2019年01月20日

喜望峰の風に乗せて/THE MERCY

 この映画、なんか一年くらい前に予告編を観たような・・・でも公開日が決まる前にラインナップから消えてしまい、「おや?」と思っていたのよ・・・別な映画と間違えたのかと考えてしまった(そこで思い浮かんだのが『ターニング・タイド』だが、あれはフランス映画だから間違えようがない)。 いや、でもコリン・ファースとレイチェル・ワイズだったけどなぁ、あたしの記憶違いだっただろうか、と考えつつもいつしか忘れてた昨年末、チラシ・ポスター・予告編と揃って再登場。 何事もなかったような展開振りに、「やっぱりあれはあたしの記憶間違いだったのだろうか」、と自信がなくなってきたので、これも何かの縁であろう、と、観に行くことに。

  喜望峰の風に乗せてP.jpg このままでは帰れない――愛しているから。

 1968年、イギリス。 世界で初めてヨットによる単独無寄港でも世界一周を競うゴールデン・グローブ・レースが開催されることになった。 発明家としてヨット航海に必要な画期的な道具を開発しているドナルド・クローハースト(コリン・ファース)は、自分の機械の宣伝になるとレースに名乗りを上げる。 他の参加者は単独行の経験のある者ばかりで、ヨットで外洋にも出たことのないクローハーストにできるのか?、と危惧される。 彼は風評被害を避けるためと資金集めのために広報としてホールワース(デヴィッド・シューリス)を雇い、取引先相手にスポンサーになってもらい、レース用のヨットを作るところから始める。 が、次々に問題が起き、この日までにスタートしないとレース参加が認められなくなるギリギリの日まで来てしまう。
 妻のクレア(レイチェル・ワイズ)と三人の子供たちは夫を信じて待つという。 もし帰ってこられなければクローハーストは全財産は勿論、家まで抵当に取られてしまう。 絶対に帰ってこなくてはならない、と、クローハーストは出港するが・・・という話。 
 ・・・まさか、こんなに後味が悪い話だとは思わなかった。

  喜望峰の風に乗せて2.jpg クレアは本当に良妻賢母の見本のよう。
 レイチェル・ワイズ、美人だなぁ、と改めて思う。 また予告で『女王陛下のお気に入り』も流れていたので余計。 まったく、夫がダニエル・クレイグって「美男美女のカップルっているのね」と見とれてしまいそうですわ。
 この映画では発明家といえばあれだが、いささか山師的なところのあるドナルド・クローハーストを心から愛し、理解している女神のような奥様である。 「失敗しても構わない、生きて帰ってきてくれれば」というすべてを受け入れてくれる人!

  喜望峰の風に乗せて1.jpg 対してホールワースは、おカネにシビアな人。
 「マスコミを集めたんだから」・「スポンサーが来てるんだから」とドナルドのペースを追い立てる。 勿論、スケジュール管理をしてくれる人は重要で、ドナルドも発明家という時間に厳密ではない人種だからこそこういう人が必要なのはわかるのですが・・・かなしいかな、この二人に信頼関係がきっちり築けているのかというのが疑問という印象。

  喜望峰の風に乗せて5.jpg 遂に出港の日。
 ドナルドの表情は冴えない、問題が山積みだから。 準備不足を骨身にしみているから。 大丈夫なのか!、と観ているこちらがハラハラしてくる。 子供たちが無邪気にはしゃいでいるから尚更。
 ヨットで海に出てからは、ほぼドナルドの一人芝居なので、これがコリン・ファースをキャスティングした意味ですよね。 慣れない外洋に四苦八苦し、予想もしていなかったことに遭遇し、精一杯対応するもののトラブルは次から次へで次第に精神的に追い込まれていく・・・という姿をあますところなく表現する。 極限状態では自分の弱さと向き合わざるを得ない。 苦悩も、あやまちも、懺悔も、全部一人で背負うから。 コリン・ファースは十分に体現していたけど・・・だからってそれが「いい話」になるとは限らないのよね。

  喜望峰の風に乗せて4.jpg だから邦題やポスター、予告編からイメージしていたものとはまったく違った展開におののいたものの・・・これはこれでありなんですけど・・・切ないわ〜。
 原題の“THE MERCY”とは、本編では<救い>という字幕が出てましたがあたしのイメージでは<慈悲>。 これは、ドナルドが天に慈悲を与えてほしいと願ったのか、妻の慈悲を乞いたいと願ったのか、実話がベースだからもう50年経ったので慈悲を与えてもいいんじゃないか、の意味なのかどれだろう。
 エンディングのピアノ曲が胸を締めつけるわ・・・と思えば、音楽はヨハン・ヨハンソン。
 もしかして、映画音楽としてこれが最後の仕事ですか?(この映画の製作は2017年となっている)
 うわ・・・余計切ないです。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする