2019年04月10日

ブラック・クランズマン/BLACKKKLANSMAN

 スパイク・リー、渾身の作品!、なのだろうとアカデミー賞授賞式を見てつくづく感じた。 予告でもいい感じだったし、これは絶対観ないとだよ!
 『マルコムX』は高校生のとき(もしかして中学生)?、レンタルビデオで観ましたよ・・・そのとき主演だったデンゼル・ワシントンの息子が成長して主役をやる年齢になったという・・・時間の流れをしみじみ感じてしまう今日此頃。

  ブラック・クランズマンP.jpg 俺たちが、すべてを暴く。
   前代未聞の実話!黒人刑事がKKKに潜入捜査 痛快リアル・クライム・エンターテイメント!

 1970年代半ば以降のこと、ロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)はコロラド州のコロラドスプリングス警察署で初めての黒人の刑事として採用になる。 刑事という職業への情熱冷めやらないロンは、署内一部の白人からの冷笑・冷遇にさらされながらも耐えていた。 ある日、情報部に転属になったロンはメンバー募集の新聞広告を見てKKK(クー・クラックス・クラン:白人至上主義団体)に電話をかける。 電話では肌の色がわからないので、ロンは相手の気に入るように言葉巧みに取り入り、入会面接の約束を取り付ける。 しかし本人が行くわけにはいかないので、同僚の刑事(白人)のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)がロンの振りをして内部に潜入することに。 前代未聞の二人一役の潜入捜査の結果はどうなる?!、という話。
 もう、冒頭のアレック・ボールドウィンのいかれた演説(?)と『風と共に去りぬ』のコラージュで「すごいものが始まる!」感が全開。 シュールなコメディ路線一直線なのだ。

  ブラック・クランズマン1.jpg 「声が違うからバレる」・「喋り方の真似をしろ」
 電話だと声は違って聴こえるものだと思っちゃうんですかね。 「あれ?、なんか声が記憶と違う?」と感じても会うのが初めてだと「気のせいだ」で納得できてしまうのだと。 コロラドスプリングスのKKKのリーダーがライアン・エッゴート(『ブラックリスト』の人)なのが余計におかしくて、他にも「どこかで見たことのある」役者さんたちがたくさん登場。
 特にロンとフリップの関係が大変いい空気感で・・・いたずらに反目し合うこともなく、途中で急速に関係が深まる何かが起こるわけでもなく、一緒に仕事をしていく過程で相手を認める部分が地道に積み重なって信頼感につながっていくという<確実な当たり前感>がすごくいい!
 結局、いわゆる人種問題とは偏見を教え込まれて、“個人”というものを見ないせいで生まれて続いちゃうってことだよね!(・・・でもそれは『グリーンブック』でも描かれてたことではあるんだけど)。

  ブラック・クランズマン3.jpg KKKってダサいよな、と思わせるつくりにニヤリだ。
 しかし当時は、若干活動は沈静化していたとはいえ「白人こそが正義だ!」みたいな論調があったことは確かで、本人たちは大真面目なところが問題。 誰かに対して優越感を抱くことで自尊心を保つ、という理由だけでは説明ができない、暗すぎる衝動が根っこにあるようでどうしても理解ができないな、と改めて感じることとなった。
 しかし結構ヤバいことを描いているのに、全体的に漂うコメディテイストが素晴らしいんですけど・・・。

  ブラック・クランズマン2.jpg 飲んでる人、KKKの大立者デヴィッド・デューク(トファー・グレイス)。
 彼は一応穏健を語っている。 支部の末端には過激な行動に出る者はいるが、いまはKKKは危険な団体ではない、と言い張る。 その存在のうさんくささがものすごく、自然とロンとフリップを応援したくなってしまう。 また二人が着実に成果を上げるので、警察署内でもどんどん仲間(?)が増えていく感じも笑いとともにつながっていて観ていてうれしくなる。
 まさか、Fワード(というか、使うのはあまりよろしくない言葉たち)の羅列による罵倒で、観る側がこんなに清々しいまでの爽快感を得られるなんて!
 ゲラゲラと笑いながら、何故かふと涙がこぼれた。
 因果応報の予定調和でこれもまた「いい話?」と思っていたら・・・スパイク・リーがそんなことで終わるわけがなかったのだ。
 その後に続く展開は・・・まさにスパイク・リーが怒っていることそのままで、「当時の話じゃないぞこれは! 今もまだ続いているんだ!」という表明。 いや、この映画の原作自体がロンの回顧録なので全部ベースは実話なんだけど、その後の展開でこの映画は一気にドキュメンタリーの顔になり、あたしはそのまま違う涙を流すことになる。
 ・・・あぁ、これはすごい。 いつまでも引きずる。
 なるほど、これじゃスパイク・リーは『グリーンブック』に怒るはずだよ、と納得。
 『グリーンブック』自体はいい映画なんで、こういう問題に理解が追いつかない日本人としては、二本をセットで観るのがいいんではないか、と感じた。 どちらもアメリカの、人種対立が存在する国の現在だから。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする