2019年07月31日

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢/LE GRAND BAIN

 「ダメなおじさんたちの『ウォーターボーイズ』」だね、とポスターから感じ・・・でもマチュー・アマルリックが出てるからもうこれは観なければ!、なんだけど。 フランス映画にこんなわかりやすい系のコメディが増えてきたのか、日本に公開される作品が増えてきたのか、どっちだろう。

  シンク・オア・スイムP.jpg 人生を舞え。ぶざまにかっこよく
  フランスで動員400万人突破の大ヒット作! 実話を基にした、おじさんシンクロチームが巻き起こす、七転び八起きの生きざま改革!

 ベルトラン(マチュー・アマルリック)はうつ病で会社を辞めて以来2年ぐらい引きこもりがちな生活を続けている。 どうにかしなければと思っているとき、地元の公営プールで「男子シンクロナイズド・スイミングメンバー募集」のチラシを見つける。 なんとなく気になってしまって仕方のないベルトランはあっさり加入するものの、メンバーはやたら怒りっぽいロラン(ギョーム・カネ)、仕事に行き詰まりを感じているマルキュス(ブノワ・ポールヴールド)、自己表現が苦手でこじらせちゃったティエリー(フィリップ・カトリーヌ)、ミュージシャンになる夢をどうしても捨てられないシモン(ジャン=ユーグ・アングラード)などなどみんなが、家庭や仕事や今後になんらかの不安を抱えるミッドライフ・クライシスど真ん中のおじさんばかりだった・・・という話。
 ちなみに、2017年7月22日に国際水泳連盟が種目名を<シンクロナイズド・スイミング>から<アーティスティックスイミング>に変更すると発表し、日本水泳連盟も2018年4月1日より<アーティスティックスイミング>に変更した経緯がありますが、これは<シンクロナイズド・スイミング>時代の話で、スウェーデンの実話をフランスに置き換えたものだそうな。

  シンク・オア・スイム1.jpg ダメなマチューがキュートで!
 ベルトランのダメっぷりに胸がきゅん(?)となりますが、見捨てそうだけど決して見捨てない奥さんの姿に更にきゅんとする。 あたしはこういう人になれるかなぁ、と考えて。 またフランス映画らしくほぼ説明がなく、会話の端々や関係性を示す映像で徐々にわからせていく感じがいい! 過剰にドラマティックにしない演出も楽しい。 それでも最初と最後にベルトランのナレーションが入ったりしてわかりやすくなっている工夫は、フランス映画に慣れていない人にやさしい。
 「バカにされながらもシンクロがんばります」というストーリーのベースがはっきりしてるからかな。

  シンク・オア・スイム5.jpg こういう対称の構図が効果的に使われている。
 ベルトラン以外の個別の事情がじわじわとわかっていくにつれて群像劇の方向に。 意外とプールのシーンは多くないので、演技派・実力派のおじさんばかり揃ってくれているところを堪能できる。 練習後のサウナ室や休憩室での会話、観ていてとても面白い。 だからプールの中で動きがばらばらの彼らがちょっとでも揃うようになってきたら、やたらうれしい気持ちになる。

  シンク・オア・スイム4.jpg ギョーム・カネを初めてカッコいいと思いました。
 マチューが好きなのでついベルトランを目にかけてしまうのだが、ギョーム・カネ演じるロランが大変魅力的・・・子を連れて妻に逃げられ、実の母親からもひどい言葉を投げられ・・・自分が抱えている怒りに向き合わざるを得なくなっていく過程が、仲間たちとの関係とうまくリンクしていてじわじわきました。
 コーチのデルフィーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)と車椅子のアマンダ( レイラ・ベクティ)との関係も、多くは語られないけど“女の友情”なんだよなぁ!

  シンク・オア・スイム2.jpg カッコ悪いことはカッコいいのだ。
 終盤の盛り上がりは、なんともいえない多幸感に包まれる。 選曲も楽しかった。 がんばったことは結果に関係なく、積み重ねたことが自信になるのだなぁ、と努力が苦手なあたしにその尊さを教えますよ。 もし結果がついてきたのなら、それはそれで。
 “SINK OR SWIM”は英語圏で公開されたときのタイトルで、原題の“LE GRAND BAIN”は『グラン・ブルー』へのオマージュ? BAINはフランス語で浴槽・バスタブのことだけど、“巨大な浴槽=プール”ということか・・・。
 同じ実話をもとにしたイギリス映画『シンクロ・ダンディーズ』も近々日本公開とのこと。 当然、見比べないといけませんが・・・世界中が映画のネタを探してるんだなぁ、ということも実感します。

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2019年07月29日

今月最後の5冊。

 気がつけばもう7月も終わりに近づいているのだった。 梅雨が明けたと思ったら一気に暑くなって、もうげんなりな日々。 早く夏が終わってほしい、そして秋を楽しみたいんじゃ!

  ケイトが恐れるすべて ピーター・スワンソン.jpg ケイトが恐れるすべて/ピーター・スワンソン
 『そしてミランダを殺す』の著者の新刊。 もうそれだけで、じわじわ期待が押し寄せる。
 今回の舞台はロンドンとボストン!
 一気読み間違いなしだという・・・お盆休みを使えと?! 最近の土日はたまりにたまった海外ドラマを観るのに使っているのでね・・・。

  太陽の帝国 バラード.jpg 太陽の帝国【新訳版】/J・G・バラード
 これは昔、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画で知ったんだけど(主人公は子役時代のクリスチャン・ベール)、原作がJ・G・バラードだと知ったのはあらためてバラードを読み始めた比較的最近のこと。 しかも映画の脚本はトム・ストッパードだったという! あぁ、映画もまた観直さねば。 その前にちゃんとこの原作を読んでから。

  わらの女 新訳版.jpg わらの女【新訳版】/カトリーヌ・アルレー
 東京創元社の名作ミステリ新訳プロジェクト、7月はこちら。 これもまた「名前を知っているが読んだことがない」やつ。 あたしの時代にはもうフレンチミステリの勢いは弱かったのだろうか。 そう思うとピエール・ルメートル、すごい。 現在にフレンチミステリをよみがえらせた。
 原著は1956年発表らしい。 アンナ・カヴァンより新しいのか!、ということに驚く。 子供の頃から古典だったものって、正確な年代がわからない・・・。

  カリ・モーラ トマス・ハリス.jpg カリ・モーラ/トマス・ハリス
 『羊たちの沈黙』のトマス・ハリス、13年ぶりの新作!
 とはいえ事前にあまり情報がなくて・・・今更ハンニバル・レクター(とクラリス・スターリング)は帰ってこないだろうなぁ、とは感じてはいた。 本書を手に取ってみて、「やはり、そうか」。
 <『ハンニバル』よりも異常な猟奇殺人者 VS.『羊たちの沈黙』を超える美貌のヒロイン>・・・<恐怖と狂気に彩られた圧倒的展開!>のサイコ・スリラーだそうで。  派手でわかりやすいコピーはいいが、ハードル上がりますけど。 レクターよりも異常って・・・大丈夫?

  死者の国 ポケミス.jpg 死者の国/ジャン=クリストフ・グランジェ
 『クリムゾン・リバー』の著者による大長編。
 早川書房のツイッターをたまたま見て、「ポケミス史上最厚のレンガ本」と紹介されていたのでちょっと気になっていたのだが・・・『三体』三部作は文庫になるまで待とうと決めたので、かわりにこっちを買った! 『三体』も銀背で出たなら買ったのに(なんだかんだとこのサイズ、結構たまってきてしまったので・・・どうせなら一段並べるさ)。
 『クリムゾン・リバー』を読んだのってもう20年前ぐらいになるんじゃないの? すごく盛り上がって面白かった! そのあと映画を観て微妙にがっかりした記憶・・・。 だからこの著者のは小説のほうが面白い!、というわけで買った。 税込3240円だが、文庫2冊で終わらないかも、と思えば大して値段は変わるまい。 これまたお盆休みに一気読み候補。 あぁ、他にもいっぱいあるのに・・・。

ラベル:新刊
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2019年07月27日

ホームドア、設置工事中。

 JR神戸線では、あたしの知っている限り六甲道駅にしかない<ホームドア>。
 東京の地下鉄などにあるものとは違って、六甲道駅ではすだれ状のものが上がったり下がったりしてから列車のドアが開閉する。 六甲道は小学生が昇降するのが多い、ということから早めの採用になったらしい(試験運用中、というで)。
 しばらく前から、「JR三ノ宮駅でもホームドアを設置します」という告知は出ていたのだけれど・・・「乗客のみなさんの安全のため」というより(勿論それもあるでしょうが)、三ノ宮駅で人身事故とか起こったら他への影響が尋常じゃないことは利用者はみんなわかっている。
 いつからなんだろうなぁ、と思っていたら、先日途中下車したときに、もう器具の設置が始まっていることを知る。 実際の運用開始は19年秋からの予定とか。

  201907JR三ノ宮駅ホーム工事.JPG こういうのが等間隔で。
 ホームドア(正確には「昇降式ホーム柵」というらしい)が並び始めましたが・・・ホーム自体が広くなったわけではないので、昇降客が多い時間帯だと、「うっ、これ、邪魔!」と思ってしまう現状。 まだみなさんが慣れていないので動線がばらばらだから余計に。
 改札へとつながる階段と、そこからホーム側に出るところは今でも細い。 そこにホームドアの機械がかぶると更に狭くなるし、待っている人と降りる人たちがすんなりとすれ違えないのは明白。 停車時間に余裕をとっていただけるんでしょうね!
 ホームに人があふれる時間帯にはあまり近づきたくない、と思ってしまいましたよ。 でもきっとそのうち、慣れるんでしょうけど。

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2019年07月26日

今シーズン初、セミの抜け殻

 最近までセミは静かだったのだが・・・ちょっと前、いきなり鳴き出して(そう、ネコがちょっかい出していた日の翌朝であった)、「あぁ、やばい、ついに30℃越えの日が来たか・・・」と観念しかけたところ、また鳴かなくなった。
 しかしついにというか、満を持して「誰かがホースで水を撒いている」音で目が覚めた。
 セミの鳴き声、全開。
 朝の空気が少しさわやかな感じがしたので、「あぁ、梅雨が明けたのかな」と思った。
 あぁ、容赦なく気温が上がる・・・でもこの湿気が多少減ってくれればそれでいいんだけどさ。

  201907セミの抜け殻.JPG 通りすがりのおうちの塀・・・多分アブラゼミ?
 今シーズン初、セミの抜け殻を発見!
 でもなんとなく・・・セミの鳴き声が何種類か混ざってる気もするんだよね・・・それともドップラー効果?(いや、あたし徒歩だから、そんな高速に移動できない)。
 あたしを朝集団で起こすのはクマゼミだ。 でも最近、ニイニイゼミの声も聞こえるような・・・。
 北東北ではセミといえばほぼミンミンゼミでした、あとツクツクホウシね(今はどうなっているかよくわからない)。 神戸市内では全然ミンミンゼミの鳴き声、聴いてないなぁ。 ミンミンゼミは暑さを引き立たせる象徴のような存在だったけど、こっちのクマゼミの大群に比べたらかわいいものでした・・・(場所によってはクマゼミに体当たりを仕掛けられるしね)。
 不安定な気候の中、短い地上生活に踏み出した彼らに敬礼!

ラベル:季節もの
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2019年07月25日

とりぱん 25/とりのなん子

 『とりぱん』、25巻です。
 うわー、読み始めて何年たつんだろ、と思ってしまった。 日常を描くエッセイマンガは、リアルタイム感がより強くなる。 つまりあたしもそれだけ、北東北の冬を体験していないということなんだが・・・。

  とりぱん25.jpg 今回の表紙はミヤマホオジロ。 結構活躍。
 今回は2018年秋〜2019年春あたり。
 24巻からの間が早い気がするのは、別雑誌に掲載されたエッセイが巻末にまとめられ、それが結構ページ数あるからかな。 引っ越しの話はうっすら以前聞いた気がするけど、具体的にされるとあらためてコワい・・・。
 今回は「特にこれ!」というのはないけど(その前の冬はタカが大暴れで流血多しだったことを思えば、平和だ)、7月のこの暑さの中、晩秋〜冬〜春から夏のはじめの暑くない時期のことを読むのはなごむ・・・いつもとは違う、乱れがちの天候でも。
 自然といっても人間が暮らしているのは人間用に手が入れられた土地。 野生の鳥やさまざまな動物たちは意図してそこに紛れ込んでくるわけじゃない、彼らの通り道に、人間がいるだけのこと。 北東北に住んでいるとき、あたしもそう思ってた。 こっちに来て、都市に住んでいることで見失いがちなことをいつも考える。 むしろ都市だから間近に見ることもあるしね(駅の建物の中にツバメが巣をつくってて、「あそこに巣がありますので落下物に気を付けて」の張り紙あり。 向こうにいたときはツバメが巣をつくれるような場所が身近になかったからー山の中とかにあったのでしょう。 ま、寒いし。 だから神戸に来てからツバメをよく見るようになった)。
 夏にシオカラトンボが見られないのは寂しいけど、アオスジアゲハが見られることは感動! こっち、ムクドリ多すぎ!
 そんな、地域の違いも楽しめるのがきっとしあわせ。 でも暑いから、神戸の気候が北東北にならないかな・・・という妄想を捨てきれない。

ラベル:マンガ 新刊
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2019年07月24日

それから、大物以外 (その2)

 大物以外にも買った本、つづき。 やっぱりなんか、多くない?

  月と太陽の盤 宮内悠介.jpg 月と太陽の盤 碁盤師・吉井利仙の事件簿/宮内悠介
 サブタイトルが若干ダサい気もするが・・・碁を題材にしたミステリ的な話、ということで「『盤上の夜』のインパクト再来ですか?!」的な期待があたしの中で勝手に高まっている。 でもこの表紙の装丁、なんかのれないわ・・・。

  母性のディストピア1接触篇.jpg母性のディストピア2発動篇.jpg 母性のディストピア/宇野常寛
 『T:接触篇』・『U:発動篇』というサブタイトルがずるい!
 宮崎駿・富野由悠季・押井守作品を現代の視点から読み解く評論、ということですが、サブタイトルこれだし、当然富野作品に多く踏み込んでくれるんでしょうね!(巻末に筆者と富野由悠季との対談あり)
 母性のディストピア・・・それが(定義は正確にはよくわかりませんが)“萌えアニメ”につながっていくことになったのでしょうか。 そのあたり、確認したいと思います。

  釣りとごはんと、恋いは凪2.jpg 釣りとごはんと、恋は凪 2/小池田マヤ
 意外にも、というか、思いのほかハイペースで2巻が出たような気がしてびっくり。 <釣り>と<おいしいごはん>という好きな人は好きな要素が2つ揃っているからか? この作者はほんとにそのときの自分の趣味や好みが作品に出る・・・だから面白かったりするわけですが。
 これまでの作品の中でも一二を争うダメな彼氏(ほんとにクズな男というわけではなく、その中途半端っぷりがダメ認定)が出てきますが、作者の余裕なのかそんな彼をも「それはそれであり」としているところにあたしは驚きを禁じえません!
 あぁ、『バーバーハーバー』のマスターが懐かしい・・・。

  ちはやふる42.jpg ちはやふる 42/末次由紀
 クイーン戦前夜、だけで一巻使われた・・・かなちゃんはかわいくてまっすぐで気遣いの人で大好きですが、いろいろそこまでトラブル大発生しなくてもよくない? ギャグだ、完全にギャグだ・・・ドタバタギャグを乗り越えて感動・・・とかは別にいらないので、普通でいいのに。 もうそんな小細工しなくても十分なストーリー展開になってると思うんだけど。
 ただ、「クイーン戦がやっと五番勝負になった」ことに対する歴代クイーンたちの思い出話には目頭が熱くなる。 「女の味方はやはり女」なんですよ、絶対。

ラベル:マンガ 新刊
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2019年07月23日

ゴールデン・リバー/THE SISTERS BROTHERS

 予告を観たときに・・・「あれ、これ、ちょっと『シスターズ・ブラザーズ』っぽくない?」と感じたんですよ! でもまさか原作とは! だって、予告から受ける雰囲気は全然違うから! 「『シンプル・フェイヴァー』がシリアスな原作をパンクにして成功したように、原作のテイストを変えて映像化するのが最近のトレンドなのか?」(原作モノが多すぎるからそういうことで差別化を図ってるとか?)、とか考えてみたけど・・・実際どうなっているのか確かめたくなりました。 キャストも好みですしね。

  ゴールデン・リバーP.jpg 夢に、目がくらむ。
  決して手を組むべきではなかった4人の一攫千金ウェスタン・サスペンス

 ゴールドラッシュ時代のアメリカ、オレゴン準州。 チャーリー(ジョン・C・ライリー)とイーライ(ホアキン・フェニックス)は主に提督(ルドガー・ハウアー)から仕事を受ける凄腕の殺し屋で<シスターズ兄弟(シスターズ・ブラザーズ)>として恐れられていた。 次なる標的はある化学者ウォーム(リズ・アーメッド)だが、彼の居場所は偵察係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が手紙で知らせてくるという。 全部自分たちのペースでできないことに不満を抱えるイーライに、チャーリーは諭して聞かせるが・・・という話。
 とぼけた雰囲気から始まるので・・・「あれ?」と肩すかし。 どうやらシリアス路線ではないらしい。 おまけに説明とかもあまりなく・・・序盤は無法で無情な世界があっさりと展開し、ほぼシスターズ兄弟の会話劇(しかも原作とは兄弟関係が逆な気が)。 これは筋を追いたい(けど原作を読んでいない)人にはわかりにくい!
 でもこの人たちの芝居を味わいたければ最高!
 「次の村までどれくらい?」という問いに対して「2日かな」という答えが返ってくるのが「おお!」と思う(距離じゃないんだね)。

  ゴールデン・リバー1.jpg 似てるとか似てないとか気にならないほどに二人は兄弟である。
 いわゆる西部劇がどんなものなのかはよくわからないんだけど、この映画、細部までいろいろリアル。 汚れ具合とか色のかすれ具合とか、砂ぼこりに金属のサビ、「あぁ、この時代の衛生状態、耐えられないかも・・・」と思わされるほど。 だからチャーリーが初めて歯を磨くシーンとかがすごくかわいくて、微笑ましくてかなしい。

  ゴールデン・リバー2.jpg この二人、『ナイトクローラー』でも共演してましたね。
 原作ではそれほど登場人物としての比重が高くないこのふたり、化学者と偵察・連絡係をピックアップしたことで、ゴールドラッシュ時代の西部がどんな感じかよりわかるというか・・・提督の影響下にあるものの大きさが感じられるというか。 インテリっぽいモリスがなんで追跡屋みたいな仕事をしているのか不思議ではあるけど、他に仕事がないのかもしれない。 だから化学者が語る夢にのめりこんでしまうのかもしれない。 途中かなり省略される二人の信頼関係の構築、もっと見たい気もしたけど。

  ゴールデン・リバー4.jpg ぼさぼさのジェイク・ギレンホールはちょっとキュートだった。
 現実がひどいからこそ“理想の世界”を思い描きたい、それを現実にさせたい気持ち。 これまで押し殺していた分、モリスの無防備なまでの純粋さが爆発しちゃう感じなのかなぁ。 それで余計に人の命の軽さが浮かび上がるわけだが(凄腕の殺し屋とは思えない兄弟の間抜けぶりと実際の確かな腕の対比も)。
 フランス人のジャック・オーディアール監督だから<いかにも西部劇>にならなかったのかもしれないけれど、むしろ今<いかにも西部劇>を撮るほうが難しいかも。

  ゴールデン・リバー3.jpg 弟の髪を切ってあげる兄!
 おかしなことに・・・愚直ではあれども人として大事なことを見失わまいとするイーライがだんだん素敵に見えてくるんですよね。 最後のほうは「ジョン・C・ライリー、かっこいい!」と思ってしまう。 だから兄弟のキャラを逆にしたのか(どう見てもホアキン・フェニックスのほうが年下)。 主な登場人物は4人ではあれど、あくまでこれはシスターズ兄弟の物語。 だからコピーの「ウェスタン・サスペンス」はなんか違う・・・サスペンス要素はあるけど一部でしかないし、『ゴールデン・リバー』という邦題も微妙。 予告編詐欺と言われるんじゃないだろうか、この4人の芝居を観たいのが目的なら文句はないだろうけど。

  ゴールデン・リバー5.jpg 馬への気遣いもいい!
 原作よりもオフビート感は抑えめだけど、完全にシリアスというわけでもない。 ラストシーンのハッピーエンド感はもしかしたら映画のほうが強い?
 あたしは結構面白かったし満足だったのですが・・・エンドロール早々で席を立ってしまう人が目立って(それも男性の一人客ばかり)、期待と違っていたのかなとドキドキ(夜のシネ・リーブル神戸では、エンドロール途中で立つ人そんなにいないイメージがあったから)。 やっぱりあのシリアスサスペンスを強調した予告編のせいでは!

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2019年07月22日

それから、大物以外 (その1)

 今月は大物以外にもいろいろ出て・・・うおー、お金と相談、が多い。 噂の『三体』も読みたいけれど、三部作の一作目だというし(残りの二作はまだ未訳)、ハードカバーだと本棚に並べにくい・・・ハヤカワ銀背だったら買おうかと思ってたんだけど。

  アサイラム・ピース.jpg アサイラム・ピース/アンナ・カヴァン
 『氷』のアンナ・カヴァンによる短編集。 こっちのほうによりアンナ・カヴァンらしさが詰まっているという噂は聞いていたけど、読んだことなくて。 再評価の流れからの文庫化、うれしい。 書かれたのは1940年ぐらいらしく・・・あたしは近頃、このあたりの時代に惹かれがちということもあらためて感じる。

  疾走!千マイル急行1.jpg疾走!千マイル急行2.jpg 疾走! 千マイル急行/小川一水
 「えっ、もう新作書いたんですか?」と思ったら、ラノベ時代(?)の復刊らしい。 2004年ソノラマ文庫刊・・・その頃ってまだソノラマ文庫、あったんだ!(あたしが読んでいた頃は、背表紙が緑の朝日ソノラマ文庫でした)。
 鉄道モチーフ、好きですが、その影響はあたしはもっぱら辻真先から受けてるな・・・としみじみするよ。

  星から来た船3.jpg 星から来た船 下/新井素子
 <星へ行く船>シリーズ復刊、番外編もついに最終巻。 もはやノスタルジーのみで買っている? 自分の記憶を確かめたいがために買っている? 夏の文庫フェアを見て・・・『チグリスとユーフラテス』もちょっと読みたくなってしまったんだけど、困ったな。

ラベル:新刊
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2019年07月21日

まずは大物揃いの6冊。

 ドン・ウィンズロウ、マイクル・コナリー、ジョー・ネスボ。 この三人の新作が同じ月のほぼ同じ時期に出るなんて!
 出版社全部違うけど、あえてぶつけた? 長編がじっくり読める夏休み前だから?

  ザ・ボーダー1 ドン・ウィンズロウ.jpgザ・ボーダー2 ドン・ウィンズロウ.jpg ザ・ボーダー/ドン・ウィンズロウ
 とにかく厚い。 上巻765ページ、下巻816ページ。
 上巻の帯の裏に著者の言葉が書いてあった。
 「私はこの物語を書くことに実に人生の3分の1を費やしてきた。『犬の力』という題名の本として始まり、『ザ・カルテル』で再開し、『ザ・ボーダー』で今完結するこの物語は、20年以上にわたって私の心に取り憑いて離れなかった」というところを読んで・・・あたしの心の奥底から「決して言うまい、思ってもいけない」と意図的に避けてきた言葉が間欠泉のような勢いで飛び出した。
 「この三部作、全部東江さんの訳で読みたかった!!」
 言っても仕方がないことだとわかっているのに、あたしはその想いを捨て切れられていなかったのだ。 その勢いのまま泣き出しそうになって・・・本を置き、いったん、その場から撤退した。
 田口訳に文句があるわけじゃない(ウィンズロウの前作『ダ・フォース』の訳も田口俊樹さんだったので想定内であった)。 ただ、『犬の力』があまりに素晴らしかったので、やはりこの三部作は東江訳で読みたかったよ・・・という詮無い願い。 あたしはまだ、東江一紀がいないことを受け入れられていないらしい。
 だが、アート・ケラーの行き先は、見届けなければ。

  訣別1.jpg訣別2.jpg 訣別/マイクル・コナリー
 ハリー・ボッシュシリーズ新作(もう何作目か数えるのも面倒・・・最近はミッキー・ハラーも出てくるし)。
 上下巻それぞれ350ページ程度といつも通りなんだけど、他に2作に比べると薄く感じちゃう・・・。
 ぐんぐん年を重ねていくハリーは、ロス市警を退職して別の市で無給の嘱託刑事として働いていて、私立探偵免許も取り直してる。 ほんとにこの人は、<生き方:刑事>なんだなぁ。
 古沢さんによる<訳者あとがき>がここしばらく、半分くらい次回作の予告になっているのは次の作品への宣伝なんだろうなぁ・・・次、読むときには予告の内容、忘れてるし。 次は珍しく女性刑事が主役の単独作だそうですが、シリーズ物の面白さはあれど制約もあるからなのかな?、と思ったのですが、そのあとの話でハリー・ボッシュと共演(?)しているそうで・・・同じ世界観で書いたほうが楽なのかな? それとも読者がそれを求めてしまっているのだろうか。

  レパード1 ハリーホーレ.jpgレパード2 ハリーホーレ.jpg レパード 闇にひそむ獣/ジョー・ネスボ
 ノルウェーのハリーこと、<ハリー・ホーレ>シリーズ8作目。
 なんと前作『スノーマン』事件で心身ともに深手を負ったハリーはなんと香港でひっそり暮らしているらしい。 ハリー・ボッシュも香港に縁が深いのに。 香港って欧米から見てどういう位置づけなの?(旧英国領だから?)
 しかし、ハリー・ホーレにそんな静かな日々がいつまでも続くはずがないわけで。 奇怪な事件が起こっているのでノルウェーに戻ってきてほしいといわれるらしい。 多分、ハリーはまだアルコールの問題を抱えてて、きっと彼はさらにひどい目に遭うのだろう。 でもそれだから読者は読んでしまうのよ、ダメダメなハリーがどこまで踏みとどまるのか、真相を見抜くのか知りたくて。

ラベル:新刊
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2019年07月19日

これが作品への影響

 今日は仕事帰りにレイトショー、と思って映画館に来ました。
 そしたら、自動発券機のところにこんな掲示(告知)が・・・。

  20190719京アニ表示.JPG 『劇場版Free!』に関するお知らせ。

> 7/19(金)より最新バージョンとなる予定でした『2020 夏』続報(本編後映像)について、公開を中止させていただきます。何卒ご了解賜れますと幸いです。

 ・・・『Free!』は京都アニメーション制作です。
 多分、<続報>の映像はあるのでしょう。 でも、『2020 夏』の本編のほうがどうなるかわからないから、ということなのかな、と。
 今後公開予定の『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のチラシとポスターもなくなっていた。 前来た時はあったのに。
 あぁ、なんでこんなことに。
 ニュースで京アニの建物の構造にも問題がある、みたいな論調があったのも腹が立って。 ガソリンまかれて火を付けられるなんて、爆弾を投げ込まれるのと同じで、設備面で対応できるところなんてないよ。 あたしがいま働いているところでも、入り口にガソリンまかれたら逃げられないなぁ、って思ったし。 あとだしの「こうしていれば」で話を進めようという人たちが多すぎる(でも自分もそういうところがあるかもしれない、と反省する)。 『バックドラフト』や『シカゴ・ファイア』などを見てたら、普通の火事と燃焼促進剤ありの放火は全然違うことがわかるのに!
 ここの映画館では、『Free!』は今日も明日も明後日も、もう満席らしい。
 ファンの人たちは観に行くことが応援する一つの方法だと考えているのだろう。
 わかる。 わかるが故に、せつないよ。

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2019年07月18日

パピヨン/PAPILLON

 オリジナルのスティーヴ・マックイーン主演の1973年版は未見。 昔はテレビの洋画劇場でよく放送していたらしいので、タイミングが悪かったらしい。 あたしより少し年齢が上の人たちにとっては常識らしいんだけど。
 が、おかげで先入観はない。 この映画、あの『プリズナーズ』と脚本が同じ人だということが気になって。 あと、ラミ・マレックが『ボラプ』の前に出演しているということで。 というか、『ボラプ』のヒットがあったからこの映画の日本公開が決まったのではないか、という疑惑すら感じる(2017年制作)。 でもポスターの文字は多分73年版映画と同じものだよね・・・オールドファン狙いならもっと早くに公開してもよかったのでは。 まぁ、洋画は日本公開が2・3年遅れることは最近ザラになってきてますけど・・・。

  パピヨン映画P.jpg 自由をつかめ!
   実話を基に壮大なスケールで描く冒険活劇!!

 1930年代のフランス、パリ。 金庫破りのアンリ(チャーリー・ハナム)は胸にチョウの入れ墨を入れているので「パピヨン」と呼ばれている。 が、組織にとって邪魔と感じられたのか、殺人の罪をきせられたパピヨンは終身刑を言い渡され、<緑の地獄>と呼ばれた仏領南米ギアナの監獄に送られる。 そこで待っていたのは強制労働と厳しい監視。 パピヨンは最初から脱獄を考え、カネを持っていると噂されている偽札造りの名人ドガ(ラミ・マレック)の用心棒をする代わりに資金調達を依頼する・・・という話。
 冒頭のシーンで、「あ、この脚本家は<囚われたものと囚われるもの>の関係性や意味にこだわりがある人なのかも、と思う。 『プリズナーズ』にもそういうシーンがあったから(そもそもタイトルからそうですが・・・)。

  パピヨン映画1.jpg パピヨンとドガの関係が深まっていくところが素敵!
 仏領ギアナの開発のための労働力として囚人が送り込まれる、というのがすごい。 「フランスはお前たちを放棄した」(国民としての権利もなければ人権もない)というのが・・・時代とはいえ・・・今だったらあり得ないなぁ、と。 でも現在でもネット上ではひどい犯罪者に対して「福島第一原発へ送れ」みたいなことが書き込まれたりしているが、同じような発想なのかなぁ、と思ったり(あたしは「原発の作業って誰にでもできるものではないし、むしろ信頼性が必要だから人としてダメな人には行ってほしくないけど」って思う)。 大変な作業=苦役、という発想から逃れられない人がいるのであろう。
 犯罪者や犯罪者とされた人を労働力として消費する、というのが政策に利用されていたってことですね。 観ているうちに、看守として働いている人たちもほんとはこんなところに来たくなかったのではないか、と思えてきて、誰一人として幸福ではなかったんだな、と。 一体何のためにやっていたのだろう、本国を豊かにするためなのだろうか。

  パピヨン映画2.jpg すすけた色合いがよい。
 原作のアンリ・シャリエールの手記には事実誤認がある、みたいな話もあるらしいのだが、「いや、こんな生活(?)を送っていたのなら、記憶の混濁や誤解があったとしても無理はない」と納得できる壮絶さ。 様々な方向から生命の危機を感じる日々、死を目前にまで見た瞬間、それでもあきらめない決して希望を失わない強さはなんなんですかね。 自分は殺人犯ではないという思いなのか。
 チャーリー・ハナムがこんなにできる人とは! いい身体なのもそうですが、台詞ではない表現力、役者としてのポテンシャルを見せてもらった感じ。 今後も注目していきたい。

  パピヨン映画3.jpg ラミくんもよかった。
 長い話を短くまとめた強引な省略を感じましたが、それが逆に効果的に働いた場面も。 ドガが数年一人でこの世界を生き残ってきたたくましさを、ひびの入った眼鏡のレンズと頬の傷跡と日焼けで一瞬で理解させたところは、ドガの佇まいの力強さも相まって魅力的。 むしろドガ、すごくない?!、と思えるシーンも多々(むしろ前半は彼の目力を抑えるために眼鏡をかけさせていたのかなと感じるほど)。 ラミくん、『ボラプ』のイメージが定着することを危惧していましたが、フレディ役の前にこれをやっていたというのが彼の実力だよ!、とうれしくなる。 このあと『007』の悪役が待機しているようですが、フレディ役のイメージにとらわれることなくキャリアを築いてほしい。 一気に売れちゃうと見ているほうがドキドキするよ・・・。

  パピヨン映画4.jpg 海の色もまた鮮烈で。
 コピーには「冒険活劇!」とあるけど、結構リアルタッチで、劇的に描きすぎないようにしている気がする。 もしかしたら前作を観ている人にはそこが物足りないのかもしれないけれど、あたしには十分衝撃的でした。 パピヨンがドガをファーストネームの「ルイ」と初めて呼ぶ場面は感動したよ・・・友情を越えた同志愛、胸打たれました。
 エンドロールで写真が使われているのだが、あれは当時のギアナを写したものなのだろうか? 映画に同じカットがあったんですけど、というものがいくつもあり・・・映像を古く加工したのか、当時の写真を使っているのなら映画での時代の再現度がすごすぎる!
 こんなに手間をかけた映画でもそう簡単に日本では公開されないという・・・洋画不況を実感。

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2019年07月16日

セミ受難の年

 今日の帰り道、すっかりあたりが暗くなってしまっていた。
 雨も降るんだか降らないんだが・・・昼間がすごく暑かったので、日が陰って風があるだけましなのだが、蒸し暑い。 歩きながら、頭の中は「早く帰ってシャワーを浴びたい!」しか浮かばない。
 ふと、視線の先にネコがいた。 いつも、あたしが近づくと「ふん!」とばかりにそっぽを向いて去っていくやつである。 なのに今日はあたしのことを気にする気配もなく、地面のある一点をじっと見つめている。 どうやら、そこにある丸いものに集中しているようだ。 目の悪いあたしにはそれがなんだかわからないのだが、「ご近所の人が置いて行ったエサかなにかか?」(一応、ノラ猫の餌付けは禁止されています)と思ったわけです。
 がふっと、口を持っていった瞬間、すごい高速ビート音が。
 ・・・それは、もはや自力では飛べないが、生きているセミだったのだ。 アブラゼミかな?
 さすがのネコもたじろぎ、ぐるぐるまわるセミを見つめている。
 ・・・ネコって、セミを食べるっけ? 食べておいしいと思うのかな? 口の中がバリバリゴワゴワにならないのかな?
 というか、今シーズン初めてのセミとの遭遇が、これか!
 セミの抜け殻もまだ見ていないのに。 そういえばホースで水をまくような音でも朝、起こされない。 今年のはっきりしない暑さに、セミも地中から出るのをためらっているのだろうか。 ためしに出てきたやつも、仲間が少なくてびっくりだろうな。
 ネコが下す決断を見ないうちに、その場から離れた。 高速ビート音が聞こえているうちに、早足で。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 季節のこと/街の中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月15日

『Heaven?』、久し振りに読み返す。

 春ドラマをまだ全部見終わっていないのに、夏ドラマが始まってしまった・・・。
 録画装置の容量が圧迫される・・・ため込んだ海外ドラマ(『レジデント』や『シカゴファイア』、『ブラインドスポット』など。 でも観終わったころに新しいシーズンが始まるという・・・『ブラックリスト』はシーズン5から間に合ってないが)をじわじわ消化してるのに!
 そんなわけで夏ドラマ、一応注目しているのは『Heaven? ご苦楽レストラン』である。
 原作はすごく面白くて大好き!、なのだが、この面白さは実写化可能なのか・・・?
 『きのう何食べた?』のドラマがすごくよかったから、原作への愛がないとドラマは受け入れられないとここ数年の流れで制作側も認識しているはずだし、オーナーが主役なのはまずいが、シェフが段田安則で山縣さんが岸部一徳ならちゃんとやってくれそうな気がする!
 で、第一話を観る(23時からWOWOWで海外ドラマを録画しているので、時間延長されると迷惑である)。

  ヘヴン? ドラマ1.jpg そのバッグ、ロエベですね。
 ・・・あぁ、やっぱりオーナーを主役にしたらダメなんだって!
 黙っててもどんどん出てくるキャラなのだから、最初は「オーナーのわけわからなさにおびえつつ、一致団結するスタッフたち」に重きを置くべき! 「あのオーナーっていったい何者?」の謎提示のために鱸さんのワイン好き設定がスルーされたじゃないか! 「オーナーは何者なのか」って自然にわいてくる疑問じゃないか! あ、ということは『三人の山田』のエピソードはないってこと?!
 中途半端にマンガ的効果を入れるなら、バックを宇宙にしたり砂漠にしたりもしたらいい! マンガに比べてテンポがよくない!
 あのほこり、みんな盛大にかぶっているけど、料理に被害は出なかったの・・・気になる!
 伊賀君にはさりげない哀愁が欲しいよな・・・ただの無表情キャラではないのに(マンガ刊行当時、“草食系”という言葉はまだなかったが、あたしのまわりでは「伊賀君、タイプです!」という女子がわりといた)。 勝村さんが店長なのは安心だ。 あと、山縣さんが一徳さんなのは見た目微妙、と思っていたのだが・・・年月が一徳さんを山縣さんぽく変えてたよ! 最初にマンガ読んだのって20年近く前なの?!
 というか、オープニングパーティーの後で「あなたたちは第一希望じゃなかった」的なことをオーナーに言わせるとはひどすぎない? これではスタッフがここで続けて働こうという気になれないのでは?
 いや、オーナーはひどい人だけれど、こんなこと言ってたっけ?
 納得がいかなかったので、原作を引っ張り出してきて、読む。

  ヘヴン?全6巻.jpg あたしが持っているのはいちばん最初のやつです。
 ・・・うむ、やっぱり言っていない、と思う(マンガを読んでいるうちにドラマの何のセリフに腹が立ったのか忘れてしまった)。
 あぁ、そうだった、『Heaven?』すごくおもしろかったんだけど、終わりがなんかあっさりで寂しかったんだよなぁ。 冒頭のシーンが回収されていたから、もともとそういう構想だったんだろうけど。 ちゃんとしていない人たちの集まりは、成長しないと話が進まないし、成長してしまうと面白くなくなるから終わるしかないんだけどさ。
 シェフの料理、食べたいなぁと思っていたものだ。 ドラマを観ててもそう思えるだろうか。
 『動物のお医者さん』のドラマは当時としては原作への愛情を大事にした画期的なドラマだった(役者をキャラにできるだけ寄せた)。 『チャンネルはそのまま!』は北海道愛とオリジナル要素をうまく絡めた(モデルがHTVだったということもある)。
 しかし『Heaven?』は大丈夫なんだろうか。 オーナーのひどくてダメでかっこ悪いところもちゃんとやってくれるんだろうか。 それでも悪びれずにへこたれないが故に、何百回に一回の言葉が輝いたりするわけで。
 ・・・まぁ、シェフと山縣さんを観るために、続きを観ますけど。

posted by かしこん at 15:04| Comment(0) | テレビ・テレビドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月14日

プラスマイナスゼロ/若竹七海

 帯に「葉村晶より不運で、頑丈で、影の薄い三人組――」とあり・・・更に「若竹七海が描く、ほのぼの学園ライフ・・・・・・がただの青春ミステリなわけがない!」とも書いていて、「あぁ、ブラック要素、容認されてるんだ」と言葉に詰まる感じになる。
 いや、ブラックなところとか落ち込むような読後感とかキライじゃないんですよ。 キライじゃないんですけど・・・自分の中にあるらしい基準を突きつけられて悩みます。

  プラスマイナスゼロ 若竹七海.jpg 不良娘・普通・お嬢様トリオ。
 葉崎山高校に通うミサキはすべてが全国標準内に収まる通称<歩く平均値>。 テンコは成績優秀・品行方正を絵にかいたようなお嬢様ながらこの世のあらゆる不運を浴びる体質で、もう一人のユーリは地を這う成績を気にしない義理人情に厚い極悪ヤンキー。 三人がいるところを「プラスマイナスゼロが歩いてる」と言われてしまうが、まったく違うからこそ三人は親友・・・と気安く口にできないシャイな間柄、と書けば学園青春小説(連作短編)だが、「で、どうすんのさ、あの死体」から始まっちゃうので、確かにただの青春ミステリではない。

 テンコの不運っぷりがただごとではなくて、いや、そこはコメディ要素だとわかってますよ、中途半端より極端に振り切ったほうがいいのもわかりますよ。 でも共感力のせいなのか想像力のせいなのか、なんか笑えない・・・なにもそこまで、とつい感じてしまう。 ユーリの単細胞ぶりも痛々しい。
 でも本作に出てくる死体その他については「ひどい!」とかは思わないんだよな・・・自分のはっきりしない基準がわからない。
 もっとキャラを書き込んでほしかったのかしら。 ひとつひとつが短編だから仕方ないんだけど、三人の何気ない描写が少ないので、ありきたりの友情ってやつをかみしめられないのよね〜。
 “卒業旅行”でやっとそれっぽくなるけど、それで高校生活最後だもんね!
 もっと続き、読みたいな〜。 でも青春はいつか終わるから青春なのだろうか。 過ぎてしまえばそれははかないほどに短くて。

posted by かしこん at 19:26| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月13日

ポーの一族 ユニコーン/萩尾望都

 <新世紀の“ポーの一族”>、二冊目の単行本。
 長編だった『春の夢』と違って、今回は短編集。 なれどバリーという新キャラクターをめぐる長編という見方もできる(時代があちこちに飛ぶので章立てが変わる、とすれば)、更に一族の秘密や“エディス”後のエドガーとアランにかかわる事実がいろいろと判明する、かなりつっこんだ話になってます! それがいいのかそうじゃないのか、好みがわかれそう・・・。

  ポーの一族 ユニコーン1.jpg マットな手触りに銀の型押し。 二人はこんなプリントの服を着ているのではなく、あくまでイメージ映像だと思う。

 2016年、ミュンヘンに現れたエドガーは憔悴している。 ファルカらは久し振りの再会を驚きと喜びで迎えるが・・・(“私に触れるな”)。
 あとは過去の話なので、2016年の話の続きが次の巻になるのかな、と思います。
 “エディス”後のことは「知りたいような知りたくないような・・・」の気持ちがあたしにも少しあるので、リアルタイムで『ポーの一族』を読んでいた人・大ファンだったけどその後萩尾望都作品にあまり触れてこなかった人たちが反発するんじゃないか・・・という危惧を感じます。 いや、『春の夢』のときに「絵の変化についていけない」人たちがいっぱいいたから、そういう人たちはこっちは読んでないかな。 そのほうがお互いの精神衛生上にいいような気がする。
 もともとの『ポーの一族』に比べると格段に台詞は多くなっていますが、あちらは主に<人間界に紛れ込んだバンパネラ>たちの話(なので短い時間しか生きられない人間から見たら彼らは永遠の謎)、こちらは<人間のいる世界に生きているバンパネラ>たちの話、と土台が違う気がするので単純な比較は無意味かと。 完全に主役はバンパネラたちで、人間は添え物というか、彼らが出会うその他大勢に過ぎなくて。
 むしろ、長く生きてしまうが故に感情的なわだかまりもいつまでも抱えて生きていかなければいけない、忘却という安らぎがないという悲しさがより強まる。 だから、それが<執着>という感情につながっていくのかな、と、アラン=イノセントを求め続けるエドガーに涙なのです。

ラベル:マンガ 新刊
posted by かしこん at 17:58| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする