2019年07月08日

島はぼくらと/辻村深月

 なんとなく勝手に「離島を舞台にした青春もの」だと思っていましたが・・・全然違った。 いや、島に住む高校生4人が主要人物なのでそういう意味では“青春もの”で間違いないのだが、離島じゃなかった。 買ってから2年以上も放置して何を言ってるんだって感じですが・・・フェリーで20分の瀬戸内海の島、しかもIターンを積極的に誘致しているという若干トリッキーな設定で、読み始めちょっと焦る。 これは思っていたものと違うかもしれない。
 いや、違ってていいんだけどさ・・・。

  島はぼくらと.jpg 表紙のイメージはそういう少女マンガっぽいじゃん。
 瀬戸内海に浮かぶ冴島。 朱里、衣花、源樹、新の四人は島の同級生だからフェリーに乗って一緒に高校に通っている。 島の若者たちは高校卒業と同時にほぼ島を出ることになるのだが・・・という話。

 高校生4人が主人公なのかと思っていたら・・・大人の女性たちも思いのほかクローズアップされて、「女たちの物語」になっていた。
 「シングルマザーの島」と一部で冴島が呼ばれたように、「親」と「娘」の関係性に重きが置かれている。 彼女らを描くために、4人が狂言回しになっているときもある。 だったら最初から群像劇でよかったのに(完全なる三人称にした方が。 途中での視点のブレが気になった)。 男子2名が割と便利な存在になっており、そんなことなら最初から女子二人をメインにした方がよかったのでは・・・という気もしたり。 全体的に<女の友情>が描かれているので、男性が割を食っている感じがしてしまうからかもしれない。
 とはいえ、「地方で生きることを肯定する物語」なのはすがすがしい。
 地方は生きづらい、という話が多いから・・・まぁ、それも事実ではあるのだが、地方は地方なりにいいところはある。 結局は自分がどう生きるかという話になってしまうのだが。 その分、冴島のとっている人集め・島おこしの内容が「突拍子もない」と「いい話だけど裏がある」の間みたいな感じなので・・・リアリティは「?」だけど、これはこういう設定だと割り切れば。
 あたしはずっと人口30万行くか行かないかぐらいの地方都市で暮らしてきたが、不便はあってもそれはそれでやってきたし、十分だったと思う。 むしろ情報や知識しかなくて実物を見たことがなかったから、都会に行くときはいろいろ見ようと思ったし、神戸市で暮らすようになってからもいちいちいろんなものが新鮮である。 生まれた時から大都市が身近にある人たちは、そして歴史的な事柄もちょっと見回せばたくさんあるのに、意外と興味を持っていないのを見ると、「なんてもったいない」と思っちゃうけど、そんなもんなのかなぁ、とむしろ自分の貪欲さが一般的ではないことにおののくから。
 勿論、島にも厄介なところはありますが・・・それとどう折り合っていくのか、自分がずっと住むのならどう変えていきたいのか。 そこです! 人が多いと「誰かがやってくれるだろう」に流されがちだけど、人が少なければ「やってくれる人はいない・自分がやるしかない」と思うようになるもの。 そこがいいなぁ、と。
 おさななじみとの別れはつらいと思うけど、「大人になってからだってまた違う友達はできるよ」ということも言っておきたい。
 本作での蕗子とヨシノがそうだったように、あたしもそうだし! 昔からの友達は特別だけれど、それ以外存在しないわけじゃない。 17歳では想像しにくいとは思うけど、時間がたてばわかる。
 まぁ、いろいろあっても、切なくもすがすがしい気持ちになりましたよ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする