2017年11月07日

サイレント/カリン・スローター

 <ウィル・トレントシリーズ>というか、カリン・スローターはしばらくいいかな・・・と『閉ざされた瞳孔』を読み終わって思ったのですが・・・予想以上に早い再会(再開?)。 図書館の予約が思っていたよりずっと早く回ってきちゃったのです。 次の予約を待っている人もいるので早く読んで返さないと。 でも、予想よりも早く来た理由はわかった。 上下巻だけど各巻約300ページという薄さだったのですぐ読めちゃうよね〜。 だったら上下巻に分けずに一冊にしちゃえばいいのに・・・。

  サイレント1.jpegサイレント2.jpeg 前作『ハンティング』との統一性を出したかった?

 一応、<ウィル・トレントシリーズ>ではありますが、はじまりはほぼサラ・リントンの独壇場。 『閉ざされた瞳孔』から始まる<サラ・リントンシリーズ>は6作で終わったようですが(しかし残り5作の日本語版は未刊行。 こっちの続きもよろしく!)、『ハンティング』から<ウィル・トレントシリーズ>にサラがゲスト出演し、その後もそれは続く様子。 クロスオーバーというべきか、シリーズが合流したというべきか。
 ただ、当然のようにサラのその後(『閉ざされた瞳孔』のあと)についてがんがんネタバレしているので・・・(事件のことではないが、私生活や人間関係について)、ちょっと微妙な気持ちになる。 だったら未訳のサラ・リントンシリーズは読まなくてもいいのかも。
 まぁ、ともかく今回サラは実家のある懐かしい町に仕事の関係で短期間戻ってくる(それが『閉ざされた瞳孔』と同じ舞台なので個人的に紛らわしい)。 そんなとき、湖から若い女性の遺体が見つかり、容疑者と目された男は逃走途中で若い刑事を刺し、逮捕・拘留された。 それだけの事件だったはずだが、逮捕されたサムはサラが小児科医をしていたときによく診ていた知的障害のある青年で、彼に女性を計画的に殺すなどできないと力説。 が、警察は彼女の話を信じようとしないのでGBIに電話し、調査を依頼。 そうしてこの町にやってきたのはウィル・トレントだった・・・という話。
 今までのカリン・スローター作品とちょっと違い、残忍で凄惨な手口・二転三転する事態、といった展開にはならない。 それを期待すると肩透かしになるかも。 むしろ今回描きたいのは、小さな町における警察の意義というか、署長が変わるだけで警察署の姿勢すら変わってしまうという田舎の状態というか、人間関係重視という気がしました。
 法と正義を身をもって執行していた署長であったジェフリーと、そのジェフリーが死んでしまったあとの違い。 腐敗が始まるとなるとあっという間という組織。 ジェフリーの死を受け入れられなくて、当時の相棒であった刑事レネへの恨みと憎悪を隠そうともしないサラ。 罪悪感と自己弁護の板挟みにあっているレネ。 その他いろいろ、様々な感情が渦巻いている町に、明らかに警察の敵とみなされる立場でやってくるウィル。 読みどころはほぼそんなところです。 事件そのものは割と単純。 
 ただウィルの相棒フェイスは出産直前で産休中。 それでもぎりぎりまでFAXと電話を使ってウィルの手助けをするフェイスは根っからの警官で、かつウィルの世話をする親戚のおばちゃんみたいな立ち位置になってるような・・・ま、ウィルにはそういう存在は必要だと思いますがね。
 お互いに“魂の半分”と言える相手がいながら、それでも埋められない空虚さを持つウィルとサラは今後どうなるのか、という期待を持たせるエピソードでもあったりして。 結局シリーズ物は人間関係になっていくのかなぁ。 次回作でまたはじけた事件に遭遇するのかどうか、このシリーズの真価が問われそうです。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする