2018年02月04日

ダークタワー/THE DARK TOWER

 だいぶ前だが、<『ダークタワー』映画化>というお知らせを耳にしたとき、「また例によって映画化決定詐欺か」と思った。 翻訳物の新刊帯に「映画化決定!」と書いてあっても、本当に映画化されることは少ない(映画化権が売れた、というだけで製作が決まったかどうかはまた別の話。 また仮に映画化されても日本に入ってくるとは限らない、ということも)。 キング作品の映画化は多いが、『ダークタワー』は誰もが認める超大作。 TVシリーズで複数シーズンやるというのならともかく、2時間弱で納めるなんて無理だし。
 ところが、原作『ダークタワー』が再版されたときに、帯には映画の具体的な情報が・・・マジか?!
 『IT〜それが見えたら、終わり』のヒットの便乗ではないことは、こっちのほうの上映スケジュールが先に決まっていたことからもわかるんだけど・・・キング読者じゃないと知らないよ? そんな大規模公開して大丈夫? しかも大幅に原作を変えていることは明白で、だからこそダークファンタジーとしてライトな客層に訴えようとしたのか?
 きっと早く公開が終わっちゃうだろうな・・・と思ったので早めに観に行く。

  ダークタワー映画P1.jpg タワーを守る最後の戦士。 タワーを崩壊に導く者。

 一年前、父親を亡くしてから様々な悪夢を見るようになったジェイク(トム・テイラー)はニューヨークに住んでいる。 悪夢の中心は巨大な塔とそれを破壊しようとしている黒衣の男。 この塔が破壊されればジェイクのいる世界も壊滅してしまう、と本能的に感じ取っているジェイクだが、誰も本気で取り合ってくれない。 ただひたすらに夢の光景を絵にするジェイクだが、彼にとっての唯一の救いは、黒衣の男を追いかけ、倒そうとするガンスリンガーの存在だった・・・という話。
 いつしかジェイクは夢の断片をつなぎ合わせ、彼らのいる世界へ辿り着く。 ガンスリンガー(拳銃使い)最後の一人ローランド(イドリス・エルバ)と出会い、一緒に黒衣の男ウォルター(マシュー・マコノヒー)を追いかける。

  ダークタワー映画3.jpg カ・テット(原作にある“仲間たち”、彼らの総力戦で闇に対抗する)のない<ダークタワー>なんて・・・と思いつつ、テーマを突き詰めれば主な登場人物はこの三人ということになってしまうか。 ジェイクの生い立ちも原作とは違うが、その分<父と息子の絆>に一つのテーマは収斂される。
 ファーストカットから不穏な空気全開でドキドキするが、同時に「あ、原作と全然違う<ダークタワー>だ」とわかる。 わかってはいたけど、「ほんとに違うんだ」とはっきりされるのとはまた別で、違う物語として受け入れる心構えができました。
 とはいえローランドと言われて、イドリス・エルバには特別違和感はなかった。 帽子はかぶらないの?、ぐらいで。 ジェイクはもっと小さい子かと思っていたので、意外と年齢が上なことにびっくり(でもジェイクらしき繊細さは見て取れたので、それを踏まえたキャスティングだったのかと)。
 が、なにしろパワーがあるのはマシュー・マコノヒーですよ。

  ダークタワー映画2.jpg あたしの持っていたウォルターのイメージよりずっと若かったですが・・・すがすがしいまでのまがまがしさ、史上最強のサイコパスっぷり、個人的には絶対近づきたくないけど魅力的。
 話の足りない部分(あえて省略されているところも勿論あるけど)を役者の力でかなり補っている感が。 でもそれ込みで意図してつくったんだろうなぁ、という気も。 キング作品のいろんな部分をチラ見せするところとか、クリムゾン・キングにちろっと言及したりとか、「原作をきちんとわかったうえでやってます」と伝えてくれているし。 あ、ジェイクの能力を“シャイン:輝き”と表現していたけれど、これは『シャイニング』・『ドクター・スリープ』とのつながりを示すためか(原作では違う名で呼ばれていたはず、忘れたけど)。

  ダークタワー映画4.jpg なにしろ拳銃使いですから、ガンアクションのシーンは超かっこいい!
 弾丸を込める超高速の流れるような仕草が特に美しくて。
 ここは盛り上がりますね〜。
 でもなんか・・・そもそもダークタワー:暗黒の塔とは何なのか(世界の均衡を保つものと説明はされますが・・・それだけ)、何故ガンスリンガーは塔を守るのか、といった根幹にかかわる設定がさらっと流されている。 ラストシーンでは「えっ、子供向け?」と思ってしまうような感じで・・・悪くはないんですけど、なんだか拍子抜け感。
 でも93分でまとめちゃった、という事実の前には感嘆するしかないのでしょうか。
 もしかしたら、並行世界においてカ・テットの一人一人に別バージョンの物語があって、これはジェイクのひとつの物語、ということなのかもしれない、とエンドロールを見ながら納得。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする