2019年11月20日

レディ・マエストロ/THE CONDUCTOR

 女性指揮者という職業を初めて成立させた人をモデルにした伝記映画と聞いて、「それは素敵だ!」と盛り上がる。 オーケストラの奏でる音楽もいっぱい聴けそうだし、いいじゃないですか。

  レディ・マエストロP.jpg 奏でよう、私だけのシンフォニー。

 ニューヨーク、1926年。 音楽ホールの案内係として働いているウィリー(のちのアントニア・ブリコ/クリスタン・デ・ブーラン)は指揮者になりたくてこっそり勉強をしているが、世の中は「女性に指揮者なんて無理、不可能」という空気だった。 様々な試練が彼女を襲うが、ついにベルリンで彼女に指揮を教えてくれるカール・ムック(リチャード・サンメル)と出会い、指揮者への道を歩み始めるが・・・という話。
 時系列をいじることなく主人公の若い時から始めるので(子供時代は回想になるが)、なんとなくNHKの朝ドラっぽい雰囲気がある。 むしろ、朝ドラのように時間をかけてほしかったかも・・・かなり駆け足になっていることは否めない。

  レディ・マエストロ3.jpg 楽譜にはみっちりと書き込みがされていて、彼女の熱心さがわかる。
 現代視点で観ているせいもあるのだが、出てくる人がほぼ頭が固い・偏見に満ちた考えばかりで・・・なんかもう絶望的な気持ちに。 立場がまったく違うが、母親と呼ばれる二人の人物はお金の話しかしないし。 アメリカってヨーロッパに比べるとかなり保守的だと実感する(ピューリタニズムってやつ?)。 「女は結婚し、子供を持つ以外に幸せはない」みたいな感じ、ほんとに息苦しい。

  レディ・マエストロ4.jpg しかし恋には落ちてしまう。
 運命的な出会いを果たしたフランク(ベンジャミン・ウェインライト)は旧家のおぼっちゃまであるという王道の展開なのだが、フランクがアントニアを好きになる気持ちはわかるが、アントニアが彼を好きになる気持ちがいまいちわからない・・・アントニアの中に恋にあこがれる部分があったということなのかなぁ。 指揮者として世界を相手にしたい人が妻には家庭に入ってほしい人を好きになるのか? まぁ、理性では割り切れないのが恋愛というものではあるのですが。

  レディ・マエストロ5.jpg ベルリンにて。
 どこに行っても男社会の様子が描かれますが・・・このあたりの描写は難しいとは思うものの、表面的だと面白くないし、しっかり描きすぎるとつらいし、バランスが難しい! もっとオーケストラとの衝突と和解みたいなものが見たかったけど、それは後半部分とかぶるからかなぁ。 カール・ムック先生の人間味は素晴らしかった。

  レディ・マエストロ1.jpg そしてロビン最高!
 家を追い出されたアントニアと出会い、その後もずっと友人として支えてきたロビン(スコット・ターナー・スコフィールド)の存在が素晴らしく、この人がいなかったら映画として成立しなかったのではと思えるほど。 なんか泣いちゃったし。 実話ベースということだが、ロビンはどこまで事実なのだろう、ロビンを主役にしたほうがよかったのでは。
 ロビン役のスコット・ターナー・スコフィールド、若い頃のジェイムズ・スペイダーをやわらかくした感じで、彼を見ているとなんだかニヤニヤしてしまった。

  レディ・マエストロ2.jpg 期待の音楽は・・・。
 いろんな曲が使われていたものの、これぞ!、というものはなく・・・アントニアの指揮者ぶりもすごさを感じさせてはもらえなかった。 物語上の脚色よりも、音楽上の演出に力を入れてくれればもっと感動できたのではないか、という気がする。 こんなにすごいのに認められないのはおかしい!、と声高に言ってくれたほうがよかった。 そうすればエンディングに示された事実ももっと胸に迫っただろうに。
 オランダ映画だがあまり尖った感じがなく・・・そういう意味でも朝ドラだった。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする