2019年03月10日

今日は6冊。

 3月、最初の本買い。 今月はなんだかんだ多いのよ・・・お金いくらかかるかなぁ。

  ゴーストライター マロリー.jpg ゴーストライター/キャロル・オコンネル
 <キャシー・マロリー>シリーズ11作目。
 順調に出てくれるのはすごくうれしい!、のですが、あたしは4作目『天使の帰郷』で止まってまして・・・マロリーの過去に向かい合う覚悟ができていない! でも話はどんどん進んでいるのだから、チャールズもきっと乗り越えているかなにかしているはず・・・よね。 そろそろ読みますか。 でもシリーズの続き、どこにしまったかな・・・。

  砂糖の空から落ちてきた少女.jpg 砂糖の空から落ちてきた少女/ショーニン・マグワイア
 三部作の最終章、ですが著者の世界観が広がり、4作目・5作目も書かれているという・・・。 直接の続編という感じではなく、世界観を共有する別の時代のものらしいのですが、あまり広げられると追いかけるの大変なの。
 このシリーズ、他の創元推理文庫に比べてフォントがすごく大きいんだけど、ページ数を増やすための仕掛け?!
 いやいや、この話、子供たちにも読んでもらいたいから大きい字にしているってことよね! それでもいわゆる児童書や青い鳥文庫などに比べると小さいですが。

  白夜の警官.jpg 白夜の警官/ラグナル・ヨルソン
 <アリ=ソウル>シリーズ第三弾!、と帯にありましたが、実際は一作目『雪盲』の次の話らしくて、じゃあ二作目じゃん!
 やっぱり順番通りに訳してくれてなかったんだね、としみじみ。
 ゲームクリエイターの小島秀夫氏が解説でほめちぎっておられますが、なかなか北欧ミステリを読み込んでいる感じの方らしいのでちょっと信じたくなる(でもジョー・ネスボならハリー・ホーレのことも書いたほうが)。 『極夜の警官』を読んでさかのぼりたくて『雪盲』を探したら全然見つからなかった、というのは非常にリアル・・・翻訳ミステリー、売れてないのね。

  ザ・プロフェッサー 文庫.jpg ザ・プロフェッサー/ロバート・ベイリー
 これも『白夜の警官』同様小学館文庫から。 一般文芸っぽい表紙ですが、内容はリーガルスリラーらしく。
 これは翻訳者が自分で出版社に持ち込んで出版が決まったパターンだそうで、最近そういうの増えている。 世界的な出版点数の増加・編集者の不足・依頼を待つだけでは翻訳業だけでは喰っていけない、からかなぁ。 きっとそうだよねぇ。 だから地道に読者として買っていこうとは思っているんですけど。 

  歪み真珠 山尾悠子.jpg 歪み真珠/山尾悠子
 <バロック>をあえて日本語で表したタイトルに、この本の意図はあるのかも。
 山尾悠子の文体はドキドキするわ。 ジェフリー・フォードの他の作品も補訳してほしかったなぁ(『白い果実』は金字塔ですよ)。

  ソウナンですか?4.jpg ソウナンですか? 4/原作:岡本健太郎・漫画:さがら梨々
 今年の7月にアニメ化決定だそうですよ!
 でもまだ4巻しか出てませんよ・・・すぐ追いつかれてしまいそうな不安(余計なお世話)。
 ついにサメも出てきた!、けどメインは女子高生たちの真の友情なんですかね・・・いいんですけど、男性誌に連載されている故かの無駄なサービスシーンが痛い・・・のは、あたしが女子だからですかね・・・。

ラベル:新刊 マンガ
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2019年03月09日

またしても #神戸ウェンブリー

 アカデミー賞受賞記念、神戸ウェンブリーが帰ってくる!、ということで・・・前回、「これで最後」と思ったんだけど、と悩んだけど行ってきてしまった。
 だって、アカデミー賞受賞記念だもん! お祭りだよ! 今だけだよ!

  ボヘミアン・ラプソディ20190308限定応援上映.JPG 毎度おなじみ神戸ハーバーランドOSシネマ。
 金曜日のレイトショーに参加。
 土曜日のほうは<残席わずか>になっていたけれど・・・金曜日もなかなかの込み具合。 8割ぐらいは埋まっていたのではないかしら。
 そして「アカデミー賞受賞記念・2日間限定復活」なので・・・「応援上映、初めてじゃないです!」というお客さんが多かったような気がする。 最初はちょっと遠慮がちだったけど、「あ、いいんだ!」とじわじわと盛り上がり、<ラスト21分>で爆発!
 まわりに気兼ねせずにすんだので、あたしはとても楽しかったです。 やっぱり泣いちゃったけど。
 ハーバーは他の映画館に比べて音がちょっと大きい気がするので(それがいつもなのか応援上映のときだけなのかはわからない)、ライヴシーンや音楽だけじゃなく、すべての音がくっきり聴こえて、かといって台詞が聞きづらいわけでもなく、すべての音を構成する層の厚さをあらためて思い知る。
 前日にWOWOWでクイーンのライブ3本(オデオン座の夜・1975年、ウェンブリースタジアム・1986年、+アダム・ランバート@サマーソニック2014)を観ていたわけですよ。 だから余計に感無量でして。
 不思議と、「これで最後」という気は起きなかった。 盛り上がったけど「完全燃焼!」と燃え尽きたわけでもない。
 クイーンは終わらない、からかな。 DVDが出たら未公開分があるだろうという予測のせいか。 日本の音楽映画の興行成績歴代一位をこの映画が更新しそうなところが見えているからか。 記録は破られるものですが、それでも今の時点で立てられる記録ならば残してほしい気持ちになってるから。
 あぁ、行ってよかったなぁ、と家に帰ってから#神戸ウェンブリーを見てみたら・・・えっ、神戸国際松竹でも2月の半ばに応援上映があったの?! 上映スケジュールのページは見てたような気がするけど、気がつかなかったなぁ! まぁすぐ予約で満席になっちゃったみたいだけど、メルマガ登録しているのだから教えてくれてもいいじゃん・・・。
 情報入手できるか否かの恐ろしさも思い知ったよ。

posted by かしこん at 19:33| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月07日

もう、春。

 ちょっと雨が続いたが、もう冷え込みの底は打った、というか、なんだか蒸し暑さを感じてしまう今日此頃。
 あぁ、もう冬じゃないな! 春が来ちゃったな! マフラーももう暑くて無理で、先週ぐらいから薄い綿のストールに変えてしまった。 あとはどんどん暑くなるだけだなぁ。
 しかしそう感じるのはあたしが北国出身だからだ。 こっちの人たちにとっては「早く暖かくなってほしい」という空気あるもんねぇ、まだまだ冬の服装している人、多いし。 自分の基準でつい考えてしまってすみません。
 と思ったのは、陽だまりに目を細めているネコを見たからだ。

  201803春の目の細いネコ.JPG 携帯のカメラ、ズーム最大にしたら目が粗いぜ。
 ノラネコたちにしてみたら、過ごしやすい季節になってきている、ということですよね〜。
 まぁ、これくらいの感じがもう少し続いてくれたら、と思います。 しかしこのところ、くしゃみ鼻水が出やすくなっている・・・ついにあたしもスギ花粉にやられるようになったのか!

ラベル:ノラネコ
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2019年03月05日

女王陛下のお気に入り/THE FAVOURITE

 祝・オリヴィア・コールマン、アカデミー主演女優賞受賞!
 しかし、イギリス王室を舞台・題材にしていようとも、監督・脚本はあのヨルゴス・ランティモスである。 観るものを不快にさせる感覚が絶対あると思うのよねぇ。 予告編からそういう空気、出てるし。 なのにこれまでの作品と比べてはるかに拡大公開されてる・・・アカデミー賞効果(と、前哨戦の効果)なのだろうけど・・・美人女優三人を見に来た!、という軽い気持ちの人にはかなりのパンチになるのでは。 そしてあたしも、ある程度予想はしているがそれ以上くらうんじゃないか、という危惧・・・。

  女王陛下のお気に入りP.jpg ごめんあそばせ、宮廷では良心は不用品よ――

 18世紀初頭のイングランド。 フランスと戦争中だがアン女王(オリヴィア・コールマン)は幼馴染のモールバラ公爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)に政治のごたごたを処理してもらい、17匹のウサギと遊んで好きなものを好きなだけ食べるような生活をしている。 サラは女王の“お気に入り”の立場を利用してアン女王を自分の意に染むように行動させていた。 そんな折、上流階級から没落したサラの従妹・アビゲイル(エマ・ストーン)が、サラの召使いとして雇ってほしいと現れる。 痛風の痛みに苦しむ女王のために薬草を摘んできたアビゲイルは女王の目に留まり、“お気に入り”の座を争う女の戦いが始まる・・・という話。
 いやー、ほんとに、観ていてどんどんイヤな気持ちになる話!

  女王陛下のお気に入り1.jpg 映像はゴージャスで、音楽もとてもいい。
 時代だから、太陽光か蝋燭の明かりしかない感じとか、時折挟まる凹レンズで観るような(『アルノルフィーニ夫妻の肖像』みたいな球状に広がる)画面、効果的な(時に露悪的な)スローモーション、チェンバロの響きが美しくてドキドキする。 女性の服装は基本的に白と黒で(召使いだとそれに深い青が加わる)、赤を身につけるのは男性だけというのも面白い。 このへんは時代考証無視でゴージャスさ優先なのかなぁ。 でも坂田靖子のマンガで「つけぼくろがはやった時代、エスカレートしてとんでもないことに」っていうのがあったのを思い出す男性たちの過剰な化粧っぷりがばかばかしい。
 それ故に、人間の醜悪さがすごく目立つのよ・・・。

  女王陛下のお気に入り4.jpg 宮殿内部の様子も見てて楽しい。
 底辺から這い上がろうとするアビゲイルは観客にとって感情移入しやすい位置にあるキャラだが、かなりぶっ飛んでいるのであぜんとするほかはなく。 サラも女王も、共感はできないのだが人として理解できる部分は持っていて・・・「あぁ、ここまで来ちゃう前になんとかならなかったのか」というどうしようもない後悔に襲われるのだが、それもまたどうしようもなくて。 サラもアビゲイルもやたら美しいのがやりきれない。 でも、女性は自分で自分の身を守ることをわかっていないとあっさりひどい目に遭う時代なんだな、ということはしみじみわかり、彼女らの計算高さを責められないのだ。

  女王陛下のお気に入り2.jpg アン女王の女王としての成長もみられる!、のだが・・・。
 それが遅いのが悲しい・・・気がつけばアン女王の<頂点にいる者の孤独>にいちばん同情してしまった気がする。 それが主演・オリヴィア・コールマンの力なのかも!
 しかし陸路の移動に馬車しかない時代に、フランスと戦争しているんだもんなぁ、なんともまた愚かしい。 <先を見る>ことができない(見ているつもりでもほんのわずかな先の時間だけの)人たちばかりという痛々しさですよ。
 宮殿の庭の感じに、ピーター・グリーナウェイを思い出した(『英国式庭園殺人事件』とか)。 あれも人を不快にさせるというか、どうにもならない気持ちにさせられるが・・・この映画もまた種類はちょっと違うが、“人を不快にさせる”空気に満ち満ちているのは確か。 『ロブスター』、『聖なる鹿殺し』と比べれば手法はぐんと洗練されてきてはいるけれど。
 モールバラ公爵が、化粧とカツラをとったら『SHERLOCK』のマイクロフトの人だったのにはつい笑ってしまった(フルメイク:正装のときには全然気づかなかったのでした)。 キャストがイギリス勢中心だったのも楽しかった、映画の後味はよくないけど。

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2019年03月04日

The Guilty ギルティ/DEN SKYLDIGE

 北欧だ! サスペンスだ! もうそれだけで「必ず観るべき!」となるあたし。 北欧ミステリブームは続いています、いやむしろ、ブームではなくひとつのジャンルとして個人的には定着した感。
 しかもアイディア勝負らしきこの映画、主演(というかほぼ一人芝居)なのがヤコブ・セダーグレンというのもうれしい! 『光のほうへ』のお兄ちゃんだよ!

  ギルティP.jpg 犯人は、音の中に、潜んでいる
   事件解決のカギは電話の声だけ。88分、試されるのはあなたの<想像力>

 コペンハーゲン警察の緊急通報司令室は、112(日本の110)通報の電話がかかってくる場所。 警察官であるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)はそこでオペレーターとして勤務している。 重要性のない通報が大半の中、突然、誘拐(拉致?)されたらしい女性からの電話を受け・・・という話。
 全編、緊急通報司令室でだけで、電話の対応だけで物語は進行する。

  ギルティ4.jpg 部屋はこんな感じ。
 説明的なことは一切ない。 アスガーの携帯電話にかかってくる電話、オペレーター仲間との会話から、どうやらアスガーはもともと犯罪捜査課の刑事さんらしいのだが、何かがあって現場に出られず、事が収まるまで配置換えでここに来たらしい・・・ということがわかってくる。 オペレーターなんだから必要なところに電話をつなぐ・連絡すれば仕事は終わりなはずなのに、アスガーはいろいろ食い下がる・この電話である程度解決しようとする・司令部(?、捜査の指揮をするところ)に捜査方針について口をはさみたがる、などなど、多分出しゃばりっぽいアスガーのキャラはそういうことなのであろう。 だけど連絡される側にしてみれば「なんでこいつにこんなこと言われるのか?」という気になるのもわかり、アスガー含めて出てくる人(声だけでも)がみんなちょっとイヤなヤツというか、感情移入しきれないタイプなのが面白い。 ちょっとイラっとするけどね。

  ギルティ3.jpg 苦悩するアスガー。
 何故なら、物語が「そういう風にはならないでしょうね!」と思うイヤな方向へと進んでいくからだ。 さすが北欧!
 そんなとき、アスガーがただのいい人だったら見ているこっちはつらくなりすぎる・・・「あぁ、やっちゃいましたね」とつっこめるぐらいのほうが観客の気持ちとしては楽である(だが、そんなのんきな観客にも「やめてよー!」と言いたくなってしまうようなひどい展開が待ち構えているのだが)。

  ギルティ1.jpg アスガーのアップ、とても多い。
 なんというんでしょうか、ハンサム系なれどしつこくない顔立ちのせいでしょうか、彫りが深いが故に目のあたりが影になるせいでしょうか、アスガーのドアップが続いても全然うるさくない。 微細な表情でアスガーの心理が表現されているためか、アイディア勝負は低予算映画と思われがちですが、実力のある俳優がいないと成り立たない、という見本のような作品で。 しかもちょっとヤなヤツ・アスガーも、彼の抱えている様々な問題がチラ見えしていくにしたがって彼の人間味が感じられてちょっと好きになってくるというか、何故彼がそうなのか理解できてきてなんだか応援したくなってきてしまうという。 それはまさにヤコブ・セダーグレンの俳優としての魅力!
 もうひとつの主役は電話の声と電話越しに聞こえる様々な音。 アスガーのいる場所は雨が降っていないけれど、電話の先では雨が降っているとか、映像としてはまったく映らないんだけど、映らないが故にあたしは電話の向こうの風景をつい想像してしまった。

  ギルティ2.jpg 個室に移動して、アスガーは逸脱行為に出る。
 でも基本は同じシフトにいるから、他のオペレーターさんはアスガーが何をしているかなんとなくわかっているっぽいのだけれど、基本的に個人主義の北欧社会では表立って何も言わない。 終盤、アスガーの後姿を撮るショットでまわりのオペレーターさんが全員彼を見つめているところがあって、「あ、全員聞いているのね」とわかるところもなんかよかった。
 ほとんどが携帯電話からの通報で、番号から登録されている人の名前から全部モニターに出るのがさすが。 デンマークの携帯電話番号は8桁なんですね・・・日本の人口の多さを思い知りました。 バイブの音は同じだったなぁ、あれつくってるのって日本の町工場なんだっけ、とか思い出したり。
 予想をイヤな方向に越えていくひどい展開なのに、終幕はほんのりと希望を漂わせるところに監督のセンスを感じる。 いや、ヤコブ・セダーグレンをキャスティングしたことの効果は大きい。
 映画では『光のほうへ』以来ですが、WOWOWで『ゾーズ・フー・キル』・『凍てつく楽園』とドラマシリーズで彼を見てきましたが、ドラマは日本語吹替で観るあたし、『ゾーズ・フー・キル』は宮本充、『凍てつく楽園』は小原雅人なのでイメージが一定していなく・・・本人の声で観るとやはり『光のほうへ』の印象が強いのでした。 あ、WOWOWは原語の発音優先でカナを振るので、ヤコブ・セダーグレンとあたしは覚えてしまいました(この映画のチラシではヤコブ・セーダーグレン)。
 この人、好きだ!
 近々『凍てつく楽園』の新作が放送になりますが・・・きっとこのアスガーと別人の刑事トーマスなんだろうな(小原さんの声がはまっているし)。
 ちなみに、この映画、ハリウッドリメイクが決まってまして、アスガーの役はジェイク・ギレンホールだそうな! うわっ、なんかやってる姿が想像できる! でもジェイクのほうが顔がうるさいですけど・・・アップを減らすのか?! 北欧的イヤミス展開をマイルドにするのかどうか、いろんな意味で楽しみだわ。

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2019年03月03日

さよなら妖精【愛蔵版】/米澤穂信

 『さよなら妖精』の愛蔵版が出たのは数年前だと思うが・・・「まぁ、そういう形態が出るのもわかるけど、あたしはまぁ、文庫で読んだし」とスルーしていたところ、実は<書き下ろし短編「花冠の日」巻末収録>ということにふとしたことで最近気づき。
 じゃぁ、再読してみますかね!、という気持ちに。
 創元推理文庫版が出たのは2006年だそうで・・・となるとあたしが読んでからもう10年ぐらいにはなるのかしら?(文庫が出てすぐに読んだわけではなかったから)、ということにまたおののく・・・。
 米澤穂信文体に慣れてしまったということでしょうか、初読時はところにより「ん?」とひっかかりを覚えながら進んだような記憶があるのに、今回はそれを感じなかった。 むしろそんな部分に微笑ましさを感じてしまった。

  さよなら妖精【単行本新装版】.jpg 『王とサーカス』・『真実の10メートル手前』の太刀洗さんの若き日のことでもある。

 守屋くんが語り手となり、一年前の1991年4月に出会ったユーゴスラヴィアからの客人・マーヤとの短くも濃密な日々の回想と、現在である1992年における苦悩。 <出会いと祈りの物語>と裏表紙のあらすじはしめくくられている。
 マーヤと出会って親しくなることになったのは、当時高校三年生の守屋くん、文原くん、白河さん、太刀洗さん。 一年後にはそれぞれ大学生となり、全国各地に散らばってしまった。 マーヤは1991年7月はじめには帰国しているので、彼らの実質的な付き合いは2か月ほど。
 それでも・・・その年齢で出会ってしまったが故に強烈に<ここではないどこか・ここではできないなにか>に傾倒していく守屋くんの気持ちが、初読時よりも今回のほうが深く胸に刺さった。 その気持ち、わかる!、のである。
 しかしあたしもその間、今では<旧ユーゴ>と言われてしまう問題について知識は深まった(いや、むしろこれを読んだことがきっかけになって過去の情報や映画がつながり、更にそういう素材の映画を見てしまっているから)。 だから太刀洗さんの、守屋くんに感じるあやうさのことも、よくわかる! 考えてしまったらよりつらくなるからあまり考えたくない的な日本史専攻の文原くんの気持ちもわかるし、友達なんだからとにかく知りたいんだよ!、の白河さんの気持ちもすごくよくわかる。
 ひとめぐりして、あたしは「高校生のときの、自意識過剰でこの先の未来のことをちょっと舐めてて、不安や恐怖に気づかない振りをしていて、最も広い範囲で勉強していたことを無造作に日常会話に入れ込んでそれを普通と思っている、自覚がないちょっと鼻持ちならないやつ」であったことを受け入れ、許したということであろうか。
 本編にあったいくつかの<日常の謎>も、ちょっと強引かなと思っていたけど、マーヤに日本を知ってもらうためには必要なことだったと思えた。
 確かに心を奪われたこの物語を、あたしはもう一度受け入れ直した、ということなのかもしれない。

 そして<書き下ろし短編「花冠の日」>ですが・・・。
 これ、あってよかったのかなぁ!
 余計、ただひたすら、哀しくなった。
 マーヤが日本で過ごした日々を、日本の友を大事に思ってくれていた、とわかるのはうれしいけど、それは改めて言われなくともわかっていた、と思う。 少なくとも守屋くんや白河さんはこのことを知らない、というのがせめてものなぐさめ・・・。

ラベル:国内ミステリ
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2019年03月01日

誰かが嘘をついている/カレン・M・マクマナス

 タイミングにもよるのだが、勢いついて何冊も続けて一気に読み終わってしまうときがある。 するとここに感想を書くことなく次の本に入ってしまったり、映画の感想を優先で書いているのでつい忘れてしまったりする。 まぁ、中には「この感想、書くのつらいな・・・」という場合もあって気後れしているうちに時期を外すということも。
 でも、面白かったものは絶対書かねば! オススメだから!
 ということで、この一冊を。

  誰かが嘘をついている.jpg <青春小説と謎解きミステリの見事な融合>

 ある高校にて、携帯電話持ち込み禁止の授業に携帯電話を持ってきたと5人の生徒が放課後の理科室に呼び出される。 教師からその場で作文を書くようにとペナルティを課されるが、没収された携帯電話はそれぞれのものではなかった。 この5人は意図的に集められたのか?
 理科室の水道から水を飲んだ生徒の一人、サイモンが突然苦しみだす。 彼はピーナッツアレルギーだがその日はエピペンを所持しておらず、保健室にもエピペンの控えはなく、救急車で搬送中にサイモンはアナフィラキシーショックで死亡。 容疑は他の4人の生徒、優等生のブロンウィン、野球チームの有力選手クーパー、ヤクの売人をしたことで保護観察中のネイト、フットボールの花形選手の恋人アディに向けられる。 実はサイモンは<アバウト・ザット>というネットの掲示板で学校中の人の秘密をイニシャルで暴露して楽しんでおり、サイモンに高校生活を破滅させられた人は数知れず、かなり憎まれていた・・・という話。

 と、事件に出くわしてからその後の展開を、4人が交代して語りを務める、という構成。
 なんとなく、『新ビヴァリーヒルズ高校白書』みたい! 若者の青春群像とネットの介在という時代感が。
 ここはハイソな高校というわけではないけれど、結構裕福な家庭からまったく裕福ではない家庭まで登場人物の家庭環境は様々で、スクールカーストというものを否応なく考えさせられる。 かっこいい彼氏がいれば勝ち組? 成績がよくても真面目過ぎてお堅い彼女は疎まれ気味?、とか。 でも最初はステロタイプっぽく見えてた4人が、次第にそれぞれ秘密を抱えているのが明らかになっていくにつれて読者の見る目も変わってしまうし、言わないけど更に何かを隠しているのでは・・・と疑心暗鬼になっていく感じが若々しくて大変よい。
 ミステリ的にとてもフェアなので、「む、その描写(表現)、意味があるか?」とすれっからし読者には感じられてしまい・・・犯人はなんとなくわかってしまうのですが、わかっても高校生たちはどう選択をしどう進んでいくのかが気になって最後まで集中力は切れない。 いつしか高校生たちになんとなくの共感めいたものを覚えてしまうように(安易に大人に助けを求めず、同世代だけでどうにかしようという心意気もよかった)。
 さて・・・振り返ってみて、この話は日本の高校にそのまま置き換えらえるかと考えてみたら・・・多分無理なような気が。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする