2019年01月06日

クロストーク/コニー・ウィリス

 このサイズの本(ハヤカワのポケミスサイズ)はちょっと読みづらいが・・・慣れてきたような気がする。 で、コニー・ウィリス作品はどんなに長かろうがテンポにのってしまってどんどん先まで読んでしまう危険性がある。 5年半ぶりの新作だからできるだけゆっくり読みたい、でもそれは無理らしい、と最初の数ページで思い知る。
 あぁ、このノリ。 何の話をしているかよくわからないんだけど、がんがんとまくしたてられる会話の応酬に、なんとなく状況が見えてきてしまったらもう読者はこの世界に巻き込まれている。 700ページ二段組の『クロストーク』を結局2日ほどで読んでしまったではないか。
 コニー・ウィリスの力技、すごい。 SFとしてはワンアイディアでの勝負だというのに、ここまで読ませてしまうのだから。

  クロストーク コニー・ウィリス.jpg イラストの人が変わりましたね。
 脳外科手術EEDを受けることで、指定した相手と感情を直接伝えあうことができるようになった現代。 携帯電話会社コムスパンで働くブリディは社内恋愛の恋人トレントとEEDを受けることになるが、アイルランド人であることに誇りを持つ親族たちに手術を猛反対される。 様々な妨害をかいくぐってEEDを受けたブレディだが、その結果とんでもないことに・・・という話。

 帯で『航路』に触れていたが、訳者あとがきで大森さんも書いていたように『航路』を思い出させるものがすごく多い。 でも『航路』がシリアスな方向に収束していったのに対してこの『クロストーク』はドタバタラブコメ路線をキープ。 だから途中のシリアス度の高い部分が非常に引き立つのだが・・・個人的には『航路』のほうが好きかなぁ。
 だからって面白くないということではないのだ!
 キャラクターはわかりやすいからこそ感情移入しやすく、ブリディの思い込みの激しさと早々に結論を出しちゃう感じにはイライラする前に過去の自分はどうだったか(いや、今もそういうところはあるかもしれない)とつい反省。 同僚のCBの人のよさにほのぼのし、姪のメイヴのおきゃんな子供描写には「あぁ、これぞコニー・ウィリス」とニヤリとする。 お節介を通り越した過度な干渉をする親族とか、階段がいっぱい出てくるとか、すれ違いが多いとか、お約束が多すぎてむしろすごいと思う!
 図書館の位置づけと本を読んでいる人たちの描写にはジーンときた。
 人の心の中がわかればいいのに、と思ってしまうことはあるけど、それは自分の都合のいいことだけが知りたいというだけであって、すべてがわかったら絶対耐えられない、というのが過去のSF作品から学んだこと。 携帯電話やネットワークサービスが普及したためにいつでも連絡が取れてしまう時代だからこそ、コミュニケーションのこれからはどうなるのかを描いているというべきか。 道具は増えても(増えるから?)、人の欲求は変わらない・もしくは多くなるということか。
 日本ではメールやショートメッセージが広まって、特に若い人の間では通話が減っていると聞いているが・・・本作ではメールだけでなく通話もいっぱい使っている(なかなかつながらずに留守電になったり誰かに伝言頼んでるけど)。 アメリカではそうなのかしら。
 あ、前半ではかなりミュージカルソングが出てきて、「あぁ、この曲、知ってる!」と思えたのはうれしいことだった。 シンクロニシティ?

ラベル:ラブコメ SF
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする