2018年04月16日

悪魔の星/ジョー・ネスボ

 下巻に入ったら、更に加速度がついて一気に読み終わってしまいました。
 『コマドリの賭け』・『ネメシス 復讐の女神』・『悪魔の星』と、<ハリー・ホーレシリーズ>の中でも重要パートである“オスロ三部作”がこれにて終結。 とはいえ、あっさり大団円とはいかないところがこのシリーズらしいところ。
 『ネメシス』で描かれた時期から約一年後、『コマドリの賭け』からは約三年後、ハリーは解決すべき事件の真相に近づきながらも立証ができず、無力感から再び酒浸りの日々に陥っていた。 あれほど熱烈な関係であったラケルとの仲も破綻寸前。 以前の相棒であったベアーテ・レンは今では鑑識課員になっている。 オスロ警察内部はトム・ヴォーレル警部が仕切っており、上役の中で唯一ハリーの味方である刑事部長メッレルもとうとうかばいきれず、ハリーに引導を渡すべき時期が来たように思い悩んでいた。
 そんな中、女性の惨殺死体が相次いで見つかる。 すべてから星形にカットされた赤いダイヤモンドが発見され、連続殺人ではないかと戦慄が走る。 オスロ警察で、シリアルキラーと対峙した経験を持つのはハリー・ホーレだけ。 事件解決まで免職処分が猶予されたハリーは、アルコールの誘惑と戦いながら犯人を追う・・・という話。

  悪魔の星1.jpg悪魔の星2.jpg 五芒星が逆の意味が途中でわかる。
 角二つが上部に配置された五芒星は、別名<悪魔の星>というそうである。 逆さ十字と同じような意味合い?
 『ネメシス』のラスト1ページで盛り上がったことも、結局ハリーはいかしきれず、ガンガンアルコールに溺れて仕事どころか日常生活もままならない姿を見るのは・・・つらいです。 彼が立ち直るためには3年前の(彼にとっての)未解決事件にケリをつけることが必要なのだが、しかも真相に実は迫っているのに証拠が足りなくて(そしてこれまでのハリーの素行故に信用してもらえなくて)、落とし前がつけられないのが問題。 それでもがんばってはいるんだけどさ・・・。
 しかしそんなグダグダなハリーを結果的に支えるのが連続殺人事件の捜査というのが・・・なんというか、ハリーの刑事としてのサガというやつなんでしょうか。
 連続殺人犯を追い詰め、オスロの裏社会の総元締めをも追い詰めるハリーだけれど、相変わらずダメな面も。 罠だと感じながらも完全に読み切れなくて何度も危機に陥ったり、友人を巻き込んでひどい目に遭わせるのは完全に彼の失態です。
 それにしても裏の存在を描く筆致のワクワクしている感じ! 悪役が魅力的に描かれれば描かれるほど主人公が引き立つということでしょうか。 そっちの対立が結構な分量を使っていて、連続殺人の方はお留守になりそうでありながらなっていないところがすごい(このエピソードだけで普通は一冊になるくらいなのに)。 それにしても、裏社会が効率的に広まれば広まるほどそっちの世界で知り合いが増えていく−いつか表で会ってしまう確率が高くなる、というのもよく考えれば当たり前なんだけど、それはそれでご苦労なことだ、と感じてしまう。
 ハリーは警察を辞めなそうだけど・・・ラケルとの関係はどうなるのか(むしろラケルの息子オレグとの関係のほうが興味深い)。
 でも、一応ここで一段落したので(今のところあと2作しか邦訳が出ていないので、読み始めたらすぐ追いついてしまう)、ジョー・ネスボ(というか、ハリー・ホーレ)もいったん休憩かな。 今度はノンシリーズの方を読もうか。

posted by かしこん at 22:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする