2018年02月14日

DESTINY 鎌倉ものがたり

 どうせしばらく上映されるだろうから、と思って後回しにしていた(で、『オリエント急行殺人事件』を先に観に行った)。 そうこうしているうちに風邪をひき、「年末年始休暇中にまとめて映画を観る」という予定はすべて台無しに。 ミニシアター系の映画、かなり逃しました。 それでも、「この映画、どうしても観ておかないと!」とまでの気持ちが起きなくてだらだら先延ばしにしてしまったのは、上映時間が昼間になってという問題もあれど、あたし自身が山崎監督にそんなにひかれていないからなんだろうなぁ、と思った(すみません、『ALWAYS三丁目の夕日』とか、苦手です)。 でも堺雅人は好きなんだよな〜。 『とと姉ちゃん』見てたから高畑充希も好きだし。
 と、そんなときに不意にハーバーランドでレイトショー枠に復活。 このタイミングを逃したらもうきっと次はない。
 仕事終わりに、走って観に行きました。

  デステニーP1.jpg わたしが嫁いだ先は、摩訶不思議な町でした。
  デステニーP2.jpg 愛する妻の命を取り戻すため、夫は黄泉の国に旅に出る――。

 23歳の亜紀子(高畑充希)は、年上のミステリー作家・一色正和(堺雅人)と結婚し、彼の鎌倉の家に“嫁いで”くる。 鎌倉では様々な不思議で奇妙な現象が日常茶飯事で、ここで生まれ育った正和には当たり前のことでも、亜紀子はとまどうばかり。 また、正和は職業柄+趣味が高じて心霊犯罪研究も行っており、地元の鎌倉警察心霊捜査課に協力を依頼されることも。 人ではないものが当たり前に見えて、その存在を肯定する正和の影響もあり、亜紀子も鎌倉の特別性に次第になじんでいくのだが・・・という話。
 原作は読んでいませんが、長いエピソードをたくさん持っている構造っぽい。 だからなんとなくつぎはぎ感があるというか・・・いろんな話のごった煮感が。

  デステニー1.jpg この二人の共演って『クライマーズ・ハイ』以来じゃない?!、と思うとなんだか胸熱。
 作家と編集者(堤真一)、という関係ですが、この二人のやりとりだけで「観た甲斐あった!」と思えました。
 でもそれ以外は、正直いろいろ微妙だったのです・・・120分越えでしたが、途中で飽きることもなく息切れもしなかったのに、なんだか気持ちの中にもやもやがたまってしまって無邪気に楽しめませんでした。
 まず、時代感。 鎌倉の一色家が昔からのお屋敷だからレトロ感あふれる雰囲気なのはわかるし、時代設定的に80年代半ばぐらいかな、と感じるのですが、一部のファッションや小道具に70年代っぽさが感じられるし、でも鎌倉の街を散策する観光客(エキストラ?)の服装は今っぽいし、「守秘義務」って言葉が一般的になったのって90年代後半以降(下手したら2000年以降)だろうし・・・と気になると次々いろんなことが気になって世界に没頭できない。 「昭和55年まで走っていた(江ノ電の)車両だ」という台詞があったので、1980年以降なのは確実としても・・・<いつでもない・いつでもいい時代>にしたかったのかもしれないのだけれど、その時代を生きてきているせいか、その中途半端さに落ち着かない。 逆に若い観客は「思ってたより面白かったね〜」と言っていたので(バレンタイン需要だったのか、たまたま他はカップル客が多かったのです)、気にならなかったのかも。
 和洋折衷の服装、堺雅人はすごく似合ってるんだけどさ〜。

  デステニー3.jpg 田中泯さんがかっこよくて貧乏神に見えません・・・。
 貧乏神・化け物さんなどが普通に日常に存在する、という感じはすごく好きではあるんですけどね。
 ただ、あー、そうか、価値観だ。 23歳で結婚する、というのはかつてはそんなに若すぎると驚かれることもなかったわけで、年齢差のある夫婦も多かったでしょう。 出版社のアルバイトとして初めて正和に会った亜紀子が彼を「先生」と呼ぶのは二人の間のことなので別にいいんだけど、他の人の前で言うのはちょっと・・・(そこらへんに「世間知らずの若妻っぽさ」を出したかったのでしょうが。 後半では、電話で「主人は不在でして」と言えるようになっていた)。 亜紀子さんの天然っぷりもかわいいんですけどね・・・。
 が、いちばん引っかかったのは、「しっかりしてくれよ、亜紀子はこの家の主婦なんだから、家を守ってくれないと」みたいな台詞。 専業主婦がそのように奨励されていた時代というか、「家のことは女性が」みたいな価値観は明らかに今のものではない。 亜紀子が個人的に「自分を捨てても先生を支えます」と考えるのは自由だが、それで当たり前みたいな周囲の受け取り方も現代のものではない。 なのに、中途半端に現代を感じさせるものがあるから落ち着かないのか、もやっとするのか。
 それを「古い価値観だ」と切って捨てるだけの自信や根拠も、実は弱いせいかもしれない(あたしはそう思うけど、世間的にはそれが多数派なのか少数派なのかいまいち確信が持てないので)。

  デステニー2.jpg 死神さん(安藤サクラ)がすごくいい味。 安藤サクラの朝ドラヒロイン決定の報道で、「もしかしてこの仕事、産後すぐですか?」と思い当たるのであった。
 諸事情で行かなくてはいけなくなった<黄泉>のビジュアルが、ほぼ『千と千尋の神隠し』の世界観の実写化でしかないのはがっかり・・・。 そして「ここでは想像力が身を守る武器になる」のに、先生のすることに意外性がない・・・作家でしょ! まぁ、おぼっちゃまだから攻撃するという発想がないのかもしれないけれど、防御の方法は他にもあるでしょう、的な。
 あぁ、あたしって意地悪だな・・・と身につまされる。

  デステニー4.jpg 結局は夫婦の愛の物語、というところに還元されていくのですが・・・。
 正和さんの、咳き込みながらも全力疾走のシーン、すごくよかったです。 ちょっと泣いちゃいました。
 このお二人は日常を取り戻したけれど、それでハッピーエンドではあるんだけど、はっきり描かれないけど、その日常を取り戻すためにある決断をある相手にさせましたよね。 “優しいお坊ちゃま”が自分のしあわせのためにそれを強いた、と考えてしまうとなんだか微妙な気持ちになって・・・。
 脚本を書いたのも山崎監督で、あぁ、やっぱりあたしはこの人と合わない、ということもまた実感。 好きな役者さんたちに、助けられました。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする