2019年06月27日

スノー・ロワイヤル/COLD PURSUIT

 リーアム・ニーソン兄貴、またしても雪の中で大暴れ、な予告に胸が躍る。 もはやあたしは兄貴のファンということでいいのではないだろうか。 それにもうかなり暑いし、あたしは雪の世界を求めている。

  スノーロワイヤルP.jpg 模範市民賞受賞直後にキレる。
  壮絶な、全くかみ合わない戦いが始まる。

 コロラド州デンバーがいちばん近い都市である、小さな町キーホー。 実直に日々働き、模範市民賞を受賞してしまうほどの生真面目人間ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)の仕事は除雪作業員。 雪深い町では適切な除雪が生命線となる。
 ある日、一人息子が麻薬の過剰摂取だとデンバーで遺体で発見される。 息子は麻薬をやらない、と訴えるネルズだが、「親はみんなそう言う」と警察は取り合ってくれなかった。 何故息子は死んだのかネルズは真実を追うが、実はデンバーの麻薬王バイキング(トム・ベイトマン)の組織が人違いで殺されたのだとわかる。 一方、バイキングは自分の手下が一人また一人と行方不明になっていると知り、キーホーを縄張りにしている別の組織の仕業だと考えて報復を図り、血で血を洗う展開に。 それを見てこの平和な街に抗争が!、と盛り上がるキム・ダッシュ巡査(エイミー・ロッサム)がいた・・・という話。

  スノーロワイヤル3.jpg 前半、シュールな絵面が続く。
 ネルズ・コックスマンが、真面目で実直で融通の利かない人であるというのがなんともいえず悲しくもおかしい。 これまでのリーアム・ニーソンと違って、「実は特殊部隊出身、または元CIA」などのキャリアもなく、ほんとに普通の人、普通のおっさんになっているのが面白い。 だから気の利いたことも言えないし、人を殴るときはただただ力任せで自分の手もケガしちゃうくらい直情的な不器用さが素敵。
 前半はすごくシュール、それが後半ぐんぐんオフビートへと移行する流れが自然で、だんだんとくすくす・げらげら笑えてくる楽しさ。 人はどんどん死んでいくんですけどね、でもただブラックジョークっていう感じでもない。

  スノーロワイヤル2.jpg 雪の描かれ方も本物!
 除雪車の迫力も前半は『激突!』の謎のトラックぐらいの勢いがあるのに、そこは押さない。 あたしも観ていて気付いたが、除雪車が身近にあればあるほど危険なものだと知っていても危機感を持たないものだなと(正しい扱い方を知っていれば大丈夫、という)。
 カナダ国境ぐらいの設定かな?(もともとオリジナル映画は北欧)、大自然のありえなさ具合が素晴らしい。 自然を味方につければ死体の始末も比較的可能ではと思えてしまう偉大さですよ。 ネルズの大雑把さも、雪や寒さをよく知っていればこそ。 性格的な陰鬱さも、突き抜けたぶっ飛び具合も、雪国ならではと納得できる流れ。

  スノーロワイヤル4.jpg バイキングのキレ気味のバカ具合がまた不愉快ギリギリのラインで楽しい。
 出てくる人がヘンな人ばかりなのもこの映画が成立する要因かも。 まともな人が誰一人いないので、この人たちがどうなろうとも全く気にならない、というぐらい。 生も死も紙一重ですよという。 そう、雪と寒さは命をたやすく奪うから。 自然の厳しさを前にしたら、人間の目論見などたかが知れている、ということかもしれないなぁ。

  スノーロワイヤル1.jpg また、兄貴は出ずっぱりでもなく、群像劇として描かれているのも楽しい。
 だから一人の視点で感情移入することなく、ドライに受け止められるのかもしれない。 超絶アクションばかりではなく、こういうシュールなコント的映画も選ぶリーアム・ニーソンのセンスはさすが!
 オリジナルは『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』というノルウェー映画(すごい邦題だ)で、除雪作業員役はステラン・スカルスガルドだそうな。 観たい! 今回は同じハンス・ペテル・モランド監督によるハリウッドリメイクとのこと、ネイティブ・アメリカンの麻薬組織など『ウィンド・リバー』にも通じる要素を感じさせつつあえて社会派にしていないところがいい。 音楽の使い方やカニエ・ウェストをネタにしたりと非アメリカ人にもわかる皮肉が親切だった。
 あたしは好きだけど・・・あんまりヒットしなさそうな感じなのが寂しい。 男性一人客が多かったですが、エンドロール途中で帰る人が目立った。 期待外れだったのだろうか? 兄貴はハードアクションだけじゃないので、そっちばかり期待しちゃうと逆にワンパターンになると思うんだけどなぁ。

  スノーロワイヤル スタンドポップ.JPG 映画館の隅に置かれたでっかいPOPがせつない。
 雪に降り込められた経験のない人たちには実感としてつかみにくいのかな〜。 北海道や北東北、日本海側を重点的に宣伝したらよかったのかな。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする