2018年04月12日

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書/THE POST

 実話もの、好きですが・・・最近しみじみ多いよなぁ。 まぁ映画で歴史を学ぶ者としてはありがたいですけど、豪華キャストですし。 でもニクソン政権時代の話がこうやって掘り起こされるのは、「トランプ政権への牽制球」ってやつなのかしら。
 なのにいきなり1966年のベトナムの場面から始まって面食らう。

  ペンタゴン・ペーパーズP.jpg 「今」を弾丸のように撃ち抜く、真実の物語――

 マクナマラ国務長官(ブルース・グリーンウッド)の指示により、政府出資のシンクタンク・ランド研究所のアナリスト、ダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)はベトナム戦争の現場に2年間海兵隊員として参加する。 彼の報告によりベトナム戦争はマイナスの多い失策だったとマクナマラは理解していたが、それを発表することはなかった。 エルズバーグの報告書は“ペンタゴン・ペーパーズ”として機密扱いだが、エルズバーグ本人がコピーをとってこっそり保管した。
 そして1971年、終わりが見えないベトナム戦争に対して反戦運動が巻き起こる中、<ニューヨーク・タイムズ>が“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をすっぱ抜く。 それを知った<ワシントン・ポスト>の編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、ここが地方紙とみなされているポスト紙が全国紙になるタイミングだと踏み、情報源を探らせる。 が、国家機密漏洩の罪で時のニクソン政権が<ニューヨーク・タイムズ>を刑事告訴、同じネタを後追いすれば<ワシントン・ポスト>も訴えられることになる。 記事を掲載するかどうかの決断は、社主であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)にゆだねられる・・・という話。

  ペンタゴン・ペーパーズ1.jpg そんなわけで基本、この二人がメインですが、意外に一緒の場面が少ないかも。
 キャサリンは社主とはいえ、夫が急死したためにその跡を継ぐことになったいわゆる「形だけの社主」。 身内の中ではそれほどでもないけれど、出資者や銀行家の前でワシントン・ポストの意義を語らなければいけないような正式な場ではつい気後れしてしまうその時代の典型的な女性。 「メリル・ストリープなのに」と思いながら観ていても、キャサリンはほんとに自信なさげな人に見えるのがなんかくやしい。 ほんとにうまいのね、と納得。
 その点、ブラッドリーの背景はあまり描かれず(他から引き抜かれてポストに来たらしいことはなんとなくわかるけど)、トム・ハンクス的に不利だったかなぁ。 自信過剰気味の傲慢男の姿で編集部を仕切りながら、奥さん(サラ・ポールソン)のアドバイスに素直に耳を傾けてすぐアイディアや行動に移すキュートなところもあるんだけれど、見せ場としては後半に偏っているから。
 それにしてもブルース・グリーンウッドやマシュー・リス(『ブラザーズ&シスターズ』のケビン役!)が不意に出てきたので「あっ!」と声を上げそうになってしまう。 バイプレイヤーの方々は突然出てくるから(ポスターに名前があったりなかったり)動揺します。

  ペンタゴン・ペーパーズ5.jpg <ニューヨーク・タイムズ>に抜かれた後。 新聞の早刷りを手に取る姿にはなんだか郷愁が感じられます。 ネットニュースのほうが先に更新される今ではもう見ない風景。
 他にも、大量の新聞が印刷され、完成品が束ねられていくまでの工程が映像に残され、これもまた歴史の記録なのかな、と感じたり。
 てっきりこの映画も<ウォーターゲート事件>に関係するのかなと思っていましたが(結果的にはつながるんだけど)、その前日譚という位置づけというか、時間的な配置でした。
 ポイントは、「国家機密漏洩という罪」と「真実を報道する自由」との闘い。
 前者は今では愛国法という形でより強固になっているけれども、報道の自由はどうなっていますか(権力の圧力に負けずにきちんと報道してますか)、というスピルバーグからの問いかけ&応援歌なのかなぁ、という気が。 なんだかんだ言って忖度しない確固たるジャーナリズムの存在がアメリカです、という。 そしてマスメディアとは政治の監視役であり国民に情報を明らかにする媒体である、という基本中の基本。
 なるほどね、この闘いがあったから、ディープスロートは情報提供先に<ニューヨーク・タイムズ>と<ワシントン・ポスト>を選んだのか、ということがよくわかり。 しかも<ウォーターゲート事件>発覚の予兆で終わらせるという心にくさ。
 これ、多少なりとも事情が分かっていないと意味がわからないと思うんですが・・・ハリウッド映画とはいえ、やはりアメリカ人向けなんだなぁ。 この続きが『ザ・シークレット・マン』であり『大統領の陰謀』なわけですね、特に新聞社視点ということでは『大統領の陰謀』へ進むべき、というスピルバーグからの過去名作への案内状ですか。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする