2019年02月01日

バジュランギおじさんと、小さな迷子/BAJRANGI BHAIJAAN

 インド映画といえばそれ自体が一つのジャンルであるが、最近はインド映画も普通に日本で公開されているのがうれしいじゃないですか。 とかいいつつ、この作品も数年遅れではあるんだけど・・・やはり上映時間の長さがネックなのだろうか(結構カットされているんだけど)。

  バジュランギおじさんと小さな迷子P.jpg インドからパキスタン――700キロの二人旅が、世界を笑顔に変えていく・・・

 パキスタン北部のある山村で、声を出せない幼い少女シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)をあわれに思い、母親はインドにあるイスラム寺院に願掛けに連れていくのだが、帰る途中のちょっとしたことで娘とはぐれてしまい、すでに国境を越えてしまったために探しに行けなくなってしまう。 自分がどこにいるのかもわからないシャヒーダーは、ヒンドゥー教徒のにぎやかな祭りの中で明るく歌い踊るパワン(サルマーン・カーン)と出会う。 人がよく嘘もつけないパワンは迷子の少女を預かることになり、名前もわからないのでムンニーと呼び、日々仲良く暮らす。 が、ムンニーがパキスタン人でイスラム教徒だと知り・・・いろいろと葛藤はあるが、ムンニーを親の元に返そうとパワンはパキスタンに行くことに・・・という話。

  バジュランギおじさんと小さな迷子1.jpg とにかくムンニーかわいい!
 映画は前半大きく2つのパートに、ムンニーが迷子になってパワンと会うまでの過程とパワンのこれまでの軌跡にわけられている。 迷子という範囲が広すぎるのは『LION〜25年目のただいま』を思い出させるものがあり、異教徒のためにヴィザもなしで国境を越えようとするパワンはどんなやつなのかを説明するために必要なのだ。
 歌と踊りも勿論ありますが、それが必要というか必然性のあるものとして描いているのが新しいというか、世界を意識してナチュラルミュージカル化に寄せているのか、マサラ的なド派手さは薄れていますが十分にぎやかで楽しいのです。 <いかにもミュージカル>を得意としないあたしですが、インド映画の歌と踊りはわりと大丈夫。 むしろマサラでもOK!、ぐらい。
 なのでこの映画の歌と踊りは普通・・・というか、なんか逆に洗練された感じがして物足りないくらいかも。 しかし歌の歌詞は見事に物語にリンクして支え、ちょっと涙ぐみそうになるほど。 インド映画初めてという人に是非おススメしたい!

  バジュランギおじさんと小さな迷子3.jpg あたしの知る中で最もアイメイクがしっかりしたヒロイン。
 あたしの知るインド映画は、主人公は信心深く朴訥で、一人の女性をまっすぐに愛し、不器用だが純粋で目的のためには一直線というキャラが多い感じ。 パワンもハヌマーン神をひたすら信仰する曲がったことはできませんな人。 自分がバラモンだからムンニーもバラモン、でも色が白いからもしかしたらクシャトリアかな?ぐらいしか考えないのです(しかし菜食主義者でもその体格・筋肉を維持できるのですね)。
 排斥デモも起き、インドとパキスタンの国家間の中が悪くなり大使館が機能停止してしまったがため、パワンはムンニーのために密入国することになるのだが・・・「事情を話せばわかってもらえる」と本気で信じているからドキドキだよ。 だって、場合によっては銃殺だよ? コメディタッチではあれど、そのへんのリアルさはきちんと描いている。
 前半と後半の断ち切り具合があまりに強引なので、日本公開版はインターミッション含めてばっさりカットされたんだろうな・・・。

  バジュランギおじさんと小さな迷子2.jpg カシミール地方の風景が美しい。
 なんとかパキスタンに入ったけど・・・パワンだけでは当然立ち行かなくなるので、途中でビデオジャーナリスト(?)と仲良くなって三人旅に。 インドからのスパイと最初は疑ってたけど、パワンの底なしの人のよさに心打たれちゃう感じが美しい。
 何日も旅をしているのにお風呂入ってないよね、でもそんなに汚れてないよ!、的なリアリティはこの際無視で。 そういう細かいところよりも大事なことがあるでしょ!、と大上段から振りかぶられるのがかえって清々しいのです。
 人間とはどういうものか、と深く考えていなくても「人としてそういうことをするのは当たり前」と堂々としていることの強さ。 パワンはちょっと単細胞っぽいんだけれども、彼が愛されているのはそういうところなんだよな、と観客の誰もが感じる素晴らしさ。 そりゃ初対面のムンニーがなつくよね、うんうん。
 物語に意外性はほぼなく、そうなるんだろうな、という予想の大枠をはずれることなく進む。 なのに、わかっているのにまんまと感動してしまう、泣いてしまう、心を動かされてしまう。 インドとパキスタンの間にある対立の歴史を踏まえつつも「それを乗り越えるために必要なのは愛」と言い切る強さ。 正しいことしか言っていないのにそれをひねくれて受け止めたり、「けっ!」とか言う余裕もないほどのポジティブで明るいパワーにあふれている。
 あぁ、素晴らしいね、心がほっこりするね、未来を信じたくなるね。
 それがインド映画のパワーなんだ。 そりゃ好きになっちゃうよね!

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする