2018年08月04日

インサイド/INSIDE

 夏のホラー映画が減った。
 もともとアメリカのホラーシーズンはハロウィーンだが、だからこそ大作やシリーズものではない掘り出し物を日本で公開するにはいいタイミングなはずだが・・・時期的に夏休みは大作が多いので、その前か8月終わりぐらいになってしまうのは仕方ない(今年でいえば、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はホラーと言えないこともないが)。 本作は数少ない夏のホラー映画である、という印象だけで観に行ったので、前知識は全然なかったのだが。

  インサイドP.jpg この恐怖は聴こえない。
   未体験の緊張感が襲うエクストリーム・シチュエーション・スリラー

 サラ(レイチェル・ニコルズ)は出産を間近に控えた身で、愛する夫とともにその日を待ち望んでいた。 しかしある日、突然の交通事故で夫を失い、自分自身も聴力に問題が残った(さいわい、補聴器があれば支障はないし、胎児も無事だった)。 とはいえ夫を失った悲しみは耐え難く、郊外の家でこれからたった一人で子育てをする自信もなく、不安に押しつぶされそうに。
 そしてクリスマスの夜、見知らぬ女が家を訪ねてきた。 サラはその女のことはまったく知らないが、その女(ローラ・ハリング)はサラのことをよく知っているようだ。 彼女は家に侵入してきて、サラから子供を奪おうとする・・・という話。

 冒頭で「アメリカでは乳児誘拐は年間〇〇件、そのうち10%は胎児の状態で奪われる。子供を奪われた母親(つまりおなかを切り裂かれるから)の10人のうち9人は命を落とす」的な意味合いのテロップが流れて、ぞっとする。 ドラマ『プライベート・プラクティス』にそんな場面があったが、あれってリアルな話だったのか! いくらなんでもそれはちょっとやりすぎ、と思っていたのに!
 そんなわけで「狙われているのは胎児」ということは最初からわかっているので・・・いわゆるホラー映画の段取りが全部整うまでの過程がとても怖い。 お風呂に入るサラが補聴器を取り外すだけで「その間に何か起こったらどうする?!」とものすごくハラハラさせられる。 また謎の女が誰なのかまったくわからないところもおそろしい。
 ドアを挟んでの攻防は、突き刺さるナイフの先端があたかもサメの背びれのように見えて、はっとさせられる。 また「自分から部屋に閉じこもる」ことと、「意図せず部屋に閉じ込められる」ことは現象としては同じことなんだけどこんなにも重みが違うとは。 舞台はアメリカなんだけど、アメリカンホラーっぽくないニュアンスがあって興味深い。
 条件がしっかり揃ってからは(あぁ、この人は殺されるな、という人たちが出てきてからは)、まぁ普通のホラー映画っぽくなってしまいますが、見せ方が面白くて最後まで飽きなかった。 まぁ、さすがに中盤以降は謎の女の正体というか行動の理由は推測できてしまうのですが、それは仕方ないかと。 出産そのものをモチーフにしたラストの攻防は、ストレートすぎてびっくりしたが(あたしは「感染症になるぞ!」と別の意味でドキドキしたが)、ある意味、それがテーマであろうし。
 監督や主なスタッフがスペイン系の名前だったので、アメリカ的ではないホラーテイストに納得。 スパニッシュの勢いは衰えない!

posted by かしこん at 19:26| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする