2018年04月19日

レッド・スパロー/RED SPARROW

 あぁ、ジェニファー・ローレンスったらまたこんな役を・・・というのが予告を見たときの印象。
 いや、強い女なのはいいんですけど、お色気がらみというかセクシー寄りの役が多くないですか!、と、まだ無名時代から「この子、いい!」と思ってきた身としてはちょっと心配というか、そういうのにいかなくてもあなたは十分うまい人でしょう!、というか。 でもそういうお年頃なのかもね、カラダを張った役に挑戦するのにいいタイミングというか(カラダを張る訳を下に見ているわけではないのですが・・・これもまた近所のおばちゃん的感覚か?)。

  レッド・スパローP.jpg 私は、国家の美しい武器。

 ボリショイ・バレエ団のプリンシパルとして活躍していたドミニカ(ジェニファー・ローレンス)だが、本番中の事故で足の骨を折り、プロダンサーとしての復帰は絶望的となった。 しかし彼女の母親は病気で、住んでいるアパートはボリショイの団員だから与えられたものなのでしばらくしたら出なければならない。 そこにロシア情報庁の幹部である叔父・ワーニャ(マティアス・スーナールツ)が救いの手を差し伸べる。 不意打ちのテストに合格したドミニカはスパイ養成学校へ送られ、人の心を操る術を身につける特別なスパイ“スパロー”としての道を歩き出すことになる・・・という話。
 プリンシパルのときの相手役がセルゲイ・ポールニンだったんですよ! なのに超出番少なくて、もったいない!(まだハリウッドでは彼の知名度はそこまではないのか?) まぁ他にも豪華キャストだし、お金かかってる感が半端ない。
 でも時代がよくわからないんですよね・・・ソ連ではなくロシアだし、情報を盗み出すのに使うのはフロッピーディスクなんだけど、スパイ学校の教官(シャーロット・ランプリング!)は「アメリカ国民はSNSに興じて堕落している」というし(でもここは字幕の意訳のせいかもしれない。 英語のセリフではもうちょっと違うニュアンスだった)、PCのOSはWindows98よりも新しいやつだったような・・・。

  レッド・スパロー1.jpg 送り込まれた候補生たちの服装は必要最小限の粗末なもの。
 現代のロシアは富裕層もいて不動産の売買も自由だというし・・・ソ連時代ならわかるんだけど、時代の測定にちょっと振り回されました。 気にしなきゃいいことなんですけどね。 まぁ、ロシア側を描きながら台詞は英語だし、ロシア情報局の上層部はジェレミー・アイアンズやキアラン・ハインズといった渋い英国人俳優さんだし、マティアス・スーナールツだけロシア人っぽく見えるんだけど(『フランス組曲』でもソ連人将校やってたけど)、確か彼はベルギー人なんだよな・・・微妙に顔の雰囲気がプーチンに似てるから? 本当のロシアの現状は勿論わからないけれど、アメリカ側視点でつくられた映画である、ということも考えに入れとかなきゃ。

  レッド・スパロー5.jpg 母親のため、地道な努力を。
 そう、病気の母親がいなかったらドミニカは亡命すればすんだ。 ボリショイ・バレエの元プリンシパルだもの、本人が前のように踊れなくても指導者の道とかあったと思う。 でも彼女が望んだのはこの道で、でも誰にも自分を勝手に利用させないという鋼鉄の意志が秘められているのが彼女の全身から伝わる。 それこそジェニファー・ローレンスの真骨頂! フルヌードになっても全然エロくない(誉め言葉)。 でもそれ故にネタバレというか、どんでん返しあるんだろうなとわかってしまうのはいいのか悪いのか。 途中で読めたけど、それでも最後まで緊張感が途切れず、あたしは面白かったです。
 成績優秀故、養成学校のカリキュラム途中で現場に出されちゃうところなど、最前線も人手不足というリアリティがあります。 彼女のターゲットは、CIAの捜査官ネイト・ナッシュ(ジョエル・エドガートン)。 彼はロシア側の“モグラ”(二重スパイ)から情報を得ているとして、誰が“モグラ”なのかを探り出すのが任務。

  レッド・スパロー2.jpg ターゲットが金髪好みと知るとすぐに自分を変える。
 同じロシア側のスパイ“スパロー”同士でも信頼できないどころか、派遣先の上役すらも信用できないという孤独。 スパイの宿命といえばそれまでですが・・・ナッシュと接触する場所がハンガリーだったり、ロシア以外に出入りする国が主に東欧なので(ナッシュの身元はロシア側にばれているので入国できない)、街並みからも時代がわからない。 「裏切者は誰か」を探るための丁々発止の心理戦は、『裏切りのサーカス』に近いリアルなスパイ像。 拷問シーンもたっぷりあって、さすがR+15の容赦なさ(でもあたしがいちばんひるんだのは、ステージ上で足が折れたところだ・・・)。

  レッド・スパロー3.jpg スパイ同士の会話はどこまでが本心なのかまったくわからない。
 ドミニクとナッシュは恋に落ちる・・・感じなんですが、それもどこまで本当なのか、という部分もハラハラ。 本気になってたらドミニクがつらいし(ナッシュはどうも本気っぽいとわかるのだが)、でもそう見えてないと相手は騙せないし・・・ドキドキでした。 久し振りに、手に汗をかいた映画かも。 ジョエル・エドガートンはあたしの好みではないので彼女が恋する気持ちはよくわかりませんが、同じ立場にある者だからこそ通じるものがあるのだろうし、ハンサム相手にバレエをやっていたのだから見かけにはとらわれないのかも。
 それにしても・・・最後まで気になったのはドミニクの母親の気持ち。 亡き夫の弟がワーニャなんだから、娘がどんな目に遭っているのかわかるはず(実際、そういう台詞もあった)。 それでも娘にそうさせているのは・・・そういう状況の中で生きていくことを当たり前だと思ってしまっているからなのか? 実はいちばんしたたかなのはこのお母さんではないのか、と思ってしまいました、すみません。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする