2018年10月18日

ヒトラーと戦った22日間/SOBIBOR

 邦題に『ヒトラー』とついていても最近のはヒトラーが出ていることはほとんどない。 もはやナチスとかその時代の体制とか、全部ひっくるめて<ヒトラー>と呼ぶことにしたんだろうな、という感じ。 相変わらず歴史を映画で知るあたし、ソビボル収容所についてはほぼ知らなかったので、アウシュヴィッツ=ビルケナウとはどう違うのか興味を覚えた。
 が、オープニング見て、びっくり。 キリル文字? ロシア語? ロシアでもユダヤ人題材のナチス避難映画作るんだ!、ということに。
 PG12だったのでそれほど残虐ではないと予測したのですが・・・もはやあたしの感覚がおかしくなっているのかもしれません。 なにひとつ目を背けるようなことはなかった・・・(残酷なシーンがないわけではないのに)。

  ヒトラーと闘った22日間P.jpg 1943年、私たちが生き残るには収容所から“脱走”するしかなかった

 1943年、ソビボル絶滅収容所には毎日のように大勢のユダヤ人が運び込まれ、手に職があるものとないものに分類され、ないものはそのままガス室に送られている。 かろうじて生き残った者たちはナチスドイツ軍の将校たちの気まぐれな命令に振り回されながら、自分たちの命もまた気まぐれに左右されていることを毎日思い知ることに。 このままではいけないと脱走を考えている人たちもいるのだが、リーダーが殺されて以降あとを継げる者がいなくて計画は頓挫したままだった。 9月になって、軍人経験のあるアレクサンドル・ペチェルスキーがソビボル収容所に移送されてきた。 彼こそ新たなリーダーに、と色めき立つが、彼にはその気がないらしい。 しかしナチス将校の収容者への嫌がらせがどんどんエスカレートしていき、ついに彼はソビボル収容所に閉じ込められている全員の脱出を条件にリーダーになることを承諾し、前代未聞の脱出計画がスタートする・・・という話。

  ヒトラーと闘った22日間2.jpg 何も知らずに運ばれてきた人たち。
 黄色い星の大きさや服につける位置が過去に観た映画となんか違いますが・・・結構地域差があるのかも。
 身ぎれいな状態でソビボルに連れてこられた方々は単に住まされるところが変わったぐらいの感じなのか危機感がまったくないし、むしろちょっと性格悪いというか、「私がなんで貧乏人と一緒にいなきゃいけないの」という態度をとる人もいて・・・まぁ<ユダヤ人>というくくりだけなんでいろんな人がいますよね。 何も非のない被害者、というイメージをひきずらない姿は興味深かった。
 ガス室のシーンはなかなか壮絶でしたが、次から次へ人が来るわけで、「・・・そのあとの片づけ、どうやったの?」という疑問がぬぐえない(そこの描写がなかったので)。

  ヒトラーと闘った22日間1.jpg アレクサンドルの愛称はサーシャ。 ってことはソ連人ですか!
 ナチス将校には絵に描いたようなバカがいて、「・・・マジか(ため息)」と首ががっくり落ちそうになるのだが、多分いたんでしょうね、こういう人。 「ちょっと逆らったら殺される」という環境下にいるとはいえ、収容所での理不尽な様子は、「これって戦争だからってことで説明つく?」と疑惑の念が湧く。 こいつら、戦場にいないから暇なんじゃないの? 結局のところ、閉ざされた空間で支配する側とされる側とに分けられたがための・・・ハーバード大学の実験そのものじゃないの! アーリア人だから・ユダヤ人だから、って理由じゃないよね。
 ユダヤ人殲滅作戦というものを確信を持ってやっていた人たちってどれくらいいたんだろう。 ほとんどの人たちは「そういう風にいわれたから」なんだろうな・・・という権力を持つ側が勝手に描くシナリオ通りで、戦争に類するものから派生するすべてにむなしさを感じてしまうじゃないか。 だって、出てくる人たちみんな、敵味方関係なく目に光がないもの。 絶望にいるみたい。

  ヒトラーと闘った22日間3.jpg 集まったレジスタンスという名の刺客(子供から大人まで)。
 しかし、ナチス将校皆殺し作戦が具体的に動き出してからは映画のトーンが変わり、タイムリミットサスペンスのような風情に。 ここで復讐をするためにこれまでの耐えがたきを耐えた時間があったのか、というくらいに。
 しかし突然、サーシャが言う、「おれたちにはスターリンの血が流れている」。
 えっ!?、どういうこと?!、とあたしは混乱した。 やっぱりサーシャはソ連人なのね、と納得しつつ、「でも、スターリンもユダヤ人を迫害(粛清?)してますよね? 更に恐怖政治してましたよね?」と言いたくなる! ・・・この映画は、ロシア側のプロパガンダだったのか・・・。 サーシャは英雄であるという話にしたかったのですね。
 けれど、エンディングで出てきたその後を示す字幕で・・・結構衝撃的なことがさらっと語られているんですけど! そこ、もっと詳細が必要なのでは!
 極限状況下に置かれた人間の愚かしさをこれでもかとしつこく・しぶとく描く骨太さは最近のナチス映画にしては珍しい方向でしたが、最後なんだか割り切れないものが・・・。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする