2018年06月08日

モリーズ・ゲーム/MOLLY’S GAME

 アーロン・ソーキンの脚本は台詞が多い。 ほぼ会話劇といってもいいくらい。 ジェシカ・チャステイン主演ということでつられたけど、実はアーロン・ソーキン初監督作でもあるという。 えっ、初めてじゃないでしょ!、と思ったけど「映画としては初めて」ということらしい(そうか、『ニュースルーム』はテレビドラマだもんな)。

  モリーズ・ゲームP.jpg セレブを虜にしたのは、華麗なる破滅。

 2002年、女子モーグル北米3位のモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、冬季オリンピック出場予選最終戦を前にした心境を語る。 それは現在・2014年からの回顧で、自伝を出版しサイン会を控えて眠れぬ早朝、突然FBIに踏み込まれて逮捕される。 違法賭博運営の容疑だが、彼女は同じ罪で2年前に逮捕され、全財産を没収されていた。 「何かの間違い。 あれ以来まったくやっていない」と言うが勿論FBIが聞き入れるわけもなく、弁護士を探すが世間から<ポーカー・プリンセス>というイメージを持たれている彼女に勝ち目があると思うものは少なく、つてを頼ってチャーリー・ジャフィー(イドリス・エルバ)に辿り着く。 彼は弁護士の中でも清廉潔白で妥協もしない男だと有名だったから。 チャーリーはモリーをタブロイド紙の報じるイメージで見て依頼を断るが、彼女を知るにつれ「何か違う」と感じるようになる・・・という話。
 やっぱりすごく台詞が多い、映画自体も140分。 モリーのナレーションも多弁で、更にそれぞれの会話も長い。 ポーカーについてだけでなく、「手数料をとらなければポーカー場を提供することは(参加者がどれだけ高額の現金をかけようとも)違法ではない」というアメリカの法律とか、ポーカー場の運営方法とかいろいろ複雑な要素もあり、絶対字幕追いついてない!

  モリーズ・ゲーム2.jpg 面白かったんだけど、詰め込みすぎ感もあり。 WOWOW放送時には吹替版も観たいものです。
 ジェシカ・チャステインはまたもや孤高の女(プライドとプレッシャーの狭間で薬物依存になっちゃうようなあやうさあり)。 でもこれは割と最近の実話ということで、実在のモリー・ブルームへの配慮なのか「2014年現在」以降のことは描かれない。 エンディングに「その後」ってテロップが出るのが実話もののたのしみのひとつなのだが・・・。
 イドリス・エルバは『ダークタワー』とも『マンデラ 自由への長い道』とも違い、職人肌の知的な弁護士をかっこよく演じ、むしろ『フレンチ・ラン』のCIAエージェント役の方を思い出す(あれも自分の信念で動く職人的な役柄だった)。 おまけに幼少時からモリーをビシビシ鍛えてきた父親はケヴィン・コスナーなのである。 豪華キャストだ!

  モリーズ・ゲーム4.jpg 初めてのポーカーナイト。
 スキー一筋でオリンピックを目標にしてきた若きモリーは大学を首席で卒業し、ハーバードのロースクールに進む資格を得ていた。 しかし思わぬことで夢破れた彼女はロースクール進学を一年延期し、アルバイトをしながら新たに知る社会の仕組みに夢中になる。 そしてアルバイト先のボスからポーカーナイトのアシスタントを頼まれたことで、高額ポーカーの世界に触れる。 客層は様々だが共通するのはみなお金持ちの有名人だということ。 ハリウッドスターのプレイヤーX(マイケル・セラ)ともそこで知り合う。 別にポーカーにこだわりがあったわけではないと彼女は語る、たまたまタイミングで出会っただけにすぎないと。 
 でも、場の空気を読み才気を競うポーカーは、どこかスポーツに通じる。 その場を支配する立場に身を置くことは、モリーにとって非常に魅力的だったのでは。 緊張感に神経を擦り減らすことになっても続けたのは、プレイヤーがポーカー中毒なのと同様ホストという役割を演じることに依存してしまったからでは。
 厳格な父親、その期待に応えている優秀な弟二人がいるモリーにとって、たとえ人生の休暇中であってもなんらかの形で自己実現せずにはいられなかったんだろうなぁ・・・と思うとモリーが頑張れば頑張るほど見ているこっちは痛々しい気持ちになってくる。 もちろんそこには彼女なりの信念があるのだが、それがまた他人にはわかりにくい種類のもので。
 思えば、弁護士チャーリーの娘が課題として出されたアーサー・ミラーの『るつぼ』が、この物語の象徴だったのだ。

  モリーズ・ゲーム1.jpg ケヴィン・コスナーかっこいい!、んだけど、自分の父親がこういう人だったら娘としてはめんどくさいな・・・というキャラではある。
 なんで素直になれなかったんでしょうね、という話でもあり・・・親子関係の難しさは世界共通なのか(その難しさも程度問題であり、あっさりクリアできる人たちも世の中にいることはわかっていますが)。
 失ったものも大きかったけれど、この苦境で彼女が得たものもあり、次のステップへ進む通過点(先は未知数だけど希望はある)として描いたところは変則的なれども青春映画の香りもあって。 ジェシカ・チャステインが出るのならば大きく外れることはないであろうという期待はやはり裏切られない。
 実際のモリーのポーカー場にはレオナルド・ディカプリオやトビー・マグワイア、ベン・アフレックらが出入りしていたそうだが・・・プレイヤーXはそんな人々の集合体なのかな?、とか想像するのもちょっと面白い。 でもやっぱりギャンブルは怖いよ!、という話。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする