2018年04月09日

トレイン・ミッション/THE COMMUTER

 『ダークマン』の続編を蹴ったくせに、今後はシリアス演技派に集中したいと言っていたのに、何故その後結局アクション映画に出続けるのか?、ということがずっと納得のいかないあたし、いつまでもリーアム・ニーソンにわだかまりが。 とはいえそういいながら彼の出ている映画を観てしまっているのだから、もはや好きなのかもしれず(いや、『ダークマン』のときはすごく好きだった。 だから裏切られたみたいな気持ちを抱えているのかも。 キャリアがどうなるかなんて、先のことはわからないのにね)。 しかも共演者なり設定なりがまたそれなりに魅力的なのが困ったもんで、『アンノウン』以来4度目タッグとなるジャウマ・コレット=セラ監督との新作とあれば、そりゃチラシが手に入らなくとも、予告編も見てないけど観に行きますとも。
 ジャンルとしてはアクションものに入るけど、サスペンス・ミステリーとしてもそれなりに成立しており、意外と楽しめました。 というか予想以上に、面白かった!

  トレイン・ミッションP.jpg この謎が、解けるか?
   いつもの通勤電車 駅の数だけ乗車してくる≪謎≫と≪伏線≫
   乗客100人の中から1人を捜し出せ!!

 マイケル(リーアム・ニーソン)は郊外の家からニューヨークの保険会社に電車通勤するサラリーマン。 今の仕事に転職して10年、60歳になった。 家のローンや息子の学費など頭が痛いが、もう少し働けば企業年金がもらえる。 が、その朝、年下の上司から突然解雇を言い渡され、お先真っ暗な気持ちに。 以前の仕事の後輩マーフィー(パトリック・ウィルソン)と酒場で飲み、かつての敵対相手ホーソーン(サム・ニール)が出世したことを聞かされて余計やりきれない気持ちに。
 そしていつものように電車で帰宅する彼の前に、ジョアンナと名乗る謎の女(ヴェラ・ファミーガ)が座り、簡単なパズルを解けば10万ドル報酬を出すと持ち掛ける。 これからいう3つのヒントをもとに、この列車の乗客の中からあるカバンを持った人物を捜し出すこと。 信用できないだろうから先払いの2万ドルをお手洗いに隠してあるから受け取りなさい、と言って去る。 果たして確かにお金はあり、受け取ってしまえばこの取引に乗ったことになるが、家族のことを思いマイケルはお金を自分のカバンに入れて・・・という話。

  トレイン・ミッション1.jpg 謎の女がヴェラ・ファミーガというだけでもうずるい!
 なにしろ予備知識があまりなく(映画館の「公開予定ラインナップ」に載っていたことくらい)、それがかえってよかったのだけれど、オープニングクレジットに浮かぶ名前にも「えっ、この人も出るの!」という驚きがあってワクワク。 「期待しないこと」って大事だなぁ、いろんな意味で。
 オープニングの、10年間毎日のように同じことを繰り返していることを示す出勤風景描写はわかりやすいが、スタイリッシュとダサいのぎりぎり線上にあり、この映画そのもののスタンスを現しているかのようだ。 ま、『アンノウン』も『フライト・ゲーム』もその傾向にあったけど(『ラン・オールナイト』はまだ観ていないけど、多分そうかな?)。
 今回の原題は<通勤者>の意。 また、あたし自身も中距離電車通勤者なので、なんかちょっとわかる感じがしないでもなく、微妙に感情移入しちゃったかも(でも車両内の座席のつくりは日本のと全然違い、近距離乗る人と長距離乗る人とで分けてあるのが面白かった)。
 彼が出るアクション物としては、
・基本、本人にトラブルを起こす気はない
・なのにいつの間にか奇妙な状況に巻き込まれてしまう
・焦れば焦るほど泥沼に
・でもなんかがんばってしまう
 という流れがあって、「一応普通の人がなんでこんな目に?」という不条理さがなければならない。 そうでなければ彼がわざわざアクションする意味がないからだ(つまり、どうしようもなくてそうなってしまう、という必然性が必要)。 なので『ラン・オールナイト』は最初からマフィアがらみという設定だったので観る気が起こらなかったのよね(またマフィアのボスがエド・ハリスって!)。
 まぁ多少の説得力として「元刑事」という設定がわかりますが・・・かといって特殊能力があるわけではなく、元刑事ならではの勘の鋭さと武器の扱いに多少慣れている、というくらいで。 普通の枠からちょっとはみ出たおじさんが、突然のことに否応なく対応せざるを得ない、という図式に今回も当てはまる。

  トレイン・ミッション3.jpg 基本、列車の中だけで起こる出来事だけど、駅に止まって様々な客が昇降することがサスペンス度を高める。
 また、いつも乗っている客はお互い顔見知りで、車掌さんも「常連」扱いしているのが奇妙な連帯感を生んでいる面白さというか、実際は個人的なことは何も知らないのに毎日会っていると知っている人のように思えてしまう感覚(実際、アメリカ人だからちょっとした会話をしたり、トランプしたり本の貸し借りもしている! 勿論、ファーストネームは知ってるよ)。 会話はないが日本の通勤電車も大体同じ時間の電車の同じ車両に乗るから、見たことある人はいますよね。 向こうがこっちをそう思っているかどうかは確認できないけど。
 で、そんな中でのマイケルの葛藤が光るわけです。 常連のみなさんも、次第に募るマイケルへの不信感とこれまで知っているマイケルへの信頼に左右される様子がいかにも普通の人たちっぽくて好感が持て、「もし自分もこの列車に乗っていたらどうするか」と考えさせられてしまうのだ。

  トレイン・ミッション5.jpg サム・ニールにいたってはひげ面で登場し、まるでかつて彼が副官をつとめた『レッド・オクトーバーを追え』の艦長(ショーン・コネリー)のような渋さを漂わせているじゃないか!
 あぁ、かっこいいよぉ。 仮に悪役だとしてもかまわないくらいかっこいいわ!、と思ってしまった(だって、サム・ニールがこういうポジションで出てくるときは悪役かそうでないか両極端なんだもん)。 そこもあたしの個人的に満足度の高い理由かしら。
 そういえばヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンは『死霊館』コンビであるが、この映画では直接共演シーンはない・・・キャスティングの遊びゴコロ?
 全体として、サスペンス・ミステリーとしての面目は保っているものの、結構力技の部分も・・・(ちょっと『暴走特急』を思い出す部分もあり)。 そのかわり、乗り合わせた乗客たちの交流・人情や両親と言った部分に比重を置いているような感じで、「なんかハートウォーミング系?」と思わされてみたり(いやいや、とんでもなくあっさり人が死んだりもするんだけどね)。
 消化不良は否めない部分もあるんだけど・・・何故かラストには不思議な爽快感が。
 ちょっとした人生の再生、を目の当たりにするからかしら。
 リーアム・ニーソン主演のアクションサスペンス映画がつくられる原動力って、それなのかもなぁ。 もう結構いいお歳なのに落ち着くことができない人々への応援歌的な。
 エンドロールが路線図みたいになっているのも気が利いていて、ニヤリとさせる。 遊びゴコロ、満載ですねぇ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする