2019年08月10日

今昔百鬼拾遺 鬼・河童・天狗/京極夏彦

 最初、本屋さんで『鬼』を見かけたときは、「おお、ついに京極夏彦がラノベのレーベルから出る!」と衝撃を受けました。
 それが四月下旬ぐらいのことでしたかね・・・気づけば違う出版社から三か月連続三作刊行、主な視点人物は中禅寺敦子さんだという! えっ、百鬼夜行シリーズなんですか?! じゃあ読まなきゃ!
 扱いとしてはスピンオフのようですが・・・帯には<百鬼夜行シリーズ>と書いてます。 『姑獲鳥の夏』以降数作ぐらいのときは<京極堂シリーズ>と読者に言われ、作者が「その呼び名は好きではない」的なことを言ったとかで<妖怪シリーズ>と言われたこともありましたが、いつの間にやら<百鬼夜行シリーズ>という名前で固定化されたようです。 というか、今のところシリーズ本伝の最後って『邪魅の雫』よね・・・もう何年も前ですよね、微妙に忘れてるんですけど・・・。

  今昔百鬼拾遺1 鬼.jpg 鬼/京極夏彦
 昭和29年3月、連続通り魔事件・<昭和の辻斬り事件>が発生。 級友が被害者となってしまった呉美由紀は中禅寺敦子に相談する・・・という話。
 章のはじまりが同じ言葉(いう人が違うけど)で始まるとか・・・民話っぽくもあり落語っぽさもあるかな、と(それはこの三作全部に共通)。
 でもこんなに文章は短かったっけ? こんなに改行が多かったっけ? そこはやはり若い読者向けにしているのかな、と。
 呉美由紀さんは『絡新婦の理』に出てきた女子高生。 京極堂やらメインキャラクターはあえて登場しませんが、噂話として存在は感じられ、過去の事件の話についても言及があるので「あぁ、あれはあの話か・・・」と記憶が掘り起こされるのがうれしい。 サブキャラの中ではあたしは青木さんが好きなんだよなぁ、とか思い出したりして。
 とか思っているうちにあっという間に終わる・・・270ページくらいで700円以上とるなんて、ひどいわ!
 日本刀の話が出てきますが、あたしは森雅裕の『平成兜割り』や『鉄の花を挿す者』を思い出しちゃいました・・・。

  今昔百鬼拾遺2 河童.jpg 河童/京極夏彦
 2冊目の舞台は昭和29年の夏。 蛇行する川に浮かんだ奇妙な水死体その他の話。
 死体の第一発見者は妖怪研究家の多々良勝五郎らご一行で、何故かその場に呉美由紀ちゃんも居合わせるという関口君ばりの運の悪さである。 引き続き中禅寺敦子さん視点で話は進みますが・・・薔薇十字探偵社の益田さんが都合よく情報提供をしてくれるという。
 それにしても・・・敦子さんの考え方は完全に平成後半〜令和の時代の人間のもので、昭和29年のものではないよなぁ、ということがすごく気になった。 前からそういうところはなくもなかったけど、お兄さんが相手だとあまり目立たなかったのかもしれない。 そのあたりも今風を意識? 美由紀ちゃんが清々しいほどに元気なのがうれしい。
 さすがに100ページほど増え、やっとそれらしい分量になりました。
 その中で、京極堂さんたちは東北にいるという会話が! これまで東北を舞台にした話はないはず。 それって新作予告?

  今昔百鬼拾遺3 天狗.jpg 天狗/京極夏彦
 三作目は昭和29年の夏以降。 またしても美由紀さんは薔薇十字探偵社を訪れたことで篠村美弥子と知り合いになり、彼女が抱えていた謎の事件に巻き込まれる。 美弥子の友人が高尾山中で消息を絶ったのだが、その約二か月後、彼女の服を着た別の女性の腐乱遺体が群馬県迦葉山が発見されたのだ。 これは一体どういうことか・・・という話。
 前半はほぼ美由紀さんと美弥子さんのお喋り。 後半になってやっと青木くんが登場する! 久し振り!
 ・・・しかし事件は、ただひたすら後味が悪い。
 この三連作の主役は美由紀ちゃんだな、と思うことが唯一のなぐさめ。

 4月から配置換えになり、仕事場でいろんな人と知り合っている(前から知っている人もいるけど)。
 で、文学部卒業で子育てで大変だった時期以外は常に本を読んでいる、という人とちょっと仲良くなりました。 でも部署は違うからそんなにつっこんだ話はできてないんだけど。
 「かしこんさんは夏休み、何を一気読みですか?」と聞かれて・・・「夏休みに一気読みしよう、と本を寄せてたらどんどんたまってきてしまって、間に合わないかも・・・」と答えていたのに、それからまたこれで3冊追加になったという。 でもこれらは一日で読み終わったから、まぁよしとしよう。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする