2019年01月31日

今日は8冊。

 早いもので1月ももう終わりである。
 なんだろう、この速さ。

  秘密 ケイト・モートン文庫版1.jpg秘密 ケイト・モートン文庫版2.jpg 秘密/ケイト・モートン
 やっと文庫化! 今のところケイト・モートンの最高傑作はこれだと思う。 もう一度読み返したいし他の人にも読んでほしい! 文庫版だと人にも貸しやすいし。 単行本のときよりこっちのほうの表紙が好きだ、ただ単行本のときの表紙のほうが読み進めていって「あ、この表紙にはそういう意味が!」とわかるうれしさはあったけど。

  十字軍物語03獅子心王リチャード.jpg 十字軍物語 3 獅子心王リチャード/塩野七生
 『十字軍物語』も後半刊行。 あぁ、早く読みたいが長いぜ。

  十字軍物語04十字軍の黄昏.jpg 十字軍物語 4 十字軍の黄昏/塩野七生
 4巻目なんか薄い!、と思ったら単行本の第3巻を文庫では3巻と4巻に分冊したのか・・・。 だったら4巻目に解説とか資料とかまとめてバランスよくしたらいいのに、というのは我儘なのでしょうか。

  スティグマータ 近藤史恵.jpg スティグマータ/近藤史恵
 『サクリファイス』シリーズ最新刊。 自転車ブームの火付け役とのことですが・・・あたしが自転車競技を最初に読んだのって藤本ひとみの<花織高校恋愛スキャンダル>シリーズのどれかだった気がする。 時計を見ないで60秒でゴールする、とか。 あぁ、懐かしい。 そういえば『茄子 アンダルシアの夏』っていつだ?!

  キアズマ 近藤史恵.jpg キアズマ/近藤史恵
 で、これも同じく自転車競技を題材にしたもので、シリーズに入っているらしいと知る。 え、表紙のテイスト全然違うし、これ読んでないんですけど!、と一緒に買うも・・・主役は大学生で番外編か単独作では。 ま、自転車もの好きだからいいです。 なんかより青春っぽいし。

  チャンネルはそのまま新装版3.jpgチャンネルはそのまま新装版4.jpg チャンネルはそのまま! 3・4/佐々木倫子
 新装版『チャンネルはそのまま!』の続き。 表紙は書き下ろしなのかな? パステル・色鉛筆調で新鮮だけど、若干顔が違う感じ・・・しばらく描いてなかったから? 山根くんが感じた冬の異変を、あたしはそのまま受け入れてたな、と当時感じたことをまた思い出す。 雪国の生活常識は一般常識ではなかったのだ・・・神戸暮らしも結構長いのに、あたしはまた思い知る。

ラベル:新刊 マンガ
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2019年01月29日

ミスター・ガラス/GLASS

 シャマラン監督ファンのことを<シャマラニアン>と呼ぶらしい。 ならばあたしもシャマラニアンである。
 とはいえ、『アンブレイカブル』から19年もたっているそうである・・・マジか。 過去の作品だったら続編までの間がどれほどあいていても観る側のタイミングで関係なくなるけど、実際にリアルタイムでこうやって続きを観ることになるなんて、同時代を生きるヨロコビというか。 長生きはするものですねぇ。
 アメリカでは大ヒット中のこの映画、日本では公開一週目でも『ボヘミアン・ラプソディ』のほうが観客が多いという・・・シャマラン作品を愛するのはあたしと同じくらいの年代の方々が中心なのかもしれないなぁ。 それでなくとも続編だから、一見さんは多くないはず。

  ミスター・ガラスP.jpg M.ナイト・シャマランが仕掛ける「アンブレイカブル」の“その後”――

 デヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)は息子のジョセフ(スペンサー・トリート・クラーク)と一緒に防犯セキュリティ関係の製品を扱う店をやっているが、デヴィッドはヒーローとして名もなき人たちを救い、捕まらない悪人に制裁を加えてきた。 ある日、ケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)とすれ違い、彼がチアリーダー4人を監禁していることに気づく。 彼女たちを救うためビースト(ジェームズ・マカヴォイ)と戦うデヴィッドだが、警察に取り囲まれ、精神病院に送られてしまう。
 精神科医のエリー・ステイプル(サラ・ポールソン)によれば、デイヴィッドもケヴィンも精神病なのだという。 その施設にはデイヴィッドの因縁の相手、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)も収容されていた・・・という話。

 冒頭から『アンブレイカブル』と『スプリット』を観ていない人を相手にしていない空気全開。
 逆に、観ている人ならばついていける。 あたしは『アンブレイカブル』を観直していなかったのだが、公開当時とWOWOW初回放送時と少なくとも2回以上は観ているのでポイントは記憶にあったため、いろいろこれを観ながら思い出すことに。 オープニングクレジットの文字が紫色なことが何か引っかかってたけど、「あ、紫はイライジャの色!」と気がついて一気に氷解。 なので前二作は先に観るべきだが、どうしてもというのであれば『アンブレイカブル』だけでも観てほしい。 それを観ているのと観ていないのではこの映画に対する評価はまったく違ったものになるので。
 シャマラン監督は自分の作品に必ず役者として顔を出すのだが、今回は『アンブレイカブル』のときと同じ人物として登場! こういうのって内輪受けなのかな・・・でもあたしはすごくツボにはまってしまい、にやにや笑いが止まらなかった。 ジョセフも成長したご本人だったので過去のシーンとのリンクもものすごく、時間の経過を感じさせる。
 マカヴォイくん、『スプリット』のときよりもはるかに24重人格者をモノにしていて、ある人格から別の人格への移り変わりがより自然に。 同じ役を長くやることでちょっと下手な役者もうまくなる、とあたしは感じているのだが、うまい人も同じ役を続けることでよりうまくなるのだな!、と感嘆。 ほぼ彼が主役の勢いだ(クレジットもジェームズ・マカヴォイが最初だし)。
 しかしタイトルロールはサミュエル・L・ジャクソンなのである。 イライジャの抱えていた痛みや苦悩などは『アンブレイカブル』でも描かれ、それに胸を突かれたのだけれど、本作ではその先にも救いはなかった的なところとか、ずっと彼が計画していたことなど、いろいろ考えたら泣きそうになってくる。 イライジャの母親がブルーのiMacをまだ使っている(もしくは大事にとっておいた?)ところなども『アンブレイカブル』の続きを実感。 イライジャはあくまでイライジャであって、『アベンジャーズ』などの人とは全く別人なのも素晴らしい。
 ところどころに顔を出す“日本”をどう受け止めたらいいのやら。
 怒涛のラスト(?)に至って、ようやく気づく。 あぁ、そうだ、「名もなき大多数の人々」は善良でありよいことはいつか必ず広まる、というような価値観を信じたくなる気持ちがシャマラン映画の根底にあるのだということを。 シャマラニアンはそれを愛しているので、多少ぶっ飛んでいることがあっても気にしないのだが(勿論、独特のハッタリ気味の語り口も魅力だが)、それがわかりやすい形ではないので観る人を選ぶのだろうか。 あたしは好きなのでこの世界観を受け付けない人の気持ちはよくわからないのだが、シャマラニアンの間でも『ヴィレッジ』以降はダメとか『エアベンダー』がダメとか意見わかれてるし。 個人的には『アフター・アース』だけつらくて(序盤の異星人襲来シーンはとてもよい)、『エアベンダー』もきらいじゃないし、『レディ・イン・ザ・ウォーター』もそこまで責められるものかと感じるので、シャマランワールドは非常に好みなんだろう、と、そういう存在がいることにとても感謝したいのだが。
 2月、『スプリット』放送記念でWOWOWがシャマラン特集をする。 楽しみだ。

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2019年01月28日

バハールの涙/LES FILLES DU SOLEIL

 この映画はまったくノーマークだったのですが(映画館でチラシを見なかったような・・・予告編も観てなかった)、上映予定作品一覧からHPで予告編を観て・・・「あぁ、これは観たほうがいい」と感じる。 これは今の世界に続いている話、過ぎた時代の話ではなくて。
 全国で14館しか上映していないそうである・・・神戸国際松竹ありがとう、と思いつつ、遅れても上映館が増えるといいのに。

  バハールの涙P.jpg 母 VS IS 女に殺されると天国へ行けない
   ISに拉致された息子を助け出すため最前線で戦うことを余儀なくされたクルド人女性バハールの生き様を描いた感動作。

 2014年8月3日、イラクのクルド人自治区である北西部のシンジャル山脈沿いの村に、IS(イスラミックステート:イスラム教原理主義過激派集団)が突然襲い掛かり大量虐殺を始めた。 この地域はヤズディ教という独自に発達した宗教があり、それへの弾圧がISの目的だった。 脱出できた人々もいるが、逃げ遅れた人々は殺されるか拉致されるかだけ。 クルド自治区政府軍はISと戦う抵抗部隊組織を送り出し、国連のサポートも取り付ける。 バハール(ゴルシフテ・ファラハニ)をリーダーとする女性だけの戦闘部隊もまた前線に立っていた・・・という話。

  バハールの涙1.jpg 黒い眼帯の人はそれっぽく見えるが、実は非戦闘員のジャーナリスト。
 フランスから来た戦場ジャーナリストのマチルド(エマニュエル・ベルコ)は以前、爆撃に巻き込まれて左目を失明。 同じ職業の夫も戦場で失い、パリで待つ一人娘と時折FaceTimeで会話するだけと様々なものを失い自責の念にかられつつも、この仕事をやめることができないでいる。 女性だからということを本人は意識していないとしても、女性部隊を取材できたのは女性だからかも。
 というわけで、この映画は完全に女性目線である。 なので無意識の男性目線的押しつけにイライラさせられることがないのがよかった(映画の内容は重たいけれども)。 あたし自身は“筋金入りのフェミニスト”ではないのだけれど、フェミニスト的感覚を当然とする世代なのだなぁ、ということを改めて実感する。 それがいいことなのかどうかはよくわからない。
 この映画では2015年11月11日から13日までの3日間が進行中の出来事として描かれ、その合間にマチルドが聞き取ったバハールの過去が都度回想シーンとして挿入される仕組み。 しかし時に回想があまりに長く、そっちに重心が行ってしまいそうになる(“今”のシーンに戻って、「はっ、そうだ、回想シーンだった」と気づかされて、“今”がどういう感じなのかわからなくなりそうに)。

  バハールの涙2.jpg 彼女たちの合言葉は「女 命 自由」。
 なんだかそれだけで泣きそうになる。
 ISのやってることはボスニア紛争やアルジェリア内戦などを思い出させる(違うのはスマホがあるかどうかぐらい)。 信じるものや民族が違うというだけで男を殺し、女には自分たちの子供を産ませて、子供は洗脳して戦士にさせるというのが・・・全然独自性のあるものではなく正当性もないことに彼らは気づいているのかどうか。
 イスラム教では、<女性に殺されたら天国へ行けない>とされているそうである。
 逆の<男性に殺されたら天国へ行けない>がないということは、そもそも男が殺す側である・女に権利はないと言っているようでつらい。 男が始めた戦いに女が立ち上がるとはどういうことか、という意味の重さ!、ですよ。 このへんの感覚はアジア圏ならではかもしれないが。
 更にショックだったのは、ISの自爆戦闘員をクルド人側が「カミカゼ」と言っていたこと・・・そんな形で日本語が広まっているのは不本意だ。

  バハールの涙4.jpg バハール、弁護士として日常にいた頃。
 普通の生活をしていた人が、こんな極限状態に放り込まれ、ひどい目に遭い、どうにか逃走して数か月で銃をとって戦うようになる・・・いったいどんな修羅をくぐらざるを得なかったのか考えるとつらすぎる。 男ども、死ね、と思う。 憎しみは何も生まないことはわかっていても、そう感じてしまう気持ちはあるのだ、誰にも。
 この町での戦闘は落ち着いたとしても、空爆や銃撃で瓦礫と化したここをどうやって再建させるのか。 そして違う町では戦闘はまだ終わっていない。 武力では何も解決しないことを、人間はいつになったら学べるのだろう。
 原題は“LES FILLES DU SOLEIL”=<太陽の女たち>? テーマは女性の強さなのに『バハールの涙』という漠然とした哀しい系のタイトルになってしまうのは、明るい話ではないとするための予防線? もうちょっとなんとかならなかったのかな。
 バハール役の人、なんか見たことあるんだけど誰だっけ、と思っていたら・・・なんと『パターソン』のちょっと天然の妻の人だそうではないか! あっちはファニーフェイスな感じだったのに、こんなに美人だったとは。

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2019年01月26日

刑事ファビアン・リスク 零下18度の棺/ステファン・アーンヘム

 <刑事ファビアン・リスク>シリーズ3作目。
 とはいえ時間軸としては一作目『顔のない男』の2年後(二作目『九つ目の墓』は『顔のない男』よりも前の話)なので、登場人物の大半は『顔のない男』と同じ(『九つ目の墓』の登場人物も出てくるが)。 すみません、結構忘れています・・・あぁ、そういわれれば、的な感じで1/3くらい読んでやっと思い出す。 シリーズってこういうとこがつらい。 だからまとめて読みたくなるのだろうけど、あたしの記憶力が落ちていることは否めない・・・。 おまけに『顔のない男』のネタバレが続々・・・順番通り読まないとダメってことですね!

  ファビアン・リスク 零下18度の棺.jpg 赤いスマイルマークを見るといまだに<レッド・ジョン>を思い出すのはあたしだけですかね・・・『メンタリスト』は完結しましたけど。

 夏が間近のスウェーデン・ヘルシンボリ、一台のBMWが港から海に飛び込む。 運転者は遺体で見つかり、血中から高いアルコール濃度が検出されたため飲酒運転のための事故とみなされたが、検視官のエイナル・グレイデ(通称“三つ編”)が遺体が凍っていたことを見抜く。 では殺人なのか?、ファビアン・リスクら犯罪捜査課の面々は捜査を開始する。
 一方、デンマークではホームレスの人々が被害に遭う事件が頻発し、関連があるのではないかとドゥニヤ・ホウゴーは立ち上がるが、彼女は悪徳上司キム・スライズナーによりコペンハーゲン警察をクビになり、現在はヘルシンオア警察のパトロール警官にすぎない。 組織はまったくあてにならず、ドゥニヤは単身事件を捜査する。

 なんというか・・・このシリーズ(というか作者)の容赦のなさもここに極まれり、といった感じで。 登場人物に愛情とか愛着とかないのかね!、と思ってしまうくらいひどい目に遭う人たち続出。 これはもうあっさり死んだ人のほうがいいんですかね、というほど、生き残った人たちは重たいものを背負わされる(でも、いったん生き延びてもさらにひどい目に遭って殺されたりするので微妙)。
 これは日本語訳がこなれてないからなのか原文のせいなのかあれですが、描写がわかりにくいときが。 同じことが二回書いてあったり、そこは説明不足ではと何かがすっ飛んでいたり。 あと、明らかに英語から訳してますよねとまるわかりなのが、「北欧なのに」とちょっとがっかりする部分あり(そして北欧ものなのに女性が報われないとか家族より仕事を重視すると責められるのはかなしい)。
 <ファビアン・リスク>シリーズなのだけれど、だんだんファビアンに主役としての重みのようなものがなくなってくる感。 ファビアンとその家族に覆いかぶさる苦難とか、ファビアンだけがつかんだ事実とかあるけど、まわりの人がいないと進めないんだよな・・・。 ファビアン個人では物語を引っ張る魅力がないっていうのは、群像劇としては正しいのかな?
 それにしても、すごいクリフハンガーで終わってるんですけど!
 <ファビアン・リスク四部作>ってそういう構想なのか・・・と納得はできたが、かなりのアクロバットであることは否定できず。 ヘニング・マンケルなどのリアリティある作品群に比べると絵空事感が半端ないのではあるが、まぁこれはこれで面白い、ということで。 作者の謝辞を読めば翻訳されることが前提っぽいし、テレビドラマの脚本出身だし、ショッキングさや意外性重視なのであろう。
 完結編であろう四作目の翻訳が待たれる。 また忘れちゃう前にお願いしますよ。

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2019年01月25日

ボヘミアン・ラプソディ ラスト21分スタンディングOK応援上映

 興行収入100億円突破のために、あと何回か行こうかしら、と思っていた矢先に「1月22日で100億円突破」のご連絡。 アカデミー賞のノミネートもおめでとう!
 そしたら神戸ハーバーランドの映画館で、一週間応援上映をやっている、しかもスタンディングOKのやつ!、と気づく。 しかも平日ならば全部レイトショー枠! これなら1300円じゃないか! というわけで最終日の24日を押さえたが、31日まで追加日程が増えていた。
 うーむ、もしかして、ミントよりハーバーのほうが応援上映は熱いのか?(追加日程はミント神戸でもやるが、時間帯が昼間中心)。
 とりあえず、ハーバーランドに行ってみた。

  ボヘミアン・ラプソディ#神戸ウェンブリー2.JPG #神戸ウェンブリー って・・・。
 デジタルサイネージ表示で、大々的にお知らせ。
 するとなにか、日本各地の地名がウェンブリーに冠せられているのか・・・そう思うとまたなんだか胸アツですね。
 平日夜だったので結構席は空いていましたが、立ってOKなのであまりきつきつでは動きにくいので余裕があるくらいのほうがちょうどいいのかも。 そしてハーバーでは前説の人がいましたよ! その人への拍手で、「おっ、数は少ないが客は熱いぞ!」と感じるのでした(10回以上観た人がけっこういたんだ、これが)。
 結果として、ハーバーの客は熱かった・・・。
 「Not Coffeemachine!」は言いたいんだね!、わかるよ・・・。
 ライヴ・エイドのシーンでは、「フレディ!」といった歓声も。 おお、発声OKってそんな感じでいいんだ!、と不慣れなあたしは思いましたが、もしかしてアメリカの映画館ってこういうのが日常的なのかしら。
 前回の応援上映では「ラスト21分」は体感5分だったけど、立ち上がって手拍子だとまたちょっと違って感じた。 初めてではないからかしら。 足拍子も取れるし、ライヴへの一体感がより強くなる。 でもそれも、盛り上がりの雰囲気をつくってくれる濃い方々のおかげ。
 やっぱり泣いちゃったけど、確かにこれはクセになるなぁ。 通っちゃう気持ち、わかるなぁ。
 「『ボヘミアン・ラプソディ』、〇回行った!」っていえるのは、幸せなことなのかも。 余裕がなかったらそんなことできないし。 自分がつらかったらフレディの孤独に寄り添えない。

  ボヘミアン・ラプソディ#神戸ウェンブリー1.JPG 勿論、普通の紙のポスターもありました。
 力入れてるなぁ。 こういう感じがヒットの底支えになってきたし、それに乗っかる観客もいるから増えていくのだろうし。 映画のヒットは生まれにくい昨今ですが、時折社会現象が生まれるのはやはり映画の持つ特別な力なんじゃないかと。
 宣伝や前評判がすごかったわけでもなく、鑑賞者の口コミで観客が増えていくというのはエンターテイメントの一種理想のかたち。 映画の中でもクイーンが理想的なバンドだったように、クイーン自身が批評家に酷評されながらもヒットを飛ばして世界の音楽ファンに受け入れられたように、この映画そのものが現実とリンクする。
 それを奇跡と呼ぶのでしょうか。 ならば奇跡と呼びたいですね。

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2019年01月24日

今日は4冊。

 気がつけば1月ももう後半ですよ・・・末端冷え性対策にビタミンEなどをのんでおりますが、効果が出ているのかどうなのか(効果が出てこの状態なのか)。 指先・足先がたいへん冷たいです。

  クロコダイル路地 文庫版.jpg クロコダイル路地/皆川博子
 祝・文庫化! だけど単行本では『T』と『U』に分かれていましたよね・・・文庫は一冊なの?、と持ち上げようとしたら、持ち上がらない! 重いからではなくて、平置きではどこが裏表紙なのかなかなか探れず。 それもそのはず、なんと1000ページ越え。 連載時の挿絵もすべて収録。 ページや表紙の紙の種類を他の講談社文庫と変えて、軽さ・めくりやすさ・表紙のへたらなさを追求した模様。 なんだ、講談社もやればできるではないか!
 しかし、そのせいかお値段1998円(税込)。 文庫のお値段としてはいかがなものか・・・でも確かに、これは分冊せずに一冊であるほうがいいと思う。 だけどお弁当箱みたいな厚さだぜ・・・小さめのカバンには入れるのが難しい。

  天冥の標10−2.jpg 天冥の標 ] 青葉よ、豊かなれPart2/小川一水
 Part3が最終巻で、2月20日発売予定。 これで『天冥の標』も遂に完結!
 第一部はさほど厚くない上下巻、第二部は一冊だったことがもはや懐かしい・・・。
 これも巻末に<年表・登場人物紹介・用語説明>が30ページ強ついているから、それなしなら『青葉よ、豊かなれ』も一冊で刊行できるんじゃないの? 1000ページぐらいになるかもしれないけど、と思ってみたりする。

  チャンネルはそのまま新装版1.jpgチャンネルはそのまま新装版2.jpg チャンネルはそのまま!【新装版】1・2/佐々木倫子
 あっ、いつの間に新装版が?! 12月末に出ていたらしいが知らなかった。 1月末・2月末に2冊ずつ刊行予定らしい。
 それもドラマ化の影響ですかね・・・北海道ローカルとNetflix配信なのであたしは観れないだろうけど。
 星丸は芳根京子か・・・空気読めないおとぼけだけど傍若無人な感じが出せれば役者として一皮むけそうですよ(決して星丸には「かわいい」が似合ってはいけない)。 そして山根くんは誰なんだ・・・。

ラベル:マンガ 新刊
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2019年01月23日

第91回アカデミー賞 ノミネーション

 そういえばノミネート発表もうすぐだよな、と何日か前に思い出したのに、肝心のその日を失念。
 ネットニュースに出ているのを見て、WOWOWの特設サイトまで飛んで行った。
 おっと、今回はこんな感じなんですね!

◇作品賞◇
  『ブラックパンサー』
  『ブラック・クランズマン』
  『ボヘミアン・ラプソディ』
  『女王陛下のお気に入り』
  『グリーンブック』
  『ROMA/ローマ』
  『アリー/スター誕生』
  『バイス』
 今年は8作品ということで・・・『ファースト・マン』は入らなかったんですね!
 予告などを見た感じでは『グリーンブック』がイチオシ、二番手は『女王陛下のお気に入り』というのがあたしの期待&予想で、『ブラック・クランズマン』と『バイス』は観たい。 『ROMA/ローマ』はNetflixで配信中だそうですが・・・観れない。
 『ブラックパンサー』はWOWOWで観たけど、あんまり・・・黒人パワーみたいなものを評価した、みたいな感じだったら微妙だな。
 『ボヘミアン・ラプソディ』は大好きですが、作品賞はとらなくていい!

◇監督賞◇
スパイク・リー (『ブラック・クランズマン』)
パヴェウ・パヴリコフスキ (『COLD WAR あの歌、2つの心』)
ヨルゴス・ランティモス (『女王陛下のお気に入り』)
アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)
アダム・マッケイ (『バイス』)
 おお、ギリシアの奇才ヨルゴス・ランティモスがついにノミネート! すごい!
 あ、そういえば「固い」と言われてたブラッドリー・クーパーがいないじゃないか!

◇主演男優賞◇
クリスチャン・ベイル (『バイス』)
ブラッドリー・クーパー (『アリー/スター誕生』)
ウィレム・デフォー (『永遠の門 ゴッホの見た未来』)
ラミ・マレック (『ボヘミアン・ラプソディ』)
ヴィゴ・モーテンセン (『グリーンブック』)
 おぉ、ラミ・マレックきたよ! ゴールデングローブからの流れで本命・対抗ぐらいの位置にいるのでは? でもあたしとしては、ウィレム・デフォーとヴィゴ・モーテンセンにもそろそろとっていただきたいのですよね〜。 困るわ〜。

◇主演女優賞◇
ヤリッツァ・アパリシオ (『ROMA/ローマ』)
グレン・クローズ (『天才作家の妻 40年目の真実』)
オリヴィア・コールマン (『女王陛下のお気に入り』)
レディー・ガガ (『アリー/スター誕生』)
メリッサ・マッカーシー (『キャン・ユー・エヴァー・フォーギヴ・ミー?(原題)』)
 ここはグレン・クローズとオリヴィア・コールマンの一騎打ちという噂ですが・・・確かにそうかもしれない。

◇助演男優賞◇
マハーシャラ・アリ (『グリーンブック』)
アダム・ドライヴァー (『ブラック・クランズマン』)
サム・エリオット (『アリー/スター誕生』)
リチャード・E・グラント (『キャン・ユー・エヴァー・フォーギヴ・ミー?(原題)』
サム・ロックウェル (『バイス』)
 えっ、サム・ロックウェル去年もらったじゃん。 でも『バイス』でのブッシュ大統領(子)、瓜二つとかではないのだが、妙に雰囲気とか似てたのは確かに(一部フッテージを観ての感想)。 マハーシャラ・アリも最近とってるし、これもフッテージ観ていい感じだったアダム・ドライヴァーを押したいところだが、サム・エリオットかなぁという気もする(実際、よかったし)。 ここと主題歌賞でアリーは終わりで!

◇助演女優賞◇
エイミー・アダムス (『バイス』)
マリーナ・デ・タビラ (『ROMA/ローマ』)
レジーナ・キング (『ビール・ストリートの恋人たち』)
エマ・ストーン (『女王陛下のお気に入り』)
レイチェル・ワイズ (『女王陛下のお気に入り』)
 また激戦区のこちら、映画どれも観れていないのに好きな人がごそっといるのは困るわ〜。

◇外国語映画賞◇
『カペナウム(原題)』:レバノン
『COLD WAR あの歌、2つの心』:ポーランド
『ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)』:ドイツ
『ROMA/ローマ』:メキシコ
『万引き家族』:日本
 日本国内での報道は『万引き家族』一色になることでしょうが、ここは『ROMA/ローマ』一択です。

◇脚本賞◇
『女王陛下のお気に入り』
『ファースト・リフォームド(原題)』
『グリーンブック』
『ROMA/ローマ』
『バイス』

◇脚色賞◇
『バスターのバラード』
『ブラック・クランズマン』
『キャン・ユー・エヴァー・フォーギヴ・ミー?(原題)』
『ビール・ストリートの恋人たち』
『アリー/スター誕生』

◇撮影賞◇
『COLD WAR あの歌、2つの心』
『女王陛下のお気に入り』
『ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)』
『ROMA/ローマ』
『アリー/スター誕生』

◇編集賞◇
『ブラック・クランズマン』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『女王陛下のお気に入り』
『グリーンブック』
『バイス』
 編集賞は『ボヘミアン・ラプソディ』がとっていいんじゃないでしょうか。

◇美術賞◇
『ブラックパンサー』
『女王陛下のお気に入り』
『ファースト・マン』
『メリー・ポピンズ リターンズ』
『ROMA/ローマ』

◇衣装デザイン賞◇
『バスターのバラード』
『ブラックパンサー』
『女王陛下のお気に入り』
『メリー・ポピンズ リターンズ』
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
 『バスターのバラード』ってどういう映画? まったく思い当たるものがない。 それとも原題で知っているなにかなんだろうか。 衣装デザイン賞はコスチュームプレイものが評価されがちですよね(メイク・ヘアデザインも)。

◇メイク・ヘアスタイリング賞◇
『ボーダー(原題)』
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
『バイス』

◇作曲賞◇
『ブラックパンサー』
『ブラック・クランズマン』
『ビール・ストリートの恋人たち』
『犬ヶ島』
『メリー・ポピンズ リターンズ』

◇歌曲賞◇
“All The Stars”(『ブラックパンサー』)
“I'll Fight” (『RBG(原題)』)
“The Place Where Lost Things Go” (『メリー・ポピンズ リターンズ』)
“Shallow” (『アリー/スター誕生』)
“When a Cowboy Trades His Spurs for Wings” (『バスターのバラード』)

◇録音賞◇
『ブラックパンサー』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『ファースト・マン』
『ROMA/ローマ』
『アリー/スター誕生』

◇音響編集賞◇
『ブラックパンサー』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『ファースト・マン』
『クワイエット・プレイス』
『ROMA/ローマ』
 あー、音響編集も『ボヘミアン・ラプソディ』でいいんじゃないですか!

◇視覚効果賞◇
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
『プーと大人になった僕』
『ファースト・マン』
『レディ・プレイヤー1』
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』

◇長編アニメ映画賞◇
『インクレディブル・ファミリー』
『犬ヶ島』
『未来のミライ』
『シュガー・ラッシュ:オンライン』
『スパイダーマン:スパイダーバース』
 ここも『未来のミライ』で盛り上がるのでしょうが、多分『インクレディブル・ファミリー』。 『スパイダーマン:スパイダーバース』は『ヴェノム』のあとのおまけ映像がこれだったのね。 シュールさでは『犬ヶ島』のほうが群を抜いて独自性あるし。

◇長編ドキュメンタリー賞◇
『フリー・ソロ(原題)』
『ヘイル・カウンティ(原題)』
『マインディング・ザ・ギャップ(原題)』
『オブ・ファーザーズ・アンド・サンズ(原題)』
『RBG(原題)』

◇短編ドキュメンタリー賞◇
『ブラック・シープ(原題)』
『エンド・ゲーム:最期のあり方』
『ライフボート(原題)』
『ア・ナイト・アット・ザ・ガーデン(原題)』
『ピリオド.エンド・オブ・センテンス(原題)』
 ドキュメンタリー映画は忘れた頃に公開されたりするからな・・・近いうちにWOWOWでやるノミネート作品紹介番組を観ておかねば!

◇短編アニメ映画賞◇
『アニマル・ビヘイヴィア(原題)』
『Bao』
『Late Afternoon』
『One Small Step』
『ウィークエンズ(原題)』

◇短編実写映画賞◇
『ディテインメント(原題)』
『野獣』
『マルグリット』
『マザー(原題)』
『スキン(原題)』
 短編だと更に公開される機会がないので・・・これもいつかやるであろう特集を待つ。 このあたりに日本人が絡むとぐっと公開・放送率は高まるのだが。

 アカデミー賞授賞式は、日本時間2月25日(月)の午前中から!
 今年もあたしは朝から同時通訳での放送から見る予定! ブランチとお茶とお茶菓子の準備だ!

ラベル:アカデミー賞
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2019年01月20日

喜望峰の風に乗せて/THE MERCY

 この映画、なんか一年くらい前に予告編を観たような・・・でも公開日が決まる前にラインナップから消えてしまい、「おや?」と思っていたのよ・・・別な映画と間違えたのかと考えてしまった(そこで思い浮かんだのが『ターニング・タイド』だが、あれはフランス映画だから間違えようがない)。 いや、でもコリン・ファースとレイチェル・ワイズだったけどなぁ、あたしの記憶違いだっただろうか、と考えつつもいつしか忘れてた昨年末、チラシ・ポスター・予告編と揃って再登場。 何事もなかったような展開振りに、「やっぱりあれはあたしの記憶間違いだったのだろうか」、と自信がなくなってきたので、これも何かの縁であろう、と、観に行くことに。

  喜望峰の風に乗せてP.jpg このままでは帰れない――愛しているから。

 1968年、イギリス。 世界で初めてヨットによる単独無寄港でも世界一周を競うゴールデン・グローブ・レースが開催されることになった。 発明家としてヨット航海に必要な画期的な道具を開発しているドナルド・クローハースト(コリン・ファース)は、自分の機械の宣伝になるとレースに名乗りを上げる。 他の参加者は単独行の経験のある者ばかりで、ヨットで外洋にも出たことのないクローハーストにできるのか?、と危惧される。 彼は風評被害を避けるためと資金集めのために広報としてホールワース(デヴィッド・シューリス)を雇い、取引先相手にスポンサーになってもらい、レース用のヨットを作るところから始める。 が、次々に問題が起き、この日までにスタートしないとレース参加が認められなくなるギリギリの日まで来てしまう。
 妻のクレア(レイチェル・ワイズ)と三人の子供たちは夫を信じて待つという。 もし帰ってこられなければクローハーストは全財産は勿論、家まで抵当に取られてしまう。 絶対に帰ってこなくてはならない、と、クローハーストは出港するが・・・という話。 
 ・・・まさか、こんなに後味が悪い話だとは思わなかった。

  喜望峰の風に乗せて2.jpg クレアは本当に良妻賢母の見本のよう。
 レイチェル・ワイズ、美人だなぁ、と改めて思う。 また予告で『女王陛下のお気に入り』も流れていたので余計。 まったく、夫がダニエル・クレイグって「美男美女のカップルっているのね」と見とれてしまいそうですわ。
 この映画では発明家といえばあれだが、いささか山師的なところのあるドナルド・クローハーストを心から愛し、理解している女神のような奥様である。 「失敗しても構わない、生きて帰ってきてくれれば」というすべてを受け入れてくれる人!

  喜望峰の風に乗せて1.jpg 対してホールワースは、おカネにシビアな人。
 「マスコミを集めたんだから」・「スポンサーが来てるんだから」とドナルドのペースを追い立てる。 勿論、スケジュール管理をしてくれる人は重要で、ドナルドも発明家という時間に厳密ではない人種だからこそこういう人が必要なのはわかるのですが・・・かなしいかな、この二人に信頼関係がきっちり築けているのかというのが疑問という印象。

  喜望峰の風に乗せて5.jpg 遂に出港の日。
 ドナルドの表情は冴えない、問題が山積みだから。 準備不足を骨身にしみているから。 大丈夫なのか!、と観ているこちらがハラハラしてくる。 子供たちが無邪気にはしゃいでいるから尚更。
 ヨットで海に出てからは、ほぼドナルドの一人芝居なので、これがコリン・ファースをキャスティングした意味ですよね。 慣れない外洋に四苦八苦し、予想もしていなかったことに遭遇し、精一杯対応するもののトラブルは次から次へで次第に精神的に追い込まれていく・・・という姿をあますところなく表現する。 極限状態では自分の弱さと向き合わざるを得ない。 苦悩も、あやまちも、懺悔も、全部一人で背負うから。 コリン・ファースは十分に体現していたけど・・・だからってそれが「いい話」になるとは限らないのよね。

  喜望峰の風に乗せて4.jpg だから邦題やポスター、予告編からイメージしていたものとはまったく違った展開におののいたものの・・・これはこれでありなんですけど・・・切ないわ〜。
 原題の“THE MERCY”とは、本編では<救い>という字幕が出てましたがあたしのイメージでは<慈悲>。 これは、ドナルドが天に慈悲を与えてほしいと願ったのか、妻の慈悲を乞いたいと願ったのか、実話がベースだからもう50年経ったので慈悲を与えてもいいんじゃないか、の意味なのかどれだろう。
 エンディングのピアノ曲が胸を締めつけるわ・・・と思えば、音楽はヨハン・ヨハンソン。
 もしかして、映画音楽としてこれが最後の仕事ですか?(この映画の製作は2017年となっている)
 うわ・・・余計切ないです。

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2019年01月18日

シメール/服部まゆみ

 これ、確かカバーがすりガラスみたいな感じになってた白い単行本だったよなぁ、そしてあんな話だったよなぁ、と記憶を引っ張り出すも、それに絡みついていろんなものが出てきて、「いやいや、それは『罪深き緑の夏』で、そっちは『ハムレット狂詩曲』」と自分ツッコミ。 どうやら記憶の同じ引き出しに入ってしまっているらしい。 「これ、あたし前に読んでるよね」と不安になってきて、つい1ページ目を読んでしまう。
 ・・・おぉ、読んだ覚えあり!
 そうしたら止められず、最後まで読んでしまった・・・。

  シメール 服部まゆみ文庫版.jpg だから顔をはっきりさせてしまうのは(以下略)。

 クリスマスの日に家が火事にあってしまい、小さなアパートに映ることになった一家。 翔と聖は双子の兄弟で、聖は母親のお気に入りの“いい子”だが翔は一人でいるのが好きな寡黙なタイプ。 ある日、大学教授である片桐は翔を見かけ、その“美”に魅了される。 実は翔の両親は片桐の美大時代の同級生だったこともあり、旧交を温める形で片桐は翔のもとを訪れ・・・という話。

 といってもあらすじはあまり役に立たないのだが。
 章立て・構成・文体と、すべてが服部まゆみ的であり、誰も真似ができないものだなぁと改めて感じる(真似をしてもすぐに真似だとわかってしまう)。 あたしも影響を受けて<・・・>を使うことにためらいがなくなってどんどんつかってしまうのだが、<・・・>の使い方もやっぱり違うんだよなぁ、真似ができない。 美意識やセンスの裏打ちがあるかないかですよ!
 とはいえ、あたしもいたずらに歳を重ねてきたわけではない。 片桐がまたもや澁澤龍彦をモデルにした人物だということは前に読んだ時よりもはっきりわかるし、このタイプのキャラクターは服部まゆみ作品には必ずといっていいほど出てくるので若干時代を感じなくもない・・・のだが、その世界観に入り込んでしまうとそんなことはどうでもよくなるのだよね〜。
 あたしの思う<耽美>ってこういう感じですよ!
 どうしようもない悲劇と人の愚かしさをここまで美しくまとめてもらったら、痛みすら感じない。
 ・・・あぁ、『ハムレット狂詩曲』も読みたくなってきたぞ。

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2019年01月17日

蜘蛛の巣を払う女/THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB

 どうしようかとても悩んだ。 原作を読むかどうかのときの悩みと似ている。
 <『ミレニアム』三部作>はスウェーデンで映画になっているけれど、ハリウッド版は一作目『ドラゴン・タトゥーの女』のみで、続編が原作の四作目になっちゃってる・・・しかもスタッフ・キャストも一新、微妙に格落ち感あり。 でも前作の監督デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮に名前を残しているからなぁ。
 いや、悩んでいるくらいなら、早くいかないと終わるぞ!、という気持ちになって行くことに。 『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットでスクリーンと時間の押さえが読めなくなっているよ・・・。

  蜘蛛の巣を払う女映画P.jpg リスベット、16年前なぜ私を見捨てたの――

 本格的な冬が近づくスウェーデン・ストックホルム。 その世界では知らない者はいない天才ハッカー、リスベット・サランデル(クレア・フォイ)だが、以前ある事件でジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィスト(スヴェリル・グドナソン)と一緒に謎を解いたため、世間的にも名前を知られるようになった。 そんな中、隠れ家に住むリスベットのもとに人工知能研究の世界的権威・バルデル博士からの依頼が来る。 NSAに納品した核兵器作動プログラムが危険なので盗み出してほしいという。
 一方、ジャーナリストとして行き詰まりを感じ始めたミカエル・ブルムクヴィスト(スヴェリル・グドナソン)は懸命にリスベットの跡を追っていた。 そして封じ込めたはずのリスベットの過去から、カミラ(シルヴィア・フークス)が立ち塞がる・・・という話。
 わぁ、話をまとめるために大胆に刈り込んだなぁ。

  蜘蛛の巣を払う女映画4.jpg リスベット、ちょっと健康的に?
 細身ではあるものの、ノオミ・ラパスやルーニー・マーラにあった病的なところがないのでリスベットはかなり立ち直っていたように見えてしまった。 更にどことなくあどけないような、イノセントな表情をたたえていて、まったく新しい“リスベット・サランデル”になっている。 ただそれがすべての人に受け入れられるかは別の話で・・・ルーニー・マーラが好きだった人はいまいちだと思うだろうし、逆にルーニー・マーラがいまいちな人は気に入るかも。
 OPが<リスベットの心象風景>という『ドラゴン・タトゥーの女』からの設定を引き継いでいるのはうれしかったが、音楽のインパクトは弱い・・・。
 しかも冒頭の雪景色がいかにもCGっぽく、「ほんとにスウェーデンで撮影しているのか!?」の疑惑がわく。 ストックホルムの夜景などは空撮だろうけど・・・北欧っぽいけどどうも北欧ではない感じがしてしまい、いまいち盛り上がれない(エンドロールで探したが確証が見つからず、ドイツでロケしたような雰囲気)。

  蜘蛛の巣を払う女映画3.jpg ミカエルがほぼ脇役なんだけど・・・。
 すっかりリスベットが主役なのでミカエルの出番があまりないのであるが、「ジャーナリストらしく勢いはあるが、実戦ではほぼ役立たずの優男」という原作のイメージに比較的近いとはいえる。 ちょっと若過ぎかなとも思うけど、せっかくいい男なのに見せ場が少なくて残念だよ〜(しかも彼は『ボルグ/マッケンロー』のボルグの人なのである。 全然違うので名前見るまで気がつかなかった)。
 設定的にはミカエルはスウェーデンを代表するジャーナリストのはずなのだが(自力で過去にスクープをいくつもとっている)、まるでリスベットがらみでしか書けない人みたいな描き方をされていて・・・ちょっと不本意である。

  蜘蛛の巣を払う女映画2.jpg 赤が強烈なカミラ。
 まるで眉がないみたいなカミラ(実際は眉が顔の色と変わらないくらいなのでないように見えるだけ)のインパクトはリスベットの対比として素晴らしい・・・のだが、キャラクターとしていささか強引、しかも彼女の言い分は結構言いがかりなのでかなしい。
 結果的に二人が対立するような形になってしまったこと自体が、決してお互いが望んでいない、父親や環境のせいなのだということなのだけれど・・・リスベットというキャラクターの成立にそこまで理由付けしなければいけないものだろうか、という気がしないでもなく。 あたしが子供のときから『スケバン刑事』の麻宮サキを見てきたせいもあるけど、「誰かのために命を懸けて戦う女性」は全く新しい存在というわけではないので。
 それにしても・・・リスベットが父親にガソリンかけて火をつけたという過去、なかったことになっているのか?

  蜘蛛の巣を払う女映画1.jpg 脇役もいい味出てるんですが。
 中弛みもなく一気に話が進むし、全体的にサスペンススリラーとしては水準以上の出来ではあるんだけど、<ミレニアム>の続き、『ドラゴン・タトゥーの女』の続編と考えちゃうとちょっと弱いんですよ。 リスベットが髪を立てて向かうときは覚悟が込められているとか、原作知らないとわからないところが結構あり(知らなきゃ知らないで流せるのかも)。
 なんか物足りない!
 カミラとの関係に重きを置いたわりには掘り下げが足りなく、「えっ、リスベットってこんな感傷的だった?!」と唖然としたり・・・。
 あと、出てくるガジェットにやたらSONYのロゴが目立つとこ(SONY映画なんで)、やりすぎ。
 『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス監督だったのでスタイリッシュ&スピーディな『ドラゴン・タトゥーの女』の世界観をうまいこと踏襲しているのだけれど・・・やはり格落ち感は否めなかった。 あぁ、なんかもったいない。

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2019年01月16日

あなたを愛してから/デニス・ルへイン

 デニス・ルヘインの話で女性が主人公って珍しいのでは、と読んでみることにした。
 だってこれまでは『ミスティック・リバー』とか『シャッターアイランド』みたいに、女性が重要な役割を担うけれどあくまで主役は男性だった。 初期の<私立探偵フランキー&アンジー>シリーズも相棒が女性でも語り手は男性。 男性だけを書いてきたわけではないから、突然の路線変更というわけではないけど・・・まぁ、珍しいよね、ということで。

  あなたを愛してから デニス・ルヘイン.jpg 黒と水色っぽい青って取り合わせ、すごくいい。

 いわゆる<毒親>に育てられたレイチェルは父親の存在を知らず、母親にも父親のことはずっと隠されてきた。 母の死後、残されたヒントからどうにか父親を探し出すが、母親の干渉があったと知らされただけだった。 母に認められずに終わったレイチェルは、いっぱしの職業であるジャーナリストになって仕事仲間と結婚するが、彼女はまったく満たされない。 いつしかレイチェルは精神を病み・・・という話。

 物語は三部構成。 一部でレイチェルの生い立ちと、二部で病んだところからの復活の兆し、という流れは“よくある感じ”ではある。
 しかしレイチェルの痛々しさはすさまじく、病んでる感じもまたリアル。 だから彼女の言動にとてもハラハラ。
 だが、第三部は・・・「えっ、そっちに行くの!」という完全に右斜め上の展開に口があんぐりしそうになる。
 この生きづらい世界で苦しんでいるのはレイチェルだけではない・・・ということを示すため? 生きるためにはどんな手も使いますという人物のしたたかさ・強さを見習うべき?
 とはいえ、あたしはブライアンが嫌いではない。
 「えっ、そこで終わりなの?!」という唐突感がありますが・・・そこで終わるしかないこともわかっている。
 一部・二部のレイチェルの苦悩に寄り添ってしまったために、三部のなりゆきに感情がちょっとついていききれてないようだ。

ラベル:海外ミステリ
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2019年01月15日

彼が愛したケーキ職人/The Cakemaker

 イスラエル映画って、『迷子の警察音楽隊』以来かもしれない・・・(『運命は踊る』も気になっていたが見逃してしまった)。 でもケーキが出てくると言われたら、気になりますよ! こっち優先!
 また、どうにもならない恋愛感情に振り回されている登場人物という印象だったので、ドロドロしかねない題材を正面から堂々と取り上げる姿勢がよい!、と思った次第。

  彼が愛したケーキ職人P.jpg 悲しみが、甘い涙に変わるまで

 ベルリンの街角、小さなカフェを開いている若きケーキ職人のトーマス(ティム・カルクオフ)は店のショーケースにパンからケーキ、クッキーなど焼き菓子も含め自信作を並べている。 定期的にイスラエルから出張でベルリンに来る建築技師オーレン(ロイ・ミラー)はトーマスがつくるケーキを気に入り、店の常連となり、いつしか二人は恋人同士に。 しかしオーレンには故国に妻子がいるのだが、ベルリンにいるときは二人だけの時間。 そんなある日、「また一ケ月後に」とエルサレムへ戻ったオーレンからその後、連絡が来ないことに落ち着かなくなったトーマスは、「注文のお品、取りに来られないのですが」とベルリンのオーレンのオフィスを訪ねる。 そこで聞かされたのは、オーレンはエルサレムで車の事故に遭って死んだということ・・・。 数か月後、トーマスはエルサレムにやってきた。 オーレンの妻アナト(サラ・アドラー)は夫の死のごたごたで休業していたカフェを再開するところだった。 トーマスは観光客としてそのカフェを訪れてみるが・・・という話。

  彼が愛したケーキ職人2.jpg ベルリンでの時間は幸せだっただろうが・・・オーレン、ずるいなぁ。
 妻子がいることを隠しもしないで付き合うって、関係を続ける主導権を相手に預ける形になる。 「君がイヤならいつでも身を引くよ」と自分は決断しないで相手に任せてる。 それがズルいよね! せっかく見つけた相手なんだから、トーマスから「別れたい」って言えないのわかった上でのその仕打ち。 不倫の責任はどちらにもありますが、オーレンのほうがズルく感じちゃうなぁ。
 しかも、残されるのはトーマスの方。 隠している関係だから、訃報も届かない。 ・・・切ない。 世界中の夫か妻がいる相手と不倫をしている独り身の方、このシチュエーションに耐えられるかどうか、というのを是非考えていただきたい!、と思った。
 虚無を抱えたままのトーマスは、当然のようにエルサレムに来る。 会ったからどうというわけではないものの、オーレンの妻の姿を見ずにはいられない・・・ということなのでしょう。 その結果、お店を手伝うことになっちゃうのはやりすぎなんだろうけど、そこから引き返せないだろうなぁというのもなんかわかる。 トーマスが傍から見たらつい笑っちゃうような行動を大真面目に(もしくは意識せずに)とってしまうのもちょっと微笑ましい。

  彼が愛したケーキ職人3.jpg クッキーにアイシングをかける作業はお絵描きに似てるから。
 いきなり父親が亡くなり、精神的なショックから立ち直れていないらしいオーレンの息子のために、トーマスは得意のクッキーを焼き、アイシングをやってみるか?、と気さくに声をかける。 事情をよく知らない(と思われる)相手からのあっさりした気遣いは、子供にとって負担になりにくい気がする。
 ところが! イスラム教におけるハラムのように、ユダヤ教にも食事をつくるに際し守るべき手順というのがあるらしい。
 休息日に料理をしていけない、というのはわかるが、非ユダヤ教徒はオーブンを使えないってのはどういう理屈なの? アナトは「あまり厳密にしなくていいんじゃないか」と融通を聞かせるタイプだが、親戚(特にオーレンの兄)はかなり厳しく、甥っ子に「あの外国人がつくったものを食べれば地獄に行く」と陰で教え込んでいたりする。
 コワい!
 宗教上の、戒律上の理由があるからそうするのでしょうが、非ユダヤ教徒にとっては意味がわからないのだから何故そうなのか理由を教えてくれよ・・・ただ「ダメなものはダメ」ではどうしていいかわからない。 外国人は排斥されるだけ、と感じてしまうではないか。
 そんなわけでオーレンの兄はトーマスに厳しい態度をとるのだけれど、オーレンの母はトーマスに優しい、というかかなり気を遣ってる。 「オーレンの部屋、見る?」とか・・・もしやこの人は二人の関係を知っているのか、と思わされる(正解は出ないので、あくまであたしがそう感じただけではあるが)。
 勿論、というか・・・気づく要素はいくつもあるのにアナトはなかなか気づかないどころか、寂しさを埋めてくれる存在としてトーマスを意識するようになっちゃってきたからさあ大変。

  彼が愛したケーキ職人1.jpg すごい量の注文が入った・・・のに。
 そんなことしてていいのか!、間に合うのか!、とあたしはハラハラ・・・。
 噛み合わない二人の欲望の方向に、ハラハラ・・・。
 人を愛するとはどういうことか、自分の中にある愛情をどのように昇華すべきなのか、感情にとらわれてしまっている自分をどうすれば開放できるのか。 それらは難しい問いだが、問題なのは苦しみのただなかにいるときにはそのような客観的な視点を持つことができないということ。 だからとにかく切ない。

  彼が愛したケーキ職人4.jpg トーマスのつくるケーキはドイツらしく素朴。
 フランス菓子のような華やかさには欠けるけど、シンプルで見た目が味を裏切らない実直さと、そもそもイスラエルにはない味。
 トーマスのお菓子は町の人々を引き付ける。 もしかして、オーレンが惹かれたのもトーマスが<イスラエルにないもの>を持っていたからだろうか。
 ベルリンの街並みは変化に富んで美しく、時代の推移も感じさせる。 しかしエルサレムの街並みはごつごつした日干しレンガ(?)の建物ばかりでどこを見ても代り映えがしない。
 物語的にははっきり結論を出さないので、もやっとする系ではあるものの、観る側にゆだねられている余韻と解釈でき、それ故に「あぁ、あれはどうだったのか・・・」としばらく考えることができる。 これもまた映画的幸福。

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2019年01月13日

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!/Sergio and Sergei

 ソ連崩壊に伴って、宇宙ステーション<ミール>に一人残されたアストロノーツが帰ってこられない、というのはその当時、かなり話題になったことである。 それをあらためて扱う、それもキューバからコメディタッチで、ということで「これは面白いんじゃないのか」とちょっと期待して観に行ってしまった。

  セルジオセルゲイP.jpg SOS! 地球に帰れない宇宙飛行士を救え!

 1991年、キューバ。 ソ連崩壊の余波を受け、同じく社会主義のキューバは経済危機に陥り、人々の暮らしは貧しくなっていた。
 そんなキューバでマルクス哲学を教えている大学教授のセルジオ(トマス・カオ)には年老いた母と幼い娘(ダイナ・ポサダ)がいるが、大学の給料だけではやっていけないし、ソ連が崩壊してしまったのでマルクス哲学を学ぶ意味が?、というそもそも論に追い詰められ、大学にもいづらい雰囲気に。
 そんなある日、アマチュア無線を扱うセルジオはまったく知らない周波数で誰かを受信する。 何度目かで交信が成功すれば、なんと相手は宇宙ステーション<ミール>にいるソ連の宇宙飛行士セルゲイ(ヘクター・ノア)だった。 お互いの名前も似ていて、セルジオはソ連留学をしたことがあるのでロシア語を喋れるし、セルゲイは少しだがスペイン語を話せることで二人は一気に親しくなる。 ミールの旋回がキューバ上空を通る短い時間しか会話ができないが、親友になるのに時間はそんなに必要ない。
 ところが、ロシア連邦となったセルゲイの祖国は、国内問題優先のためセルゲイの帰還のために人員と予算を割けない、と言い出す(正確には帰還の無期限延期)。 親友をずっと宇宙空間に一人で置き去りにするわけにはいかない、とセルジオはもう一人の無線仲間でアメリカ人のピーター(ロン・パールマン)に事情を説明するが・・・という話。

  セルジオセルゲイ3.jpg とにかくキューバ人、明るい!
 設定は90年代なのだが、全体的にレトロな雰囲気全開のため(実際、90年代のキューバはこんな感じだったのだろうが)、うっかりすると70年代かと思ってしまう。 そのせいもあってどこか牧歌的ではあるものの、<社会主義的支配>もしっかり描かれており(旧ソ連に比べたら全然緩いのだろうが、あるのとないのでは大違いである)、体制の違う国に対してのこちらの戸惑いも出てくる。
 映画という共通言語を介するからベースの違いが浮かび上がるんだなぁ。
 セルジオはただ陽気なだけでなくインテリ、というところが奥深くて繊細なキャラクターになっていて魅力的。 ただ、語りが“成長した娘が過去を振り返っている”という設定なのが微妙にわかりにくい・・・このナレーション、必要かな?、とちょっと思ってしまった。

  セルジオセルゲイ1.jpg セルゲイの名字は<アシモフ>だ!
 実際の宇宙飛行士はセルゲイ・クリカレフだが、あくまでモデルということで別の名前に。 でもあえてアシモフにするところはニヤニヤしてしまうではないか。
 ソビエト連邦国民としてはほぼ彼一人しか出てこないので(ロシア側とカメラ通話しているが、ちょっとしか出ていない)、ソ連人っぽさはよくわからない。 宇宙飛行士だし、一般的なソ連人に比べれば彼はかなりリベラルなのでは、という気もした。 でも、体制を前には個人の自由や権利は小さなものである、と感じている(口に出してもそれは仕方のないこととわかっている)のはなんかせつなかった。 自由主義国家であっても国益の前には個人が犠牲になるのは暗黙の了解なのだが。

  セルジオセルゲイ2.jpg おお、ロン・パールマン!
 ピーターもいろいろあるキャラなのだが・・・NASAの月面着陸は実現していなくて地球上で撮影されたものである、という陰謀論のことを知らなかったらこのへんわかりにくくない? 映画では説明されてないけど・・・とちょっと心配になる。 それとも説明不要なほど有名なことなのか?(あたしが知ったのはここ10年くらいなんで・・・)
 ある場面で“美しく青きドナウ”が流れたりと、過去のSF映画へのオマージュも随所に感じたが、SFなのかファンタジーなのかシュールなコメディなのか、現実感のなさをどう受け取っていいのかわからないところがあり・・・あぁ、あたしが固定概念に縛られているせいなのかなと悩んでしまう。
 ラストシーンのナレーションの一言に、「あぁ、これを言いたいがための成長した娘設定だったのか!」と感じたけど・・・うまく機能していないような。 面白いのだがちょっと微妙なところが・・・でもそれもまた外国映画の面白さかなぁ。

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2019年01月12日

転落の街/マイクル・コナリー

 と、いうわけでLAつながりでマイケル・コナリー。
 とはいえまだまだ邦訳のリアルタイムよりも遅れているが・・・まさにタイトルからLAのこと。

  転落の街1.jpg転落の街2.jpg 原題の“DROP”にはいくつもの意味がある。

 ロス市警未解決事件捜査班に、ハリー・ボッシュは定年延長選択制度(DROP)により引き続き籍を置いている。 コールドヒット(過去の事件データにあるDNAが確認されたこと)によりある未解決事件が動き出し、ボッシュは捜査に全力を挙げるはずが、過去に因縁のあるアーヴィン・アーヴィングの息子がホテルから転落死する出来事により、その事件の調査も任されてしまう。 二つの事件を同時に捜査しなければいけなくなったボッシュは・・・という話。

 上下巻どちらも思いのほか薄かった。
 間に<リンカーン弁護士>を挟んでいるのでボッシュ前作からだいぶ時間がたったような気がしてたんだけど、ボッシュの相棒がデイヴィッド・チューだったので「え、まだ組んでたの?! というかハリーとチュー、大丈夫なの?!」と驚く。 この二人はタイプが合わないと思っていたから(いやいや、ハリーと合う人なんてそもそもいないんだけどさ)。
 二つの事件がほぼ同時に、とはいえ、同時に捜査できるはずがなく、事件Aと事件Bのパートに分かれている感。 それぞれの事件だったら一冊にならないから二つ合わせたのでは・・・とちょっと思わないでもなく。
 それにしてもアーヴィン・アーヴィング(初期の頃のボッシュの上役、現在はロス市議)がここまで引っ張る存在になるとは・・・。
 そして、娘マディのためにいろいろあわただしかったボッシュ、すっかり忘れていたがまた女に! <一発の銃弾>説はどうした!、運命の女ではない女とも付き合うのはありなのか、所詮そういう関係は一時のものであると割り切っているのか! 刑事としての生き方はすごいが人としてはダメな要素がないといけないんですかね・・・。
 それにしても後味が悪いぜ。 明らかになった事件の内容もひどいが、警察内部で働くある種の政治(作中では“ハイ・ジンゴ”と呼ばれる)もひどい。 ハリーが忌み嫌う気持ちもわかるが、そもそもハイ・ジンゴを利用しなければ変えることができない組織がそもそも問題で、でも組織は既に存在しているのだから忌み嫌うだけでは解決しない。 しかし改革に身を削れば事件は解決できない・・・どうすればよいのやら。
 そういう“政治”を絡めるための二つの事件だったのか。
 マディ、成長しすぎだし。 でもこれまでの出来事が彼女を成長させてしまったのか、というところもあるので切ない。
 キズミン・ライダーは好きなキャラクターですが・・・この先、彼女が登場してほしくないような感じになってしまった。それもまた切ない。

ラベル:海外ミステリ
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2019年01月11日

今日は6冊。

 あ、今年に入って初めて本を買ったことになるのね。 年が変わったことをこういうことでしか意識できない・・・(つまり毎月同じようなことをしているというわけで)。

  シメール 服部まゆみ文庫版.jpg シメール/服部まゆみ
 祝・復刻! それはありがたいんだけど・・・400ページに満たない本なのに1296円ってどういうこと?、と河出書房新社に尋ねたいではないか。 翻訳物ならわかるけどさ、日本人作家なのに、これは復刻の手間賃込みですか! あまり売れない場合の予防措置としての単価上げですか! 『罪深き緑の夏』も薄さのわりに高かったけど、まぁ1000円切ってたから。 「金額高くなりますが、残り作品はうちがでんぶ復刻します」と言ってくれるならいいのだけれど、おいしいとこいくつかつまんで、ってことなら困ります! そもそもデビュー作の『時のアラベスク』はどうなってるのよ〜。
 帯には<極上のゴシック・サスペンス>とあり・・・まぁそうではあるんだけど、服部まゆみにジャンル分けは不毛というか不要だとあたしは感じていたことに気づく。 服部まゆみ自体が、唯一無二のジャンルだからな・・・そして表紙に人の顔がはっきりわかる絵はやめてほしいな、イメージじゃないんだけどな・・・。

  殺人は女の仕事.jpg 殺人は女の仕事/小泉喜美子
 こちらは光文社文庫で、『女は謎も帯も解く』に続いての短編集。 これには日下三蔵さんは関わっていないのか・・・再評価の流れができたから、どんどん作っていきますよ!、という段階に来たということなのかしら。 だとしたらうれしいけど。

  禁忌 シーラッハ文庫版.jpg 禁忌/フェルディナント・フォン・シーラッハ
 シーラッハの長編2作目。 そういえばこれは読んでいなかった。 どうやら賛否両論作であるらしいが・・・。
 作家として有名になりすぎ、弁護士業務に支障が出るようになってしまい、ある時期からシーラッハは100%作家に仕事の軸足を移したようだ。 これが書かれたのが、その<ある時期>を決めるポイントになったらしいそうな。 となると、読まないといけないよねぇ。

  ミス・マープルと13の謎 新訳版.jpg ミス・マープルと13の謎【新訳版】/アガサ・クリスティ
 御多分に漏れず、クリスティはポワロから入ったあたし、ミス・マープルはそんなに読んでなくて・・・読んでいても長編ばかり。
 でもミス・マープルの登場が実は連作短編だったとは!(いや、当時多分この本のことも知ってたんだろうけど、長編のほうが個人的に好きだったため読んでいなかった)。 <火曜の夜クラブ>ってここからきてるのか! ある意味『黒後家蜘蛛の会』的な?(← いや、アシモフよりこっちのほうが先だけど)、と思ったら俄然読むモチベーションが上がりましたよ! 今までずっと、ポアロ派だったもので。
 創元推理文庫創刊60周年記念の、<名作ミステリ新訳プロジェクト>第1弾とのこと。 でも新訳担当の深町真理子さんはあたしが子供の頃から読んでる大ベテランですよ。 今も現役で新訳できる、ということがすごいなぁ、としみじみ思います。

  緊急工作員.jpg 緊急工作員/ダニエル・ジャドスン
 知らない作家ですが、分厚さと、<銃撃戦に巻き込まれて姿を消した戦友のため、危険な世界に身を投じる主人公>というざっくりあらすじに惹かれた。 戦地から戻って平穏な暮らしに落ち着いたのに・・・というところもポイントで。 PTSDとか関わってきますかね。 あと、リアルタッチスパイ業界にもちょっと興味が。 最近『エロイカより愛をこめて』の続きが出ないんでね・・・。

  りえさん手帖1やせた.jpg りえさん手帖 ホントにやせた編/西原理恵子
 そういえば、『毎日かあさん』終わったのよね。 その後、コンセプト変えて新連載と聞いていたけど・・・忘れていました。 本屋さんでこれを見つけ、「あ!」と思い出す(この本自体は12月に出ていた)。
 かあさんではないので呼び名はりえさん。 でも『毎日かあさん』から引き続き登場の方も多く、実質、『毎日かあさん』の続編とみて間違いないかと。
 だけど<母>という呪縛?から解き放たれた自由感、のようなものは漂っている(だからって子供のことを気にかけなくなってしまうということではなく、ついいろいろ口出してしまうから自分から先に予防線を張ったのでしょう)。
 親という生き物も、大変ですね・・・。

ラベル:新刊 マンガ
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