2018年10月12日

ミレニアム5 復讐の炎を吐く女/ダヴィド・ラーゲルクランツ

 『ミレニアム』、5作目、図書館からやっと来た。
 予約を待っている人がいるので早々に読み始めたが・・・冒頭からいまいち入り込めなくて。 4作目は作者が変わったことに対する覚悟ができていたからであろうか、それとも作者が気を遣ってオリジナルのテイストに寄せていたからだろうか。 つまり本作はもう寄せていない、ダヴィド・ラーゲルクランツが独自性を出してきたのだけれど、それがあたしには慣れてない、ということ?
 微妙な気持ちになってしまった。

  ミレニアム5−1.jpgミレニアム5−2.jpg 前作もそうだったが、表紙にもっと工夫ができないものだろうか・・・。

 前作の事件のため、リスベット・サランデルは短期ながら有期刑となり女子刑務所に収監されている。 ジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストらは緊急避難や正当防衛を叫んだが、リスベットは意に介さず刑務所生活を送っている。 ある日、リスベットの後見人であった弁護士のホルゲル・パルムグレンが面会に来て、その会話からリスベットがかつてある組織による双子対象の人体実験に利用されていたことを知る。 さらにその女子刑務所内では一人の囚人の殺害計画が進んでおり、それを知ったリスベットは主犯格ベニートを半殺しにするが・・・という話。

 <リスベットのドラゴン・タトゥーの秘密がついに明かされる衝撃作!>ということですが・・・個人的にはそんなに“秘密”だとは思ってなかったのでそこにそんなにこだわりはなくて。
 最初の三部作のメインキャラクターが登場してくれるのはうれしいんだけど、ミカちゃん(ミカエル・ブルムクヴィストをあたしはそう呼んでいる)ってこんなに使えない人だったっけ?、とか、リスベットがそんな手抜かりを!、とか、いや、パルムグレンに対してそんな!、とか。 結果的にスティーグ・ラーソンがそうしてもあたしは「ひどい!」と言うだろうけど、違う作者にされるとよりいきどおりを覚えてしまうよ・・・だからあたしは新しい『グイン・サーガ』が読めないのかしら。
 これも最初は「どうしよう、読めないかもしれない」と思ったけど、上巻1/3ぐらいから勢いがついてきた。 謎の組織というでっかい話にもなっているのだけれど、読み手に迫るのは個人にかかわる悲劇のほうで。 イスラム原理主義に苦しめられる女性(名誉の殺人も含む)についてだけでなく、同じムスリムでも原理主義はやりすぎだとする人々が出てきてブブランスキー警部も対処に苦慮している描写が出てくるのも、スウェーデンの現状なのであろう。
 抑圧された人々の苦しみ、というのは<ミレニアム>の大きなテーマの一つである。 ここさえ外さなければ、シリーズとしては問題ないのかもしれないが・・・やっぱりキャラクターの放つ熱量がなー、なんか足りない気がしてしまう。 ミカちゃんのうっかりも増え、女性にフラフラするようにもなったんだけど、そのうっかりの種類は違うんじゃない?、と。 勝手だぜ、自分。
 とはいえ、「消えた誰かを探し求めている人はたくさんいる」という一節には胸を突かれる思いでしたよ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする