2019年04月13日

悪意の夜/ヘレン・マクロイ

 厚めの本が「あ、そろそろ読み終わるかも」というくらいになったときのために、あたしはいつも薄めの本にブックカバーをかけて何冊か積んで準備してある。 出かけるときにそこから一冊、さっとカバンに入れるためである(引き続き分厚い本では、荷物が重くなるから)。 先日、『許されざる者』が行き帰り途中で読み終わるかもと思ってつかんだのがこれだった。

  悪意の夜 ヘレン・マクロイ.jpg あ、ヘレン・マクロイ、久し振り!

 アリスはつい先日、夫を崖からの転落事故で突然失った。 呆然とした日々を送るアリスだが、生来の気質か夫の職業柄か、感情的にはなり切れないでいた。 遺品の整理をしていたら、夫の筆跡で「ミス・ラッシュ関連文書」と書かれた空っぽの封筒を見つける。 ミス・ラッシュとはいったい誰のこと? そこへ息子のマルコムが初めて見る美女とともに帰ってきた。 彼女の名はミス・ラッシュ・・・彼女と封筒に書かれた名は同一人物なのか? いったい夫は何を残したのか?

 <ウィリング博士もの最後の未訳長編>としての初邦訳ですが・・・シリーズを普通に読んじゃうレベルには特に不足はないのですが、「ラストが弱い」と言われれば確かに。 ウィリング博士ものとして最初に読むとしたら物足りないかも。
 しかし、ヒロインとして決して自分を見失わないアリスが、極まったストレスにより夢中歩行をしてしまう・・・というくだりには『暗い鏡の中に』を思い出してしまい、盛り上がる!
 しかも、封筒に書かれた“ミス・ラッシュの謎”について自分でこっそり調べるのかと思いきや、夫の同僚家族や息子、挙句はミス・ラッシュ本人にも話しちゃうのがびっくり!
 と、こちらの予想をぐっと越えるスピーディー展開、ウィリング博士の登場シーンも衝撃的かつスタイリッシュで、ニヤニヤしちゃう。
 でも270ページそこそこなのであっさり読み終わっちゃうのが物足りない・・・もっと読みたいなぁ、と。
 久し振りに読んだけど、「やはり、ヘレン・マクロイは面白い!」と思えた・・・作品数が少ないので一気読みがはばかられ、未読本はこそこそと隠してたけど・・・設定?、文体?、すごくドキドキして引き込まれる。
 もはや「好きだから」としか言いようがない状態かも。 あぁ、読んでない残りの作品を数えねば。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする