2018年10月17日

ミスター・メルセデス/スティーヴン・キング

 はっはっは、やっと読みましたよ、『ミスター・メルセデス』。
 上巻冒頭、仕事を求めて早朝から集まった人たちの人生の断片を読まされ、「あぁ」と思っていけばいくほど、この先に待つ“悲劇”の気配が濃厚で、そのプレッシャーに負けて一度は本を閉じてしまいました。 ホラー好きというのは想像力がありすぎるのかもしれません(あまり信じてはもらえませんが、あたしはとても怖がりです。 怖くならないように科学を利用しています)。
 しかしシリーズ最終巻『任務の終わり』が出て、11月上旬には『ミスター・メルセデス』が文庫出るという! さすがにその前には読まないよね、と思うじゃないですか。
 スティーヴン・キング、はじめてのミステリ・警察小説でMWA賞長編賞(エドガー賞)受賞!、という話題性もありますが、審査する側もそんなことされたら賞をやるしかないよね・・・と思ってしまうよ。

  ミスターメルセデス1.jpgミスターメルセデス2.jpg ソフトカバーだからまだよい。 上下巻の表紙の感じも好きさ。

 盗難車のメルセデスベンツで、職業相談のために集まっていたリンカーンセンターの行列につっこみ、8人脳の地を一瞬にして奪った(勿論けが人ももっといる)通称<メルセデス・キラー>。
 重大犯罪課に勤めていた刑事のビル・ホッジスは逮捕に懸命に力を入れたが、その前に退職の日を迎えてしまった。 今でも心残りなのは<メルセデス・キラー>を捕らえられないこと。 ひとり暮らしの退職者の例にもれずにヒマを持て余して人生の意味を見い出せず、時折自殺がホッジズの頭をよぎる。
 そんなある日、ホッジスのもとに<メルセデス・キラー>を名乗る人物からホッジスをあざける手紙が届いた。 本来は警察に届けるべきところだが、ホッジスは自分の手で犯人を捕まえようと行動を始める・・・という話。

 文体は明らかにスティーヴン・キング。 けれどホラー系ジャンルであればもっとここ書き込んだんじゃないか、と感じさせるところはかなり抑え気味。 警察小説とあるけど、ホッジスはもう退職しているので古き良き私立探偵ものの雰囲気が強い(とはいえホッジスは私立探偵免許をまだ持っていないので、その意味でも法律違反)。 そんなホッジスに協力する人たちが集まる過程は、キング作品に共通なんだけど超常現象とか特殊能力は出てきません! そこはなんとなくリアリティ重視!
 子供や弱き者に温かな視線を与えているのはいいのですが、必要とあればいくらでも容赦なくなるのもまたキング節でした・・・。
 自分の人生をうまく舵取りできない人たちに「自分の居場所」を見つける旅をさせるのも、切ないけど応援したくなっちゃうよね。 一歩間違えれば、そのキャラクターは自分だったかもしれないんだから・・・。
 再読を始めたら、あっという間に読み終わってしまいました。 このリーダビリティ、ジャンル関係なく変わらないぜ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする