2019年08月27日

鉄の花を挿す者/森雅裕

 というわけで、引き続き森雅裕の日本刀がらみの話。
 これは1995年発表。 この時期はあたしが単行本を買えなくて・・・文庫化を待っていたのだけれど結局文庫にならず、図書館で借りるだけ。 ある時期から「とりあえず買っておこう」と実行するようになったのは、こういう失敗を繰り返してきたからだ・・・お菓子などの新製品はワンシーズンでなくなることもあることはわかっていたが、本ですら手に入らないことがあると実感したのはだいぶあとになってからなので(それに、わかっていても経済的な問題などで全部を買うことができないしね・・・)。
 だから図書館は助かるんだけど、収納スペースの問題・本そのものの物理的な消耗などで毎年一定数廃棄されるという・・・。
 利用実績がないと廃棄されるのではないか、と心配になるじゃないですか(『マンハッタン英雄未満』、今は登録されていないんだよ!)。

  鉄の花を挿す者 図書館書庫本.JPG こっちは書庫にいっている・・・郷土資料にしてくれないの・・・。
 新進気鋭の刀鍛冶、角松一誠は腕は確かだが人付き合いに労力を割けない頑固者。 だから師匠逝去の知らせも遅れて耳に入る。 あわてて師匠の自宅兼仕事場に駆け付けると、師匠最後の仕事に疑念が生まれ・・・という話。
 角松さんは『平成兜割り』の六鹿さんを更に頑なにして、職業を刀鍛冶にした感じ。 あっちが一人称だったのに対してこっちは三人称なので、青くさい厄介な態度もちょっと我慢できるかなぁ。 この感じじゃ生きづらいよな・・・と今どうしているのかよくわからない著者のことを考えずにはいられない。 刀鍛冶に弟子入りしたとか、鍔をつくっているとか噂は聞いたけど、ほんとかどうかわからないし。
 殺人事件も起こり、ミステリとしての仕立ても強まっているが、日本刀への知識や情報もより深まっている。 日本の剣刀業界は今でもこんな感じなんですか・・・と思っちゃうくらいヤバいことも書かれている。 勿論、フィクションですよね、はい。
 以前読んだときは、「恋愛小説としての比重をちょっと高めたか」と思ったのだけど・・・改めて読んでみるとそれが効果的なのかどうかはっきりしない。 ヒロインたる今日子さんの芯の強さがいまいちわかりにくいからか(いや、強い人ではあるんだけど、他の作品の女性主要登場人物に比べてわかりにくいのだ)。 運命の出会いを描いていたと思っていたけど、結局美人に弱いのかしら。
 刀鍛冶として、というか自分が願う美に生涯を捧げると決意した者の生き様を描いている、という意味でなんだかんだ言いながら忘れがたい。 すみません、あたしにはそんな覚悟はないです。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする