張ることすらも難しい世の中だということもあるのか・・・それでも、探偵であり続ける葉村晶を見ていたいのです。 応援したい、だとちょっと違うかな・・・そうだよね、わかるわかる、と言いたいというか。
 短編のほうがミステリとしての切れ味は鋭いのだが、いろいろ内省することが多くなる長編のほうが個人的には共感ポイントが高くなるんですよね・・・短編だとすぐ読み終わっちゃうし。 あぁ、なんか読み終わってしまってもったいない。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする