2018年09月30日

台風24号、接近中

 またしても台風がやってきている。 そろそろ最も激しい感じになりそう。
 このあたりでは30日の昼くらいから暴風圏かも、と前日から言われていたけど、風の勢いがどんどん強くなるのが音でわかるのがなんとも。 雨も風に流されている。 市の防災放送的なものも聞こえた。 今月、何回目だろう。
 電車も早々に止まったが日曜日だから仕事が休みでありがたい(逆にお仕事のみなさま、おつかれさまです)。 月曜日は朝からダイヤが乱れそう・・・もうあきらめて遅刻を受け入れよう!

 29日は夜あたりから雨が強くなり、気圧で偏頭痛を起こすタイプのあたしは気がつくとちょっと寝ていた。 『生さだ』前半30分の記憶が曖昧である。 普段不眠症気味なので、こういうときだけよく眠れるというのも皮肉な話。
 明日は燃えるごみの日なんだが・・・外に出しに行けるタイミングがあるかしら。
 全国的に、大きな被害がないことを祈ります。

ラベル:季節もの
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2018年09月28日

今日は4冊。

 あぁ、もう9月も終わりか・・・。
 来年の手帳(10月はじまりバージョン)もやっと買いました、ギリギリだよ。 今年のの色違い(手帳をフル活用できているとはいいがたいけれど、今のところ使い勝手に問題はないし、新たなものを探し出す労力がない)。
 とりあえず今日は4冊ですが、『死に山』を買おうかどうかすごく悩んでいる・・・(ディアトロフ峠事件の解明書。 図書館に予約を入れたが8か月待ちぐらいの予想)。

  カササギ殺人事件1.jpgカササギ殺人事件2.jpg カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ
 東京創元社、この秋イチオシ!、な勢いで宣伝に力を入れている。 <21世紀翻訳ミステリー最大の収穫>とか帯に書いている。 となれば当然買い!、ですよね。
 しかしこの作者の名前、どうも見覚えがある・・・しかもカタカナではなくアルファベットの方で、と感じていたら・・・ドラマ『名探偵ポワロ』の脚本を多く手がけた方だということで、だから見覚えあるのか! 最近、ケーブルテレビのオンデマンドでちょこちょこポワロ見直してたから〜。 ミステリは小説と脚本の親和性が高いジャンルなのだろうか、最近両方書く人がすごく増えている感じ。

  なんて素敵にジャパネスク復刻版.jpg なんて素敵にジャパネスク【復刻版】/氷室冴子
 作者没後十年、の企画の一環で、コバルト文庫から復刻。 あたしたちのようなかつての読者(今はもう若くない)を対象にしているため、イラスト・挿絵なし。 『2』が11月初めに出るそうです。
 コバルトの氷室冴子作品、電子書籍にはだいたいなっているんですけどね・・・『クララ白書』は新カバー(表紙画:谷川史子)、でも『アグネス白書』は旧カバー(表紙画:原田治)と、微妙なところもあって、揃え直すか悩むところだ。

  はじめてのひと3.jpg はじめてのひと 3/谷川史子
 忘れた頃にやってくる谷川作品。 しかし今回は薄い! コミックス徐々に薄くなってきてるけど、それでもさらに薄い!(そして値上がり!)
 なんだか切ない・・・。
 基本オムニバスストーリーで始まったのに、長くなってしまった<与ちゃん編>が終わったから、切れのよいところで・・・ということかもしれないけど。 帯には<連載時より大幅加筆>とありますが何ページぐらい増えたのかわからないし・・・その手間の分、出版しちゃいます、ということなのか。

ラベル:マンガ 新刊
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2018年09月27日

雑居時代/氷室冴子

 図書館の書庫から出してもらい、やっと読み返す。
 かつて、何回読んだかわからないが、ここ20年ぐらい(もっと?)は読んでいなかったのではないか。
 しかし本を開いて、章立てのタイトルを見れば・・・激しく懐かしい。 そうそう、「いわく言いがたい事情がある」のよね!
 取り寄せるのに何日もかかったのに、一日であっさり読み終わってしまった・・・。

  雑居時代1.jpg雑居時代2.jpg あぁ、すべてが懐かしい。

 札幌市内、“あたし”こと倉橋数子は幼少のみぎりよりお慕い申し上げていた血の繋がらない譲叔父上が「結婚しますよ」と言い出したことで大ショック。 啓明高校はじまって以来の才媛と噂に高い『倉橋さんちの数子さん』なのに勉強する気も愛想笑いをする気も起きない。 叔父さんの結婚相手と顔を合わせるのも苦痛で、遠縁の大学教授が外国に行くので豪邸の留守番を買って出ることにした。 傷心のための静かな一人暮らしのはずだったが・・・花取教授の顔見知りの女子高生・家弓(数子と同じ高校・漫画家志望・アパートを追い出された)と花取教授の親友の息子の浪人生・勉(予備校の寮が気に食わなくて出てきた・育ちも顔もいいが単純バカ)も押しかけてきて、女二人男一人のドタバタ雑居生活がはじまったのだった・・・という話。

 当時の友人同士で、「この先、結婚したりしなかったりしても、平均寿命的には男の人のほうが先に死ぬから、年取って一人になったらみんなで一緒に暮らそうか」みたいな話を結婚する予定もない20代後半ぐらいまで結構本気のテイストで喋っていたのだが(改めてその話を振ったら、よりリアルな方向で相談が深まるかもしれない)、それもこの物語の影響ではないか・・・とふと考える。
 <友達と一緒に暮らす>(この話では一緒に暮らし始めてから友達になっているけれども)、という題材の作品はいろいろあるも、あたしたちにちょうどよくピタッとはまったのがこれだったのかも。 だから、共同生活でお金のことって大事だなとか、他の人のしたことに文句を言うのは失礼だとかを学んだような。
 そう、学んだのだ。 当時小学生で、高校時代はこんな感じなのだとも。
 まぁ、あたしの高校生活はこれに比べればはるかに地味だったけど。

 『倉橋さんちの数子さん』にしてはいろいろと手ぬるいこと多々、なのだけれど、なんだかんだいって優等生の高校生、自分と違う価値観の人間についての想像には限界があって、結果的にひどい目に遭っちゃうというか・・・数子ちゃんのキャラ自体が普通の話では嫌われ役になりかねないのにそれを主役にしてしまったところに『雑居時代』の面白さはある。 なにしろ彼女はすがすがしいほど自分に正直で、だんだん応援したくなっちゃうから。 叔父さまに好かれたいために優等生を演じてきたけれど、もうここまできたら世間的な自分の評判を落とすのはプライドが許さない、みたいになっちゃっているところとか、ある意味叔父さん以上に自分を愛しているのでは・・・もしくはいい子症候群で。 そういうところは第一子長女であったあたしにもあったところだから、共感してたのかもね。
 たった2冊で終わってしまったのが残念。 ただこれ以上書くと大学入試・大学生活と進めていかないといけないからこのあたりで終わるのがちょうどいいのだろうとはわかっているけれど、あともう2エピソードぐらいほしかった。

ラベル:国内文学
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2018年09月24日

MEG ザ・モンスター/THE MEG

 サメ映画、大作で登場! しかし中国資本だということで「大味」の予感はしていたが・・・まさかここまでだったとは。
 まぁ、ジェイソン・ステイサムだし、B級だとわかってはいましたけどね。

  MEG P.jpg 悲鳴ごと、飲み込まれる。

 中国から離れた公海上に海洋探査中心の研究所がある。 その下にはマリアナ海溝よりも深い<未知なる深海>があると思われており、チームは潜水艇で調査に乗り出すが、“何者か”の襲撃を受けて深海で立ち往生してしまう。 急遽、深海レスキューのベテラン、ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)が呼び出されて現場に向かうが、そこにいたのは200万年前に絶滅したとされる古代のサメ・メガロドンであった・・・という話。

 何故メガロドンがいままで生き残ってこられたのか、という理屈や、これまで発見されなかった“深海”といった科学的要素は意外に説得力があるというか、ちゃんとしている。 ちゃんとしているだけにもっとSF要素を使ってほしかった!(でも専門家揃いの割には深海探査の際のざっくり感が気になって仕方がない・・・)
 未知なる深海はとても興味深いところなのに、さらっと流されてる〜。 水圧という大問題についてもないことになってる〜。
 中華色を薄める(?)ためなのか多国籍なキャストではあるんだけど、不安になればなるほど口数が多くなる黒人、自己主張をしない黒ぶちメガネの日本人(お久し振りのマシ・オカなのはうれしかったが)とか、ステレオタイプなキャラ多い。 だから誰が狙われようと誰が襲われようと、まったくハラハラしない・・・(まぁ、この人はやられるな、というのはだいたいわかってしまうからかもしれない)。 まぁ、この不安のなさはジェイソン・ステイサムがいるからか?
 その割に、ジョナスと海洋科学者スーイン(リー・ビンビン)のラブストーリーがあったりして・・・それ別にいらないんだけど!
 仲間死んだり巨大ザメの存在が身を脅かしているのに(しかもジョナスはかつてレスキュー中にメガロドンに襲われ、仲間を失った過去がある)、恋愛してるヒマあんのかよ! ていうか何きっかけで二人がひかれあったのかよくわからない! スーインは最初、ジョナスを信用せず、「自分が助かるために仲間を見捨てるのね!」みたいにののしっていたのだぞ。 なんなの、ツンデレ萌え的な?
 と、人間側の登場人物にも気持ちがついていかないのだが、肝心のメガロドンも・・・ただの巨体というだけで存在感とか性格付けのようなものがまったくなくて、面白くない。 そもそも何故襲うのかという理由がまったくわからないのだ。 おなか減ってるとか生活環境を乱されて怒っているとか、もしくは神のごとく絶対的な力をふるっているだけとか、そういうのがまったく伝わらない。
 そう、なんかサメ愛がたりない。

  MEG 1.jpg サイズ感がよくわからない・・・。
 一応、メガロドンは全長23mとのことですが、10mぐらいのときもあれば50m越えているのでは、というときもあり。 まぁ、海の中では大きさがわかりにくいですよね。 でもなんでこんなでっかい生き物が海水浴客でいっぱいのビーチに行けるのか不思議(そのビーチの描写はほぼ『ジョーズ』だという・・・あんなに人がいるのに何故がっぷりいかないのだろう、そこ見せ場じゃないのか!)。
 というわけでせっかくのメガロドンなのに不完全燃焼感がすごい。 せっかく<自然の摂理>をテーマにしているのに活かしきれてないのでは・・・(活かしきれていたらB級映画にはならないかもだが)。 『ジョーズ』に次ぐぐらいのポテンシャルを持っているのに、もったいないよぉ。
 それにしても、中国人の家族に対する考え方はアメリカ人のそれとかなり通じるなぁ、と改めて実感。 米中合作映画はこれからも続くのではないかと思わされた。
 しかし探されてたときにジョナスがいた場所はタイだったのだが、何故そのときのBGMが中国語版の“ミッキー”だったのだろう。 エンドロールでも流れたぞ・・・。 中国語だと言葉数が多いのか、本来ポップな“ミッキー”がなんとなく別物。 その残念感は、この映画そのものと同じだ。

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2018年09月23日

判決破棄 リンカーン弁護士/マイクル・コナリー

 <リンカーン弁護士>シリーズ三作目。
 主役はミッキー・ハラーなれど、今回はハリー・ボッシュと組む、という仕掛けなので事実上はダブル主演(章立てもハラー、ボッシュの順で交互に視点が変わり、ハラーは一人称でボッシュは三人称)。 シリーズものはキャラ小説になってしまう宿命を背負っているけれども、以前から漠然と思っていた「ボッシュがその捜査の担当になっていれば、ハラーが新事実にぶち当たることはなくない?」という疑問になんとなくの答えをもらえたような気も。

  判決破棄1.jpeg判決破棄2.jpeg 初めて同じ側に立つ二人。

 根っからの刑事弁護士であるミッキー・ハラーは、LA郡地区検事長から驚くべき要請を受ける。 DNA再鑑定の結果、24年前の少女誘拐殺人で有罪となっていたジェイスン・ジュサップに対する判決破棄及び差し戻しでジュサップは釈放、検察側は再審に向けての特別検察官をミッキーに依頼してきたのだ。 ミッキーに法廷の“通路”を挟んだ反対側の原告側代理人になれという。 マスコミはジュサップを冤罪をかけられた悲劇の人として扱っており、断りかけたミッキーだが、自分の元妻マーガレット・マクファーソン(地区検事補)とロス市警のハリー・ボッシュを自分の協力者としてチームを組むのならという条件で引き受ける。 原告側代理人という立場に慣れないミッキーにマーガレットは検事という立場を教え、ハリーとともに裁判のための証人を探し出す。 そしてハリーの粘り強い捜査により、ジュサップは何かを隠していることがわかってきた。 ミッキーは有罪を勝ち取れるのか、という話。

 法廷劇というよりも、裁判のためにいかに入念な準備が必要なのかを認識させてくれる話。 アメリカの裁判の仕組みに詳しくなってしまうわ・・・。
 24年前の事件の真相を探る、というコールドケース的な楽しみもあるし、ミッキーの娘とハリーの娘が初めて顔を合わせるというほんのちょっとの場面ながらシリーズ読者には微笑ましいシーンもあり、被害者の姉が辿った過酷な人生から“事件”がいかにいろんなものを壊していくかを伝えても来る。 シリーズものだからこそぶちこめる重いもの、というか。
 大変面白いだけに、事件の幕の閉じ方が・・・「えっ、そっちですか?」と口に出てしまいそうなほどあっけないのが残念。
 その分、ミッキーの<弁護士という存在のありよう>への苦悩は引き立つかもしれないんだけど・・・。
 さて、次もミッキー・ハラーだ。 開き直った刑事弁護士ぶりを見せてくれるのだろう。 だんだん追いついてきたぞ!

ラベル:海外ミステリ
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2018年09月21日

今日は、8冊。

 もう9月の下旬に入ったのに、あたしはまだ暑いです・・・。 気温は下がっても大気が不安定なのですぐ雨が降る状態で、湿度が高いので体感温度も高い! でも電車とかエアコンは弱くなってきてるから、全体にじめじめしてる! なのにまだ日に焼ける・・・8分袖のシャツなどを着ていましたが、服から出ている腕の部分がかゆい! 赤くはれている! 冷凍庫にある保冷剤で冷やしましたよ・・・腕カバーと日傘はいつまで必要ですか!
 しかし出版界(特にあたしが買う感じのジャンルでは)すでに秋モード。 いや、ファッション界はとっくの昔に秋モードですが、暑いからまだ厚手の生地には(たとえデザインがノースリーブであっても)一切魅力を感じない。 今シーズンは服は買わないかもな・・・。

  兄弟の血1.jpg兄弟の血2.jpg 兄弟の血 熊と踊れ2/アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ
 北欧ノワールの極北、といわれた『熊と踊れ』の続編にして完結編。
 ディープだ、とてもディープだ。 ある程度一気読みできる時間と体力・精神力を準備してから立ち向かおう。

  動乱星系.jpg 動乱星系/アン・レッキー
 『叛逆航路』三部作後の新章。 ユニバース展開となるようです。 時代設定とかどうなるんだろう。 これも気合が必要な感じが。

  ツーリングユーロ10.jpg ツーリングEXP.Euro 10/河惣益巳
 『別冊花とゆめ』休刊に伴い、駆け足の完結になってしまった感。 これまでの伏線の回収も唐突ながら(回収しないよりはいいけれど)、自分にしか見えない“魔”とマジ会話してしまうディーンに愕然(本人に自覚はあるけれど、シャルルの影響か?)。 あと、線に力がないような、というか、「えっと、この人、誰だっけ?」と考えちゃうこともあり。 そしていろいろ調べているうちにヒートアップしてしまっているのか、筆者の考え方がどんどん過激になってきているような。
 この続きはWEB連載になるようで・・・この駆け足具合をフォローする流れをお願いしたいところです。

  せいれい4.jpg 蜻蛉(せいれい) /河惣益巳
 仮想歴史ロマンも4巻目。 これは簡単に終わらない、まだまだ続く気配濃厚。 『火輪』くらいの長さになる・もしくはこえそうな。
 主要キャラようやく勢揃いの感もあり。 さらにまた別の憎まれ役というか、何か目的をもっている人物(しかも女性)登場。 これから一波乱も二波乱もありそうです。

  ランド07.jpg ランド 7/山下和美
 こっちはアンか?! 急に表紙の雰囲気が変わったぞ!
 あぁ、1巻から読み直す、できてなかった・・・。

  任務の終わり1.jpg任務の終わり2.jpg 任務の終わり/スティーヴン・キング
 『ミスター・メルセデス』にはじまる退職刑事シリーズ三部作完結編にして、『ミスター・メルセデス』直の続編、らしい。
 原題“END OF WATCH”は<監視・任務の終わり=警官の三交代制のうちの夜勤の終わり>のことでもあるはず。
 冒頭に<トマス・ハリスに>と献辞が出ていますよ! もしや“メルセデス・キラー”はレクター博士にオマージュを捧げられているとか?(いや、あのトマス・ハリスと同一人物かどうかわからないけど)
 というか、『ミスター・メルセデス』、序章でひどいことになっているので心構えが足りず、止まっている。 完結編が出ちゃったら(そして今年中に文庫が出るらしいし)、読まないとな・・・いつの間にかドラマ化されているし。

ラベル:マンガ 新刊
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2018年09月19日

判決、ふたつの希望/L'INSULTE

 小規模公開作品としては、公開前から一般の注目度が高かったような気がする。
 民族・宗教・ヘイト・・・と、今日的な問題が題材だからだろうか。 いや、そもそもそういう映画って前からあったんだけど・・・映画から知ろう、と考える人たちが増えてきた、ということかもしれぬ。 だとしたら、映画というものに求められることについては、きっとよいことなんだろうなぁ。 世界の流れとしてはよい方向ではないとは思うけど。

  判決、ふたつの希望P.jpg ただ、謝罪だけが欲しかった。
   ふたりの男のささいな口論が国を揺るがす法廷争いに――。
   人間の尊厳をかけ、彼らが見つけた新たな一歩に世界が震えた感動作。

 レバノンの首都ベイルートにて。 自動車の修理工場を営むトニー・ハンナ(アデル・カラム)はレバノン人でキリスト教徒。 どんどんレバノンに流入してくるパレスチナ難民を排斥しようという活動家を応援している。 そんな折、トニーのアパートの補修工事を担当した現場監督のヤーセル・サラーメ(カメル・エル・バシャ)が、ベランダからの水漏れを気にして配水管を入れた(下に人がいることに気づかず、トニーがベランダで水をまいたためヤーセルらは水をかぶってしまった)。 トニーはそれが気に入らず、急ごしらえの排水管を壊す。 作業責任者が大事になる前にとチョコレートをもって謝罪に来たが、ヤーセルがパレスチナ人だと気づいているトニーは侮辱的な言葉を浴びせる。 それにかっとなり、ヤーセルはトニーの腹にパンチを入れてしまう。 謝罪すれば終わるはずだった小さな行き違いは、ボタンを大きく掛け違い裁判へと進んでしまう。 そして裁判になったことで国中に報道され、それぞれの立場に立つ人たちがどちらかの味方に付き、国内を二分するほどの大きな騒動に発展していく・・・という話。

  判決、ふたつの希望2.jpg トニーの奥さん、若くて美人。
 のほほん日本人としては、「何故パレスチナ人とレバノン人との間に何かあるのか」というところからよくわからない。 イスラエルとパレスティナならわかるけど。 どうやらパレスチナ難民がレバノンに流入してきて、そこで仕事をするようになる:レバノン人の職を奪われた、働くことができないパレスチナ難民のためにレバノン人の税金から人道的支援が支払われるということに納得のいっていない人たちがいるらしい。 また、かつてのレバノン内戦においてキリスト教系レバノン人とムスリム系パレスチナ難民の間に生じた歴史的な対立と確執が尾を引いている、という過程もあるようだ。 だから当事者以外の人々の間でこの件はエキサイトし、どんどんことが大きくなる。 あぁ、内戦が絡むと面倒だよ・・・。

  判決、ふたつの希望4.jpg 社長はヤーセルをギリギリまでかばうが、ヤーセルはトニーに耐えがたい侮辱を浴びせられたため、どうしても謝ることができない。 もはや名誉の問題である。
 子供のケンカでも同じだが、暴言を吐く側は相手よりも自分が優位に立ちたいと乱暴な言葉をいうのだが、それが言われた側にとってどれほどダメージを受けるのかは考えない(まぁ、考えないからそんな言葉をいえるんだろう)。 だから前半は完全にトニーが駄々っ子に見えてしまい、そりゃ奥さんも「いい加減にしてよ!」って言うよなぁ、と納得。
  判決、ふたつの希望1.jpg 裁判が思ったより大事になってビビるトニーだが、空威張りも忘れない。
 しかしびっくりなのはレバノンの法廷だ。 裁判官たちが自由の自分の言葉で発言する、どんどん自分の裁量で裁判を進めていく。 被告・原告ともに直接話しかけるし、すごくフレンドリー。 裁判が様式化されていない、ということでもあるのかもしれないけれど、日本の裁判よりもずっとあたしはレバノンの裁判に親近感を持ってしまった。 あと弁護士がアメリカの法廷ドラマ以上によく喋る! 国内はヘイト感情で二分されているけれども、この裁判所の判決なら信頼できる、という気がした。 それっていちばん大事なことではないでしょうか。

  判決、ふたつの希望3.jpg トニーとヤーセル、同じく職人としてわかりあえる部分を持っているのに。
 裁判になる前、トニーは自分の自動車修理工場にくるお客に「たとえ中古でもメーカー純正品を使え。 新品でも中国製ならすぐへたれるぞ」的なことを言って純正品使用を進めていた。 裁判でヤーセルの人となりを説明されるときに、以前一緒に仕事を組んだ相手が「レンタルする機械はドイツ製のとても高いものでないとダメだといわれました。 中国製は信用できないというので」と証言している。 機械のレンタル料は莫大だったが、そのおかげで工期が大幅に短縮されたので全然赤字にはならなかった、という一連の証言で、トニーは「中国製は信用できない」にすごく反応してた。 そこではじめて、トニーはヤーセルが仕事に対して同じような責任感と情熱を持つ者、と認識したのではないかしら。 和解できる土壌はあった、いくつも。

  判決、ふたつの希望5.jpg しかし次第に法廷に入るのすら大変な事態に。
 国の他者によってレバノン人VSパレスチナ難民という構図がどんどん利用されていく。
 けれど法廷では、「何故トニーがヤーセルに対して<耐えがたいほどの乱暴な言葉>を発したのか」を丹念に解き明かしていく。
 国中で大騒ぎになっていても、裁判所の中ではトニーとヤーセルの問題として話を進めていこうという厳しさと優しさが同居している。 社会派テーマだし、当事者であるが故に言いづらい内容であるにもかかわらず、きちんとエンターテイメントに昇華してあるすごさ。 なおかつ何も知らない外国人にも国情をわかりやすく伝える。 重たいものを描きながら、重たさだけでは終わらない心意気が素晴らしい。
 あぁ、いい映画観たよ〜。

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2018年09月18日

検察側の罪人/Killing For The Prosecution

 原作未読。 だってタイトルが明らかにアガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人』のパスティーシュ(もしくはトリビュート)じゃない? 名作に乗っかる姿勢がちょっと・・・あたしの好みではないと感じたので(小泉喜美子の『弁護側の証人』ならセンスあると感じるけど、“検察側の罪人”はそもそも存在しない言葉だしさ)。
 原田監督の絵づくりなんかは好きなんだけど、これを原作として木村拓哉・二宮和也を主役に起用、とい去年のうちに聞かされたニュースにはいい意味でなく驚かされた。 原田監督の役者選びの好み、好きだったのに、アイドル系を起用するのか・・・まぁ、『関ケ原』で岡田准一を使ったから、かしら。
 予告を見ても「二人のアップがほとんどで、全然話の内容がわからん・・・」という印象で、どうしようかなぁと悩んだのですが、脇役にはいい役者さんいっぱい出てるに違いない!、という期待を胸に。
 いつもより原田組役者さんは少ないように感じましたが(特に木場さんと中村育二さんがいないのは寂しかった)、出ているみなさんいい仕事をしていた! でも全体として、「原田監督、やっちまったなぁ!」という感じ。 もったいなかったよ、いろいろ・・・。

  検察側の罪人P.jpg 一線を、越える。
   犯人不明の殺人事件。対立する二人の検事。正しいのは、どちらの正義か――

 検事の沖野(二宮和也)は、新人研修最終日にエリート検事として憧れの的の最上(木村拓哉)から検事として最も大切なことについて訓示を受ける。
 4年後、東京地方検察庁刑事部に配属となった沖野は、同じ部署の先輩として最上と再会。 沖野の事務官としてやってきた橘(吉高由里子)とともに闇ブローカーである諏訪部(松重豊)の取り調べを任されるが、百戦錬磨らしき諏訪部には沖野も歯が立たない。
 そんな折、強盗殺人事件が発生し、被疑者リストの中に時効が成立した殺人事件の重要参考人であった松倉(酒向芳)の名を最上が見つける。 松倉に法の裁きを受けさせるべく奔走する最上だが、別の手がかりから違う容疑者に辿り着いた沖野たちは最上の方向性に疑問を抱き・・・という話。

 もうとにかく、松重さんが素晴らしい。 前半と後半ではまるっきり違うキャラクターになっていて、トリックスターとはまさにこんな感じ!、といった具合。 そのかわり、物語の展開上、都合の悪いところは全部諏訪部がやってくれたことにして片づけちゃうという強引さがあり・・・せっかく社会派エンターテイメントなのに荒唐無稽さに拍車がかかり、すべてが薄っぺらに見えてしまうという・・・。
 いや、そもそもエンターテイメントと社会派の部分がうまく消化できてないというか、詰め込みすぎてなにが本筋かわからなくなっちゃうというか、<正義>が沢山ありすぎてどれが正しいか選択することすらできないという。 沖野と最上の対立というだけでなく、最上の中にもいくつもの正義が存在していてどれがいちばん重要なのかわからない。 これで正義の意味を問われても、「場合によって違いますよね」としか言えなくなってしまう。
 まぁ、わかったことは、過去の傷のかさぶたをはがし続ける人には未来どころか現在のことも見えてない、ということでしょうか。

 画面には左右対称の構図が繰り返し取り入れられていて、そこに<最上と沖野>といった鏡映しの関係を表現しているのでしょうが、シンボリックで面白い(特に螺旋階段のように見えて半円状の階段を上から撮る図)。 映像的にはすごく面白くて、展開もメリハリがあって2時間越えも長いとは感じないのですが・・・なんなんだろう。 言葉数はすごく多いのに、全然心に響いてこない。 ぐっとくる台詞がない。
 「検事でいる意味がない」とか言われても・・・なんかぴんと来なかったのです。
 彼らの考える<正義>に、あたしが共感できなかったからか?
 いや、あたし、復讐もの好きなんですよ。 時効になっちゃった殺人犯をどうにかしようという話、キライではないのに、最上のやり方があまりに短絡的というか、「他に方法があるだろう!」と思ってしまうからですかね・・・。
 沖野も沖野で、最初に松倉を聴取するときに見せた“自分のやり方”はよかったんだけど、そのあとは橘さんに主導権握られちゃってるみたいに感じるのがどうも。 橘さんの過去も現実の事件を容易に思い出させる内容はやめてほしい。 フィクションの中にノンフィクション要素を出すと、どうしてもノンフィクションに負けてしまうから。 そこはオリジナルの事件、作ろうよ!
 最上の友人で衆議院議員の丹野(平岳大)についてももうちょっと深く描けたらよかったのに。 まるで政権批判したいがためのキャラみたいに感じる。 平岳大は『関ケ原』に続いての登場なので、監督に気に入られてよかったね、とは思ったけど。
 説明不足ってわけじゃないのよねぇ、筋は一応通っているし。 むしろ言いたいことが多すぎてその強弱をつけきれなかったがために散漫になってしまった、という感じ。 だから最後に叫ばれてもねぇ、その気持ちわかんないよ、みたいになってしまった。
 彼の作品全部は観てないけど、木村拓哉的にはベストアクトだったのではないかと思いますよ。 役者さんそれぞれよかったです(大倉孝二さんはもうちょっとドロドロさせてもよかった)。 でも脚本が・・・。 原田監督、その時々の自分の興味の先に走りすぎて暴走するときがあるけど、今回はそれだったなぁ。
 上映後、「話、半分もわからなかった・・・」と言っていた女性お二人客がいた。 かわいそうに。

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2018年09月17日

カメラを止めるな!

 神戸市内、公開が遅かった。 なにしろいつも行く映画館では9月8日からの公開である(109シネマズHATでは確か8月23日からだったが)。 それまでにすでにブームは起きており、普段は映画の情報など流さないであろうニュース番組まで取り上げていたのを、いつもほとんど見ていないあたしがたまたま見てしまうという悲劇に見舞われた。 まだ公開していないのに、ネタバレに準ずることを放送するのはやめてくれ!
 その後に“盗作騒動”もあった。 まだ観てないのに・・・。
 というわけで、できるだけ事前情報はシャットアウトしたかったのだが若干入ってしまったので観に行くかどうかを悩んでしまったのだが、普段あまり映画館に行かない人たちも結構観に行っているとのこと、そういう人たちと共通話題ができるのはうれしいじゃないかと思い、やっぱり行ってみた。

  カメラを止めるな!P.jpg 最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。

 ゾンビ映画を撮影しているスタッフとキャストたち。 低予算ながら監督の情熱は強く、郊外の古い建物をロケ場所に撮影を続けていたが、ある出来事から映画の撮影は大パニックに襲われ・・・という話。

 というか、あらすじもどこまで言えばいいのか、というくらいネタバレに気を遣うと大変難しい。
 まぁコピーで言っているように、<この映画は二度はじまる>というわけで、前半と後半が違う話−というか、前半の伏線を後半で回収しているという構図、ということで決して話として違うわけではないんだけど、切り口が違っている、というか。
 前半ホラー、後半コメディ、という人もいるけれど、前半でいろいろと違和感がちりばめられており、その違和感にはちょっと不快感を伴うものもあるんだけど、それがのちにつながると気づいてからは全編がコメディで。 その違和感には理由がある、の積み重ねがしっかりなされていたのはすごいよかった。 ウェルメイド、が久し振りに戻ってきた感。
 ゾンビに追いかけられて逃げるある人物のはいているスニーカーの赤い紐がほどけて、すすけた屋上のコンクリ(?)の上を紐が引きずられていくシーンの色使い、とてもきれいでした。
 結果的にとても“いい話”。
 この映画がすごくリピーターを生んでいるというのは、もしかして普段の仕事に疲れている人が多いのでは・・・という気もちょっとしたりして。 仕事がんばろう、って思える話だから。
 ただ前半、手持ちカメラの揺れがすごくて、酔いやすい人は酔ってしまう可能性大(あたしも頭が痛くなりました)。 そういう人は後ろの席のほうが被害は少ないかも。 40分弱なので、それが過ぎれば落ち着きます。

 まったく新しい映画、というわけではないので、盗作騒動はちょっとな・・・と思ってしまう部分も。
 ネタバレにはならないようにしますが、この映画を観て思い出したことについては記事を折りたたみますので、ネタバレ要素が欲しくない方はご覧にならないようにしてください。

つづきはこちら
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2018年09月16日

皇帝ペンギン ただいま/L'EMPEREUR

 字幕版で鑑賞。 ペンギン好きとしては見逃せない。 でも続編を作る意味はなんだろうと思っていたのですが・・・すごい高画質に驚き。 これが4Kか! 毛のモフモフまでくっきり見えるすごさ。 そこは前作とは全然違うよ!

  皇帝ペンギンただいまP.jpg “必ず帰ってくる”という約束の物語

 コウテイペンギンは南極圏内で生涯を過ごす最大のペンギン。 思い思いに暮らしていた彼らはある日、海辺から100kmも内陸にある繁殖地<オアモック>へと行進をはじめ、そこで産卵・育卵・子育てをする。 40歳を越える、「これが最後の子育てになるかも」と感じる最年長オスペンギンを軸に、このシーズンのコウテイペンギンたちを見つめて、追いかけるドキュメンタリー。
 産卵から子育てにまつわることは前作『皇帝ペンギン』に描かれているので、今回は省略(最低限必要なことだけ補足)。 ペンギンの親子愛にフォーカスしすぎてネイチャー的動物ドキュメンタリーを期待してしまうと全体的に説明不足。 まだわかっていないこともあるのかもしれないけれど、かゆいところに手が届かない、「あぁ、そこ説明してほしいのにスルー?」、と感じることが多すぎ・・・まぁ、それは前作でもそうだったんですけどね。

  皇帝ペンギンただいま3.jpg 南極の氷が溶けている現状もはっきりと。
 前作ではもっと南極の氷は厚くて白くて滑らかだったような記憶が。 4Kになったから氷の凸凹面や薄汚れた感じが見えるのか、前作撮影時よりは明らかに南極の氷が薄くなっているのか、画質がクリアになった分、見えることがすべていいとはかぎらないという事実がかなしい。
 氷上をぼてぼて歩くコウテイペンギンが、滑ったりけつまづいたりして「おっとっと!」となる姿はとてもユーモラスでかわいいんだけれど、まるで除雪ブルトーザーが通った後の道の雪が一回溶けてまた凍ったみたいなごてごてでガサガサの道を歩くんだからそりゃ転ぶさ!
 なんだかせつなくなっちゃったよ。

  皇帝ペンギンただいま7.jpg ひなの毛がリアルモフモフすぎて、目もよく見えちゃうせいで微妙にかわいくない。
 それは大人もそうなんですが。 つるんとしたイメージのペンギンだけど、今回高画質により毛先の一本一本まで見えてしまい、毛の先がさらに細かく分かれていたり、全体的にオイルコーティングされているかのように光の当たり方によって反射して色が違う。 そのおかげでマイナス気温のブリザードにも耐えられるカラダになっているのだろうけれど・・・そのへんの説明も通り一遍で! もっと専門的なコメント聞きたいんですけど!! ペンギン好きなので基本的なことはわかっているのですよ! 新しいことが知りたい!
 ペンギンは見た目で自分のつがい相手や子供を区別できないので、鳴き声で区別する。 でも親が交代でえさを取りに行っている間、群れは全体で大人が子供の面倒を見るのですが・・・これって日本社会が見習うべきところですよね。 卵をうまく孵すことができなかった新米は、率先してひなたちの指導役になっているように見えるし。
 でもオオフルマカモメがやってきてひなにちょっかい出すようなら、体当たりでやっつけるぐらいの勢いが欲しいと思ってしまうのはあたしだけ?(威嚇の声は上げている感じはあるけど・・・)。

  皇帝ペンギンただいま2.jpg 新しい映像、それは水中のコウテイペンギン。
 水温が低いのでダイバーが潜るには限界があるし、すいすい泳ぐペンギンに追い越されてしまうから水中ドローンカメラでしょうか。 氷山(?)から海に飛び込むときに氷が細かく砕けて海に落ちていくその氷の結晶がくっきり映像に映っているのがすごい! あらゆるものが鮮明に映っているすごさをこんなに実感したの初めてかも。

  皇帝ペンギンただいま5.jpg 今回は水の中のコウテイペンギン多め。
 氷の上ではぼてぼてでも、水の中では華麗で素早い動きでまるで別人。 これもギャップ萌え?
 で、こう見ちゃうと小さく見えるのですが、コウテイペンギンは身長100cm〜130cmくらいあるわけで、椅子に座ったあたしより背が高いってことよね! 比較対象がないから特に水中は大きく見えない。 一緒に雪原を歩いてみたいが、一緒に泳いでもみたい! 映像では水の冷たさがよくわからないので(とりあえず真冬ではないのでこちらの感覚も麻痺してきている)、ついそんなことを考えてしまう。

  皇帝ペンギンただいま6.jpg 水からあがるとつやつや〜。 スリムに見えるよ〜。
 首元の黄〜オレンジのグラデーションがなければ、そのフォルムはアデリーペンギンにも見えかねない。
 <オアモック>にずっといると毛も汚れてくるんだけど、泳ぐことで特におなかの白い毛がきれいになる〜。 でもなにしろオイルコーティング状なので、海から上がっても全身ブルブルを何回かして毛づくろいをしたら元通り、という回復の早さ。
 あぁ、許される環境があれば、飼いたい!! そんな妄想もつい、駆け巡る。

  皇帝ペンギンただいま1.jpg ひなが育ってくると旅立ちの時が近づいてくる。
 ひなも個体差があるのがご愛敬。 もう大丈夫よね、となると大人のメスたちが先に<オアモック>を去っていく。 オスがギリギリまで待って、ひなのひとり立ちを見届ける・・・と言いたいところだが、若いの数頭が最後まで残るけど、あとは順次去っていく。 エサ場から<オアモック>までの往復はかなり体力を消耗させるので、体形が小さいメスが先に去るのだ。 レディファーストは合理性から生まれているぞ! 育児の責任(?)はオスが取る、というのも見習うべき点ですかね。
 毛がモフモフのひなですが、成長とともに産毛が落ちてきます。 この落ち方に個性が出るというか・・・手(ヒレ? 羽?)をよりバタバタさせてる子はそこから落ちていくし、おなかを氷上にあててよく滑り動きをしている子はそこから落ちるし・・・で、気づけばモヘアのセーター(ノースリーブ)着てる子や、首まわりにもこもこのスヌードしてる子、アバンギャルドな毛皮のコートを着てる子など、ファッションに差が出てる! そこまできたらもうかわいい!

  皇帝ペンギンただいま4.jpg 初めての海を目前に、アワアワのひなたち。
 「どーする? どーする?」と下をのぞき込んでいるうちに氷が崩れ、海へどぼーん。 あわてて氷の上へと戻る姿。 そのおかげで産毛がだいぶ落ちたやつもいる。
 最終的に泳ぎ出すのは本能に刻み込まれた種としての記憶なんでしょう。
 でも、「どーする?」と子供たちで海を目前に3日ぐらい呆然としちゃっているところがかわいい! まごまごしている間に(この頃、季節は春)、海から戻ってきたアデリーペンギンと出くわし、「オラオラ!」とばかりにコウテイペンギンの子供たちに体当たりするアデリーペンギン(大人、身長は半分くらいしかない)が、ほぼちびっこギャングに見えました。 縄張り争いなのか、「もたもたすんなよ!」という意味合いの激励(?)なのか・・・その理由も知りたかったんですけど、ナレーションは何も語らず。
 でもキュートなペンギンたちと、一面の雪景色を見られたことで、あたしはかなり浄化された。
 というわけで今回は写真大き目&多めでお送りしました。

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2018年09月15日

今日は、2冊。

 気がつけば9月も半ばである。 来週は結構大物が出るんだよねぇ。 そして例年10月にも大物が出る傾向が。 そうなると年末の足音が聞こえてくる感じが。 あぁ、今年もあと3か月半ですか・・・びっくりですね。 まだ微妙に蒸し暑いのであれだけど、服や靴・かばんなどを秋物にチェンジしていかねば(色合いが落ち着いてくるだけで、素材自体は夏物とそんなに変わらないのですが)。 年々秋が短くなるからね。
 でも今年は日光がきつい! 今でもうっかり油断すると日に焼ける!

  総特集わたなべまさこ.jpg 総特集わたなべまさこ 90歳、今なお愛を描く
 なんと画業66年、現在日本で最年長の現役女性マンガ家とのこと。 萩尾望都や木原敏江が「偉大なる先輩」と仰ぐ人なのだから、そのすごさはそれだけでわかろうというものです。 この表紙は『ガラスの城』のマリサ!
 全作品リスト付きなので、「あ、これも読んでた、あれも読んでた!」と自分の記憶の引き出しがガタガタとあけられていく。

  世界推理短編傑作集2【新版】.jpg 世界推理短編傑作集【新版】2/江戸川乱歩 編
 1巻の表紙は鍵だったけど、2巻目は懐中時計。 3巻以降はなんだろう? レトロな時代の謎にふさわしい小道具。
 今回も結構厚め、9編収録で資料的解説付きで400ページ弱。
 ロバート・バー、バルデュイン・グロラー、G・K・チェスタトン、モーリス・ルブラン、オースチン・フリーマン、V・L・ホワイトチャーチ、アーネスト・プラマ、M・D・ポースト、F・W・クロフツと、ビッグネームから「なんか見たことある感じの名前」まで並び、「あぁ、こういうのを常識として理解している方たちの対談でバカバカと作品名や作家名が出てきたおかげで、子供時代のあたしは“まだまだ常識知らず”だと思わされたんだよなぁ」と思い出してみたり。 この年で常識を学ぶのは遅いので、レトロな雰囲気を十分楽しみますよ!
 しかしこういう古典的な作品がロングスパンながら定期的にリニューアルされる日本、いわゆる<本格推理>を愛する人がいっぱいいる!、ということでしょうか。 そういう土壌を作り上げた江戸川乱歩、やはり偉大なり。 そしてその流れを絶えさせなかった人たちも。

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2018年09月14日

悪の猿/J・D・バーカー

 買ったあと、よい感じに書いている書評を目にしたので、話題になるタイミングで読んでみるか、とあたしにしては早めの行動。
 帯にはジェフリー・ディーヴァー、ジェイムズ・パターソン、ジャック・ケッチャムの褒め言葉が。 あぁ、そっち系ですか、というのがわかりますが、もう2ページ目から不吉な感じ全開。 主役であるらしいサム・ポーター刑事にまとわりつく不穏さは事件よりも嫌な予感を連れてきて、「あぁ、この作者は容赦がないらしい」と覚悟させられた。
 そう思って読んだせいか、予想よりは読後感は悪くなかったような・・・いやいや、あたしの感覚が麻痺しているのかも。

 5年半前以降、シカゴを震撼させている連続殺人犯“四猿”=4MK(4 Monkey Killer)。 三猿、<見ざる、聞かざる、言わざる>になぞらえて被害者の耳・眼球・舌を切り取って家族に送りつけ、その後殺害してから遺棄するという手口でこれまで7人を殺している。 被害者の近親者には法を破りながら捕まっていないものがおり、遺体にはいつも<悪事をしざる>というメモが残されている。
 サム・ポーターは最初の事件から捜査にかかわっているが、突破口を見つけられずにいた。 しかし相棒のナッシュから入った電話で事態は一変する。 市バスに轢かれて死んだ男が切り取られた片耳の入った小箱を持っていた。 この男が4MKなのか? 男の所持品には4MKか書いたものと思われる日記があった。 仮にこの男が犯人だとしても、どこかに閉じ込められている被害者がいる。 助け出さなければ、とポーターたちは4MKが用意していただろうゲームの解明に急ぐ・・・という話。

  悪の猿.jpg 4MK=四猿(しざる)なので、「悪事をしざる」としているのだろうけれど、「悪事をせざる」のほうが文法的にも正しく語感も慣れているので、「悪事をしざる」には最後まで違和感あり。 また何回も出てきちゃうんでね。
 そのあたりが翻訳の難しさなんでしょうけどね・・・。
 地元マスコミが三猿について「日光東照宮に由来」と報道してますが、それ以外は特に日本ネタはなかった。 訳者あとがきによれば「三猿の思想は東南アジアを中心に、インド、中東、アフリカなど多くの文化に存在」とあり、もともとの由来は古代エジプト、ということにびっくりしつつ納得。 だからいろんなところで見るのか。
 ちなみに英語では、“hear no evil,see no evil,speak no evil”。 だから耳からの順番になるわけだが、そういえば高校の英語でやったような気がする。 日本語では「何を」の部分が省略されているけれども、英語ではそれは通じないからevilが必要なのだと。 でも「見ざる聞かざる言わざる」の内容が「悪いこと」だという意識はあたしの中では薄かったというか、もっと広範囲の意味だと思っていて、evilだと“邪悪”みたいに意味の強い言葉が連想されるのでたじろいだ、ような記憶が。
 あぁ、日本語って曖昧だなぁ。
 本書ではしっかりevilの意味で使われています。
 ポーター視点で物語は主に語られ、合間に4MKの日記(ポーターがここまで読んだ、という感じで)と被害者の視点が。 600ページ近い長編でありながら章立ては短くて、構成はとてもテレビドラマ的。 捜査途中に判明したことを列記するボードまで出てくるので、「まさにリンカーン・ライムものをお手本に書かれたのでは?」という感じ。 そりゃ、自分のフォロアーだと思えばジェフリー・ディーヴァーは褒めるよね。 途中でいろいろぶっこんでくるあたりもそれっぽいんだけど、そういうのを当たり前に読んでる身としてはツイストがだいたいわかってしまう哀しさ(これが麻痺の元かもしれない)。 しかしうっすら感じたことを「やっぱりそうか!」と示すにはいろいろな下準備が必要で、そこはちゃんとしているなぁ、と。 厚さの割には、そして初めての作家なのに意外に早く読み終わった。
 とはいえ仕掛けが大きくなればなるほど動機が薄くなりがちというか、いや、この事件に関してはしっかり描かれているんだけれども、じゃあこれまでの7件の事件はなんだったのだ?、という気がしないでもなく。 シリアルキラーだから、というだけではちょっと・・・。
 ポーターはじめシカゴ市警の方々はキャラ立ちしており、シリーズ化してもらってもよい勢いだが、このあとの話は難しいかな。

ラベル:海外ミステリ
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2018年09月13日

『CSI:マイアミ』、シーズン3

 いきなり、自宅用PCのマウスがいかれた。 クリックができない。 右クリックもスクロールのできるのに、クリックだけ。 でもまぁクリックがいちばん使う頻度が高いからなぁ。
 仕方ない、と、とりあえず予備のマウスを使うが、これまでのとサイズ感が違うので(しかもこれまでのは人間工学的に正しい形とかで手への負担が小さかったようだ)、右手の親指の付け根あたりがやけに痛い。 筋肉痛?
 仕方ない、新しいマウスを買うか〜、とあまぞんをうろうろ。 しかしマウスだけでは送料を取られる。
 よし、この際、考えていた『CSI:マイアミ』のDVD−BOXを買うか!
 しかし全シーズンはさすがに買えないので、まずは1シーズンを選びましょう、と。

  CSI:マイアミ シーズン3DVD.jpg 選んだのはシーズン3。
 コンパクトBOX版なのでお値段がそれほど高くないところがありがたい。 全24話収録。
 WOWOWで初回放送を、その後AXNや地上波でも機会があれば観てきた『CSI:』シリーズ。 だいたいシーズン3・4あたりがどれもエピソード的には充実している印象。 勢いが上り坂だから、脚本もよくできている。 キャラクターについても大体完成している。 そしてマイアミのシーズン3は“あれ”だったよなぁ、と大変印象深いのでこれを選びました。
 で、DISC1を観てみた。 おぉ、ホレイショ若いぜ! でも運昇さんの“ホレイショ節”はしっかりできあがっていて、「わぁ、かっこいい!!」とひざをバシバシたたきたくなる。
 いや、それどころかデルコもカリーも若いのである。 アダム・ロドリゲスは今『クリミナルマインド』シーズン14を観てるけど、若手だと思っていた彼も十分なキャリアを備えた中堅になっている、ということに改めて驚く(まぁ、若く感じるのはシーズン3の吹替が竹若さんで、彼の声にはナイーブさが漂っているせいもあるかもしれない)。
 で、改めて見ると「えっ、こんな人が!」という人たちが出ていること。 第2話の脇役として出ているのはチャニング・テイタムでは!、とか。
 さらにびっくりなのは、話が面白いこと。 捜査の過程で遠回りに見えてもしっかり証拠を積み上げていく細かさが伏線と融合している。 実はエピソードも大体覚えているのだが(それだけ印象に残っていたということ。 後半のシーズンは多分あまり覚えてないかも)、飽きない。 「あぁ、こういう話、あったなぁ」としみじみしつつも、忘れている細かいことに「おおっ!」と思わされて、一話だけ観るつもりがDISC1に入っている3話まで一気に観てしまった。 DISC2も観そうになって、「いやいや、もういい時間だから!」と自分ツッコミ。
 事件にかかわる少年がいるといい感じに父性が出てくるホレイショとか、イエリーナ・サレスがまだいるので「あぁ、ホレイショの弟問題、あったなぁ」と思い出したり、シーズン3からウルフが初登場なんだよなぁ、とか、いろいろ懐かしいのでした。
 でもずっと放送版を観てきたので、日本版サブタイトルの出方が超ダサい(放送版と違う)とか、日本語吹替版の紹介テロップがないなどの不満も・・・DVDってそういうところがあるのよねぇ。 字幕と吹替、簡単に比較できるのはいいんだけど。
 とはいえ日本語吹替版の出来がとてもいいので、あたしはそっちで全部観ることになると思うのですが。

ラベル:ドラマ
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2018年09月12日

クリミナル・タウン/NOVEMBER CRIMINALS

 クロエ・グレース・モレッツ好きなんだけど・・・なんかこの映画はやけに地味。 相手役は『ベイビー・ドライバー』で注目されたアンセル・エルゴートなのにあまり宣伝もされてない感じ・・・これはやばい映画なのか?
 まぁ実際原作本はハヤカワミステリ文庫から出ているのだが、「うーん、買うほどではないかな」と本屋の棚にひっこめたのはあたし。
 でも映画だったらいいんじゃないかなぁ、とキャストにつられたんだけど(脚本にはスティーヴン・ナイトの名前もあるし)、これは吉と出るか凶と出るか!?

  クリミナル・タウンP.jpg 真実が潜む場所は、どこだ。
   優等生の親友はなぜ殺された? 卒業の前に僕らは謎を解く。

 高校生のアディソン(アンセル・エルゴート)は流行りのものすべてに背を向け、レトロなもので生きていこうとしている。 スマホは持たずにポケベル、映像はVHSのテープに録画し、大学への願書もEメールに添付ではなく紙にペンで書き、膨大な量になった書類を郵便ポストに投函する。
 そんなアディソンは哲学のクラスで一緒になったケヴィン(ジャリッド・ケンプ)の考え方に感銘を受け、尊敬の念をもって友人になった。
 ある日、アディソンは幼なじみのフィービー(クロエ・グレース・モレッツ)とともにケヴィンがアルバイトしているコーヒースタンド店に寄り、ケヴィンがいかに素晴らしく賢い存在であるかアピール。 ケヴィンはフィービーに、半年前母親を突然の病で亡くしたアディソンのことを気遣う声をかける。
 アディソンとフィービーが帰った後、コーヒースタンドに銃を持った男が突然現れ、ケヴィンを撃って逃走する。 事件を知って現場に駆け付けたアディソンの耳に、警察の「これはギャングの仕業」という言葉が聞こえてくる。 自分の信じる優等生のケヴィンがギャングとかかわりを持つわけがない! 警察は間違っている! アディソンはケヴィンの名誉のために独自に調査に乗り出す・・・という話。

  クリミナル・タウン1.jpg ケヴィンは右側の人。
 確かにケヴィンは賢くていいやつっぽい。 しかしアディソンが・・・『ベイビー・ドライバー』の反動のようにめちゃめちゃ喋る。 うるさいくらいに喋る。 精神的に落ち着かない部分を埋め合わせるために喋るのか、という感じもするんだけど・・・とりあえず、「自分が全部正しいのに、何故まわりはぼくの言うことを聞いてくれないんだ!!」ってオーラが出まくりで、超ウザい。
 そりゃ、警察の態度も悪かろう、曖昧になし崩しにしたいような校長の態度も気に食わなかろう。 しかしアディソンがいたずらに騒ぎ立てることでそれがいい方向に行くかと思えば、逆効果だから! フィービーにはそれがよくわかっており、まずはちょっと落ち着いて、冷静に、と話を持っていこうとするのだけれど、「キミもぼくを信じないのか」的逆ギレ・・・子供か。

  クリミナル・タウン2.jpg たったひとりで悲劇を背負う男って感じで、心底ウザい。
 あぁ、登場人物がこんなに腹立たしいことなんてそうそうないですよ。 演技としてはうまいということなのかもしれないけど。
 で、アディソンがいざ調査する!、となってもレトロ嗜好の彼には同級生との連絡の取りようも、情報収集もできないから全部フィービーに頼り切り。 夜、普通の子は行ってはいけない場所にフィービーを連れていくとか正気の沙汰か?、と思う。 何か起こったら彼女を守れないだろ、お前!(で、実際おたおたして、フィービーは危ない場面を自分で乗り切ってましたよ)
 とにかく、自分の言いたいことしか言わない。 その路線にそぐわないことはまったく聞き入れない。 そのくせ人に簡単に頼る。 なんでこんなあほの子の探偵ごっこに付き合わなければならないのか・・・と映画館の椅子に身を沈めて高い位置で足を組みたくなってしまうよ。

  クリミナル・タウン3.jpg いくら幼馴染みだからって、こんな相手に恋愛感情をなんでもっちゃうのかしら。 フィービー、母性多めの人なの?
 アメリカでは珍しい、彼氏を立てて脇で支える女性像っていうのもなんだか意外で。 彼らが住んでいる町はDCなのだけれど、DCに住んでいるのはほぼ政府関係者って聞いたことがあるんですが・・・(フィービーの母親は実際そういうお仕事のようです)。
 アディソンの父親にデヴィッド・ストラザーン、フィービーの母親にキャサリン・キーナーという豪華キャストも出てるんですけど・・・えーっと、これはミステリーでもサスペンスでもなく青春ものだったんですかね。 クロエ、何故この映画を引き受けた〜。

  クリミナル・タウン4.jpg いざというときも結局彼女に助けを求めちゃうのよ。
 いや、助けを求めることは悪いことではない。 ただ問題なのは、アディソンがフィービーと協力してやるのではなく、アディソンひとりで勝手に暴走して、フィービーには事後報告が多い点(場合によっては報告もなし)。 なんでそれでフィービーが怒らないのか、不思議で仕方ない(怒っているんだろうけれど、長い付き合いで言っても聞かないとわかっているからあきらめているのだろうか)。
 ケヴィンの両親に会いに行ったアディソンが、悲しみ苦しんでいるのは自分だけではないと知って、ちょっとは成長するかと思ったんですけどね・・・暴走に拍車がかかっただけでした。

  クリミナル・タウン5.jpg こんなヤバいやつらに、彼女と一緒に会いに行くな!
 結局、ミステリーにおいて恋愛はストーリーを分断する邪魔要素になってしまう・・・ということか。 恋愛色を強くすると事件そのものが薄まってしまうし、「所詮他人事ですよね」ってなってしまうというか・・・だから、アディソンがケヴィンにこだわる原動力の描写が弱い、ということに尽きるのではないか。 SNSやらない、Facebookもしないアディソンにとって、クラスメイトの裏の顔が存在するということ自体信じがたかったのかも。 でもそれも、自分で決めた<人間関係>だもの。

  クリミナル・タウン6.jpg おとうさん、いい人。
 アディソンの父親はかつては有名な写真家、今は引退しましたという人らしい。 アディソンのためにつてを頼って古い録画テープ(撮影カメラもパスポートサイズよりでかいやつですよ)を取り寄せたりして、息子のためならなんでもやりますな雰囲気。 しかしこのお父さんの気遣い、アディソンには通じているのかどうか・・・。
 大学に進学するためにこの町を出れば、「ほろ苦い思い出」として過去にラベリングされるのか。
 主人公にイライラっしっぱなしで、つかれた・・・。
 やっと辿り着いたエンドロールで、2016年の映画だと知る。 何故この時期に公開? おまけにデヴィッド・ボウイ追悼の献辞。 アディソンの部屋にデヴィッド・ボウイのポスター貼ってあったし、曲も使われていたけど・・・この映画のテーマにデヴィッド・ボウイ関わってましたか? 目的はなに? 監督の趣味?
 いろいろと腑に落ちないことばかりの映画だった。

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2018年09月11日

ナイン・ドラゴンズ/マイクル・コナリー

 勢いがつけば、読み出します。 あの停滞は何だったのか・・・。
 久々のハリー・ボッシュ単独主役作。
 LA、以前暴動が起こった地域で小さな酒店を営んでいた中国からの移民の老人が殺された。 事件の背後には中国の伝統を味方につけた犯罪組織<三合会:トライアッド>の存在があると知ったボッシュに脅迫電話がかかってくる中も断固として捜査を進める。 そんな中、香港に住んでいるボッシュの娘・マデリンが誘拐されたことがわかり・・・という話。
 いつも、<刑事としての生き方・生き方としての刑事>を突き詰めるハリーの、最終回答ともいえる内容となっております。

  ナインドラゴンズ1−2.jpgナインドラゴンズ2−2.jpg ザ・香港!、な表紙。
 娘を探すため、香港に飛ぶ準備をすぐに進めるハリー。 そこからはハリウッド映画ばりの怒涛の展開。
 久々の登場であるボッシュの元妻エレノア・ウィッシュに対する感慨を持つ暇もなく急展開。 外国人にとって中国本土に比べたら多少の自由度がある香港という舞台にした意味は、それでもやはりここは異文化の地であるから、ボッシュのやり方が通用しない場所で最大の苦難に立ち向かうということ。 当然、地元警察の協力も得られないし、言葉だって通じないし。 それでもエレノアの今の恋人というハリーにとってよろこばしくない相手と協力し、信頼するところまでいくのは男同士の複雑な友情というものが垣間見えて興味深かったです。
 ロスに戻ってからのボッシュを襲う最大の危機(香港警察)に対しても、ボッシュはなんとミッキー・ハラー(弁護士)を起用する!
 弱みは見せない男、借りは作らない男がミッキーに電話! ある種のエポックメイキング!(ハリーとミッキーは異母兄弟なのです。 そしてミッキーが本妻の子) なんだかんだありつつも、ボッシュはミッキー・ハラーを信頼しているのか・・・とわかるエピソードには感無量です。
 しかしそれだけでは終わらない。 ハリーは「もう現場の刑事は無理だ」と過去の事件で撃たれたことにおびえ、一人で現場に出たがらない、オフィスで書類仕事をしていたいある刑事に引導を渡す。 それはハリーが考える<刑事という生き方>にそぐっていないから。 そうではない考えもあるだろうが、ハリーは事件解決のためになんでもする男で、自分の身の危険をかえりみたことはない。
 事件そのものは突き詰めれば地味なのですが・・・これが<ハリー・ボッシュという生き方>。 だけどそれと<父親という生き方>はうまく並走できるのだろうか。 この先、それが心配です。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする