2018年12月08日

希望荘/宮部みゆき

 <杉村三郎シリーズ>、第4弾。
 杉村さんとは最近知り合った感じなんだけど、なんだかずいぶん長い付き合いのような気がする不思議な感じ。 これまで3作しかないけどわりとリアルタイムで読んできたからかな? 翻訳物のシリーズに比べればタイムラグは少ない(昔のシリーズものは結構短期間で集中して読んでしまうこともあるから)。 間にドラマ化もはさんだことですし、回想も含めて杉村さんの人生を結構知っている気になってしまっているからかもしれない。 時間の感覚が麻痺してきてるんで、あたしも。
 そんなわけで4作目にして、ついに杉村三郎、探偵事務所を開く。

  希望荘 杉村三郎4.jpg シリーズ初の中編集となっております。

 4編収録。 実家に戻った杉村さんはそのあと東京に戻って事務所を開いて・・・の過程と、出会ってしまった事件について順不同に。
 事件が起こった年代と、登場人物の年齢がはっきり書かれていることに驚いた。 杉村さん、もっと年上だと思ってたけどそんな若いの!、という衝撃(なので時折小泉孝太郎で脳内再生してみても違和感がない)。 本に挟まっていたチラシの<著者インタビュー>によれば、「どうしても震災当日のことを書いておきたくて」、「探偵になったときの杉村の年齢設定を少し若返らせている」とのこと。 だからか・・・。
 『誰か Somebody』・『名もなき毒』・『ペテロの葬列』とは環境も状況も全然変わったので、杉村さん以外引き続きのレギュラーはいないと思っていたら、<睡蓮>のマスターが引っ越してきて<侘助>という喫茶店をご近所に開いており、そこはなんだかうれしかった。 でも睡蓮っててっきりモネから採っていると思っていたので、実はマスターは花好きだったか、とニヤリだ。
 杉村さんに事務所を貸してくれる竹中家の方々とか、ご近所さんなどは古き良き江戸っ子気質みたいな人が多くて楽しいが、事件そのものは大変後味がよくないものとなっており・・・それを救うためのいい人多めなのかな、と思ったり。 杉村さん本人の人柄も勿論影響しているけれど・・・。 表題作の『希望荘』のみ文字通り希望のある終わりであるが、他の『聖域』・『砂男』・『二重身(ドッペルゲンガー)』はかなり重い。 でもそれがある意味現実なのだ・・・と感じてしまう哀しさである。
 全部で500ページほどであるが、「あぁ、一気に読んでしまってはすぐ次が読みたくなってしまうじゃないか!」と自分をいさめたのに結局一気に読んでしまった。 続巻『昨日がなければ明日もない』も出ているのであるが、単行本なのよね。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする