2018年10月27日

ガンルージュ/月村了衛

 読みかけ本はたくさんあるのだが(それはそれで自分でも悪癖だなぁと思う)、ちょっと気分を変えたくて一気読みできそうな日本人作家を選ぶ。 翻訳文体も昔に比べればかなりこなれてきているのだが、文化の違う世界の話よりは母語が同じ人の世界は意識せずに共通の価値観が存在している、ということが、こんなにも読みやすいことに改めて驚く。

  ガンルージュ.jpg 女同士のアクションバディもので。

 田舎町の中学校の体育教師・美晴はPTAからつるし上げされるのが日常茶飯事になっている<問題教師>だが、彼女には彼女の事情がある。
 台風が通過した翌日、美晴の生徒が行方不明になって探しているというその母親・律子と行き会う。 「そいつはいけない、一緒に探します!」と志願した美晴だが、見つけたのは死体の山。 泡を食う美晴だが、律子はその現場から、韓国の要人が誘拐されてその場に居合わせた息子も誘拐犯(韓国の特殊部隊)に拉致されたことを悟る。 それがわかるのは彼女にも彼女の事情があるから。 いわば第二の金大中事件が勃発なのに、いやそれ故に外交案件、警察はあてにならないと考えた二人は、独力で特殊部隊を追いかける・・・という話。

 もしかして、これラノベですか?、と思ったり(あたしにはラノベの適切な定義がわからない)。
 美晴の喋りは30歳過ぎとは思えない、なんか大学生みたいだし。 なんだかテンポすごくよすぎるし。
 とか思っている間にあっさりハード路線に切り替わり、ありえない展開が次第にリアリティをともなう地に足ついたものになる。
 それまで「お母さん」・「先生」と呼び合っていた二人が互いにファーストネームで呼ぶくだりは、わかっていてもちょっとじーんとしちゃうよ。
 しかし、特殊部隊との最後の死闘の場が<みなかみ山の上温泉健康ランド>というのはちょっと間抜けすぎるよ・・・でもそれも、この国の地方のまごうことなき現実なんだけどさ。
 見事に一気読み、面白かったです! 女同士のバディ、最高!
 別に今度はテロリストを相手にしなくていいので、ちょっと続編読みたい。
 だけど美晴の設定ですよ。 かつてはインディーズロックバンドのヴォーカリスト、元カレは元公安だけどヤバい事件に足つっこんで今では新宿署の生活安全課でくすぶってる・・・って、それ『鮫』すか?! 元カレ、出てきてほしかったけどそれじゃ無理か・・・続編も、難しいか・・・。
 よし、次は『槐』だ! ← 読みかけ本が減ってないのに(汗)。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする