2018年06月24日

羊と鋼の森

 悩みましたが、観てみることに。 原作ではいまいち不完全燃焼だったピアノの音を実感したくて。 それに憧れの調律師の役が三浦友和だというのはかっこよすぎだろう、と思って。

  羊と鋼の森P.jpg たかが、一つの音。たった、一つの音。
   ピアノ調律師は心の声に寄り添い、探し求める。森の中を。

 北海道の原野に住み、そこが世界のすべてだった高校生の外村直樹(山崎賢人)は、先生に頼まれて“お客さん”を体育館に案内することに。 帰ろうとしたところ、ピアノの音が外村を足止めする。 彼はピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)であった。 板鳥の出す音に森の香りを感じた外村は、調律が進むごとにはっきりと森を感じることに驚愕。 その場で弟子入りを志願する。
 東京で2年間、専門学校に通った外村は調律師見習いとして地元に就職。 そこは板鳥がいる楽器店だった・・・という話。
 冒頭の<外村くんが体育館で森を感じる描写>があまりにも高校演劇的だったので「大丈夫か!」とハラハラしたけど、そのあとはなんとか持ち直したというか・・・やらかすのは最初のほうがあとからのフォローがきくのか?

  羊と鋼の森1.jpg というか、途中は「柳さん、かっこいい!」になってたかな。
 外村くんの職場には、他に調律師の先輩である柳さん(鈴木亮平)と秋野さん(光石研)、事務担当の北川さん(堀内敬子)がいて、お客さんの要望に応じてお店や家庭にあるピアノを見て回る。 外村くんは柳さんに同行し、現場を知ることになる・・・というわけで、無口な外村くん(心の中はナレーションで展開されるけど)に対して直接指導し、先輩として行動を示す柳さんがやたらかっこいいのです!
 またみなさんの服装が・・・“メンズ・リンネル”的な、オーガニック・コットン100%、ときどき天然ウール、みたいな素材な服ばかりなのでそれがすごく気になっちゃって。 ナチュラル感をそこまで出しますか、と。 でもそれ故に、鈴木亮平のスタイルのよさが際立つのでした。

  羊と鋼の森3.jpg 上白石姉妹を同時に観たのは初めて。
 もともとは柳の顧客である佐倉家で、外村は和音(上白石萌音)と由仁(上白石萌歌)の姉妹に出会う。 姉妹なれど二人の奏でる音はまったく違い、外村は和音の音に惹かれる。 コンクール等では由仁のほうが上位に行くことが多く、実際彼女の音のほうが華があるように聴こえるのだが。 で、実際の上白石姉妹も妹のほうがぱっと派手(?)な印象で、あたし自身は姉のほうを見慣れているだけに、なんか驚きました! 佐倉姉妹はこのふたり以外キャスティングしようがないよね!、というくらいはまっていて(勿論、それぞれの役作りもよかったのだろうが)、この姉妹がらみのシーンはほっこりしました(たとえ外村くんが最初に調律師として大きく躓く場面があったとしても)。 このふたり、10年後(いや、5年後でも)には一体どうなっているのやら、という期待が生まれてしまいますよ。 『舞妓はレディ』から何年たったっけ? 姉の成長ぶりを見てきただけに。
 他にも、ちょっとの登場ながらずっとピアノをほっぽりっぱなしにしていた森永悠希のエピソードにもちょっと目頭が熱くなったりして。
 監督が若い役者を使うのがうまいのか? 若い役者がうまいのかどっち?

  羊と鋼の森2.jpg いつの間にか外村くんの腕時計が左から右へ。 それが調律師として成長した証?
 映画としては結構長いんだけど(134分だ!)、説明がかなり最小限というか、こっちが知りたいことと描写されることに誤差があるというか。 外村くんの腕時計の位置が変わったきっかけや理由も描写されないし、柳さんや板鳥さんが最初から時計を右にしていることに気づかなければわからないままで終わってしまうのでは。 せっかくピアノ内部をしっかり描写してくれているのだから、そういうところも描いてほしかったかな。
 そう、ピアノの音だけでなく日常の生活音もこの映画では重要なものなので、全体的に静かな映画です。 音がする食べ物はさけることをおすすめします。
 あと舞台が北海道ということで・・・ちゃんと北海道でロケしました!、のがわかるのはうれしかったですが、あの楽器店のつくりでは楽器に結露しないか心配になっちゃいましたよ。

  羊と鋼の森4.jpg やはり三浦友和、かっこよかったけど・・・。
 若干類型的な感じがしないわけでもなく・・・「若者から見た“素敵な大人”ってこういう感じですよね!」の枠から出ていないというか。 なんかもったいない。
 意外と外村くんの成長物語というよりも、彼自身はあまり変わらず(勿論、成長はしているのだが)、むしろまわりの人々の触媒になっているような印象。 だから外村くんを主役と考えると「こいつ、何考えているかよくわからんし盛り上がりに欠ける」んだけど、外村くんと出会った人たちがどう成長し、どう未来を選択するかの物語だと思うと結構じんわりしみてくるというか。
 エンディングにかかるピアノ曲が「あ、いかにも久石譲!」なメロディーで、それでエンディングだとわかるという。 それだけラストシーンも弱いんだけど、彼らの日常はこれからもずっと続いていく、この映画はその一部を切り取ったものです、という意味とも受け取れ。
 ほんの一時でも楽器と生きたことがある人ならばなんだかんだ言ってきらいになることはできない、そんな映画かもしれない。 あたしも昔、ヴァイオリン弾いてたことがあるのでいろいろ思い出しました。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする