2019年03月04日

The Guilty ギルティ/DEN SKYLDIGE

 北欧だ! サスペンスだ! もうそれだけで「必ず観るべき!」となるあたし。 北欧ミステリブームは続いています、いやむしろ、ブームではなくひとつのジャンルとして個人的には定着した感。
 しかもアイディア勝負らしきこの映画、主演(というかほぼ一人芝居)なのがヤコブ・セダーグレンというのもうれしい! 『光のほうへ』のお兄ちゃんだよ!

  ギルティP.jpg 犯人は、音の中に、潜んでいる
   事件解決のカギは電話の声だけ。88分、試されるのはあなたの<想像力>

 コペンハーゲン警察の緊急通報司令室は、112(日本の110)通報の電話がかかってくる場所。 警察官であるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)はそこでオペレーターとして勤務している。 重要性のない通報が大半の中、突然、誘拐(拉致?)されたらしい女性からの電話を受け・・・という話。
 全編、緊急通報司令室でだけで、電話の対応だけで物語は進行する。

  ギルティ4.jpg 部屋はこんな感じ。
 説明的なことは一切ない。 アスガーの携帯電話にかかってくる電話、オペレーター仲間との会話から、どうやらアスガーはもともと犯罪捜査課の刑事さんらしいのだが、何かがあって現場に出られず、事が収まるまで配置換えでここに来たらしい・・・ということがわかってくる。 オペレーターなんだから必要なところに電話をつなぐ・連絡すれば仕事は終わりなはずなのに、アスガーはいろいろ食い下がる・この電話である程度解決しようとする・司令部(?、捜査の指揮をするところ)に捜査方針について口をはさみたがる、などなど、多分出しゃばりっぽいアスガーのキャラはそういうことなのであろう。 だけど連絡される側にしてみれば「なんでこいつにこんなこと言われるのか?」という気になるのもわかり、アスガー含めて出てくる人(声だけでも)がみんなちょっとイヤなヤツというか、感情移入しきれないタイプなのが面白い。 ちょっとイラっとするけどね。

  ギルティ3.jpg 苦悩するアスガー。
 何故なら、物語が「そういう風にはならないでしょうね!」と思うイヤな方向へと進んでいくからだ。 さすが北欧!
 そんなとき、アスガーがただのいい人だったら見ているこっちはつらくなりすぎる・・・「あぁ、やっちゃいましたね」とつっこめるぐらいのほうが観客の気持ちとしては楽である(だが、そんなのんきな観客にも「やめてよー!」と言いたくなってしまうようなひどい展開が待ち構えているのだが)。

  ギルティ1.jpg アスガーのアップ、とても多い。
 なんというんでしょうか、ハンサム系なれどしつこくない顔立ちのせいでしょうか、彫りが深いが故に目のあたりが影になるせいでしょうか、アスガーのドアップが続いても全然うるさくない。 微細な表情でアスガーの心理が表現されているためか、アイディア勝負は低予算映画と思われがちですが、実力のある俳優がいないと成り立たない、という見本のような作品で。 しかもちょっとヤなヤツ・アスガーも、彼の抱えている様々な問題がチラ見えしていくにしたがって彼の人間味が感じられてちょっと好きになってくるというか、何故彼がそうなのか理解できてきてなんだか応援したくなってきてしまうという。 それはまさにヤコブ・セダーグレンの俳優としての魅力!
 もうひとつの主役は電話の声と電話越しに聞こえる様々な音。 アスガーのいる場所は雨が降っていないけれど、電話の先では雨が降っているとか、映像としてはまったく映らないんだけど、映らないが故にあたしは電話の向こうの風景をつい想像してしまった。

  ギルティ2.jpg 個室に移動して、アスガーは逸脱行為に出る。
 でも基本は同じシフトにいるから、他のオペレーターさんはアスガーが何をしているかなんとなくわかっているっぽいのだけれど、基本的に個人主義の北欧社会では表立って何も言わない。 終盤、アスガーの後姿を撮るショットでまわりのオペレーターさんが全員彼を見つめているところがあって、「あ、全員聞いているのね」とわかるところもなんかよかった。
 ほとんどが携帯電話からの通報で、番号から登録されている人の名前から全部モニターに出るのがさすが。 デンマークの携帯電話番号は8桁なんですね・・・日本の人口の多さを思い知りました。 バイブの音は同じだったなぁ、あれつくってるのって日本の町工場なんだっけ、とか思い出したり。
 予想をイヤな方向に越えていくひどい展開なのに、終幕はほんのりと希望を漂わせるところに監督のセンスを感じる。 いや、ヤコブ・セダーグレンをキャスティングしたことの効果は大きい。
 映画では『光のほうへ』以来ですが、WOWOWで『ゾーズ・フー・キル』・『凍てつく楽園』とドラマシリーズで彼を見てきましたが、ドラマは日本語吹替で観るあたし、『ゾーズ・フー・キル』は宮本充、『凍てつく楽園』は小原雅人なのでイメージが一定していなく・・・本人の声で観るとやはり『光のほうへ』の印象が強いのでした。 あ、WOWOWは原語の発音優先でカナを振るので、ヤコブ・セダーグレンとあたしは覚えてしまいました(この映画のチラシではヤコブ・セーダーグレン)。
 この人、好きだ!
 近々『凍てつく楽園』の新作が放送になりますが・・・きっとこのアスガーと別人の刑事トーマスなんだろうな(小原さんの声がはまっているし)。
 ちなみに、この映画、ハリウッドリメイクが決まってまして、アスガーの役はジェイク・ギレンホールだそうな! うわっ、なんかやってる姿が想像できる! でもジェイクのほうが顔がうるさいですけど・・・アップを減らすのか?! 北欧的イヤミス展開をマイルドにするのかどうか、いろんな意味で楽しみだわ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする