2017年12月04日

ジグソウ:ソウ・レガシー/JIGSAW

 『SAW』シリーズが帰ってくると知って・・・「や、やめたほうが」と思った。
 一作目はそりゃ素晴らしかったですよ! でも回を追うごとにどんどんひどくなっていき・・・『ザ・ファイナル』が来た時にはホッとしましたからね。
 でも、シリーズ再開に当たり(今後、続くかどうかはわからないけど)、『デイブレイカー』『プリデスティネーション』のスピエリッグ兄弟が監督と聞き・・・予算低めの中でも自らのビジョンを明確にできる監督というイメージだし、その監督が「脚本が素晴らしかった」と言ってるみたいだし、予告のコピーも第一作目を連想させるものだったので、「もしかして・・・」というほのかな期待を捨てきれず、観に行く。 今年はホラー充実してるし!、という感じもあったし。

  ジグソウ ソウレガシーP.jpg 最前列に座れ。

 連続殺人犯ジグソウことジョン・クレイマー(トビン・ベル)が死んでから10年がたった。 しかし、無残な殺され方をしたある死体の皮膚がジグソーパズルのピースのように切り抜かれているのがわかる。 傷口からはパッキングされたUSBメモリが見つかり、それにはジグソウの声が収録されていた。
 ジグソウはまだ生きているのか? それとも後継者の仕業なのか? だがどこかでゲームが起きていることは間違いない。 懸命に捜査する警察側だったが・・・そしてゲームの参加者たちの様子が同時並行で描かれ、彼らの運命が決まっていく・・・という話。

  ジグソウ ソウレガシー3.jpg ゲーム外部の描写が多いのが特徴ですかね。
 一連の<ジグソウ事件>から時間がたっているということで・・・世間には(というかネット上には)ジグソウマニアな方々がたくさんいる模様。 研究家と言えば聞こえがいいですが、それぞれの得意ジャンルによるマニアック化が進んでいるっぽく・・・正規の(?)後継者争いとは別に、ここから模倣犯が出そうな気配も漂わせつつ。

  ジグソウ ソウレガシー1.jpg そして過去に犯した罪から目を背け続けてきたために、ひどい目に遭うみなさん。
 因果応報という言葉がありますが・・・<ジグソウ哲学>がある程度観客に支持されてきたからシリーズが続いたのも一要因ではないかと。 あたしはジグソウを肯定はしませんが、まったく理解できないというわけでもなく。
 他人の命を尊重しない人が増えている、というジグソウの主張の一部は、「家族のためならば何をしてもかまわない」というアメリカ的価値観への挑戦でもあり、「罪を命がけで償え」というのは死刑廃止の世界的流れに対する問題提起(人間はそこまで精神的に成熟していない)ではないかと、ふと思ってみたり。 勿論フィクションだからこそ、娯楽としてこの映画を観ることができるわけで。 そう考えるといろいろ矛盾してますが。

  ジグソウ ソウレガシー2.jpg 事件を追う刑事さん。 どこかで見たことがあるので過去作に出ている人かと思ったけど・・・どうやらそうではなかったらしい。
 一応、『SAW』シリーズは全部観ているんですが・・・年表を作れるほど詳しく見入ってはいないので(4作目以降は人間関係の把握をあきらめたような気もして、「後継者、本命はあの人だろうけど、もう誰でもいいよ」みたいな気持ちに)、サブキャラクターの記憶が薄まっている。
 まぁ、いちばんの存在感を放つのはジョン・クレイマーなので、彼のお元気な(?)姿が見られてよかったです(別に、彼は生き返ったとか、そういう反則的裏技は使われてはいないのでご安心ください)。
 レガシー、という邦題の通り、ジグソウの<遺産>が事件のカギを握ることになりますが・・・あとだしじゃんけん的な印象は拭えず(ま、あとから話をつなげているので当たり前ではあるのですが)。 意外にもグロさはこれまでシリーズが行きすぎだったせいもあってか、控えめです! 怖いよりも痛い、になっちゃっていたから、その分物語に重きを置いたのはよかったと思う。
 原点回帰しつつ新しい方向性を示したかな、という気はするかな。 新章開幕!、みたいなチラシのあおりでしたが、実は『SAW ザ・ファイナル』のラストシーンと符合している部分もあるので、バランスはとれているかと。 ラストの早送り種明かしがちょっと短かったのが残念。
 初代が偉大だと後継ぎは苦労するというか、先代の理想が次世代には同じように継承されないなど、実社会でも起こりうる問題がやはりここでも起こるんですね。
 やっぱり、ジェームズ・ワンとリー・ワネルはすごすぎましたよ・・・。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月02日

おやすみ、リリー/スティーヴン・ローリー

 図書館から借りた本。 予約が詰まってますが、意外にあっさり読み終われた。
 フリーライターである著者にとって半自伝的な小説だそう。 ダックスフントの愛犬リリーをなくした気持ちをまとめた短編を膨らませて、長編化したものということで・・・でもあたしにはマジックリアリズム手法はちょっと合わない、ということを改めて感じさせてくれた。 どんな荒唐無稽設定でもむしろ、それが現実であるほうが受け入れやすい。 現実を見せつけられることで、虚構部分に冷めてしまうようだ。

  おやすみ、リリー.jpg 赤いボールはリリーのお気に入り。

 <ぼく>はメスのダックスフント・リリーと二人暮らし。 彼女とお気に入りの若いいい男のどっちが好みか話し合うのも習慣になるくらい仲良く暮らしている。 しかしある日、<ぼく>はリリーの頭に邪悪な<タコ>がとりついていることに気づく。 このままでは<タコ>にリリーを奪われてしまう。 <タコ>と戦い、やっつけるために<ぼく>とリリーは冒険の旅に出る・・・みたいな話。
 <タコ>とは腫瘍の例えであるが、タコを食べる日本人としてはタコにあまり邪悪なイメージがないので・・・<ぼく>の憎しみにあまり感情移入できない、というマイナス要因がある。 しかも<ぼく>のあまりにも入れ込みすぎなリリーへの愛情に、若干引く。 長く付き合った彼氏との別れを引きずっているのはいいんだけど、セラピストに敵意むき出し、ジアゼパムをなめながら酒を飲む(しかも結構飲みすぎ傾向)、という自己憐憫に満ちた態度が気に食わない。 このへんはあたし自身にもそういう要素があるから、同族嫌悪的な感じなんだろうなぁ、と思っちゃうけど。
 <ぼく>はとにかく愛されたくて、安定した関係の恋人も欲しいし、40歳過ぎても母親のはっきりした愛情を求めているアダルトチルドレンなんだけど、彼が愛している(とはっきり表現する)のはリリーに対してだけで、他の人間関係においては臆病すぎたり、逆に壁を作ったり。 気持ちわかるけど、だからなんかイライラ。 リリーへの愛が、自己愛の裏返しのように思えてしまうから。 マジックリアリズムだから余計に、精神的にあやうい人の妄想みたいに見えちゃう。
 けれどリリーの興奮した時の喋り方はかわいい。
 そしてリリーのおかげで、<ぼく>も成長できるんだけど、時間がかかりすぎというか、こういう極限状態にならないと気づけない・目覚めないものなんですね・・・と思うととてもかなしい。 人間のダメさ加減を思い知る。
 だからといって犬を飼いたくなったわけではないのだが・・・多分あたしにはそのような“愛情の対象”がなくても平気なタイプらしい。 ペットを飼っている人には号泣ものだというのはわかるのだが(でもやはり<ぼく>に対して感情移入できない場合があるかもしれないが、リリーの健気さは変わらないから)。
 悪くはないんだけど・・・やはりマジックリアリズム手法かな。 それも洗練された効果的な使い方とはいえないから(もしかしたら作者本人はそれと意識して書いてないのかも)。

ラベル:海外文学
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

今日は4冊。

 あぁ、12月になってしまった・・・時間のたつ速度がおそろしい。

  ハンナ18.jpg ダブルファッジ・ブラウニーが震えている/ジョアン・フルーク
 10月の段階で新刊紹介になかったので、今年は出ないのかと思ったよ・・・。
 まぁ、大概9月〜11月のうちに出るからさ、11月30日発売というのはかなり遅いほう。 何故こんなに待たされたのかと思ったら・・・どうやらシリーズの中でもターニングポイントになる、引っ張る内容になりそうだからかも。
 でもシリーズ18弾ともなると新しい読者の参入が難しくなるのか、訳者あとがきで第一作のあらすじと初期設定をおさらい。
 コージーだし、合間にお菓子レシピがたくさん載ってるし、一冊をせいぜい2・3時間で読み終えられるから、重たい内容のシリーズものに比べたら読みやすいとは思うんですけどね。 年末年始休暇で一気読み!、とかできそうだから、この時期に発売?

  進化した猿たちザベスト.jpg 進化した猿たち The BEST/星新一
 もともとは全3巻。 あたしはずっと前にハヤカワ文庫版を古本屋さんで買ったのを読んでいて、ときどきぱらっと開いて読みだしてしまうと止まらない・・・という大変困った本だった(妹も同じ)。 星新一の版権がすべて新潮社の一括管理だと知ってからは、もう出ないのかと思っていたら、実は新潮文庫から全3巻出てたんですね。 それも絶版になったのか、今回、傑作選という形で抜粋されて一冊にまとまる。
 うわー、なつかしい!、と思ったが・・・ハヤカワ文庫版と1コママンガのレイアウトが違うから(活字ももっと小さかったから一項目あたりがもっと短かったような気がした)か、どうもなんかノレない・・・。

  狩人の手.jpg 狩人の手/グザヴィエ=マリ・ボノ
 おぉ、またフランスから強烈そうなのが来た〜!
 考古学者の無残な死体、とかまた一癖も二癖もありそうな・・・。
 また表紙が怖そうなのもなんとも。

  ベスター イヴのいないアダム.jpg イヴのいないアダム【ベスター傑作選】/アルフレッド・ベスター
 河出書房新社の<奇想コレクション>の文庫化が進まないなぁ、と思っていたら、創元SF文庫が『願い星、叶い星』に短編2作を追加して文庫化してくれた!
 でもタイトル変えられるとわかりづらいよ・・・。

ラベル:新刊
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする