2017年10月10日

新感染 ファイナル・エクスプレス/TRAIN TO BUSAN

 毎回言っているようですが、あたしは韓国映画が苦手です。 ハングル文字を見ると頭が痛くなるし(似てるけどちょっと違うものがたくさん並ぶと、その違いを認識しようとして目がフル稼働してしまい、結果として眩暈を起こしかねない)、日本語と文法的に語順が同じだということはわかるけど口調が常に怒っているみたいなのがイラっとするとか、まぁ理由はいろいろありますが・・・今回は韓国初のゾンビ映画ということで、ゾンビ映画(ロメロ系)好きな身としては放っておけなくて。 監督も元々アニメ出身で、日本のアニメ映画やジョージ・A・ロメロへのリスペクトをインタビューで口にしていたから。
 しかし『釜山行きの列車』(原題直訳)はちょっとダサい。 邦題『新感染』はダジャレではあるものの、妙な勢いはある。 久し振りに成功した邦題かな?

  新感染P.jpg 何があっても、守り抜け!

 オープニングで、張られた非常線を抜けていく地元の車、それに衝突してしまう鹿、それから感染してあやしくなってしまうドライバー、という一連のシークエンスはなかなかよい出来で、いい雰囲気の緊張感があった。 それで期待してしまったんだけど・・・さすが韓国初のゾンビ映画、「お勉強して作りました」感がだんだん出てきてしまって・・・残念だった。
 ファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)は自他ともに認める仕事人間。 ソウルの高級マンションに住んでいるが、妻とは別居中、幼い娘スアンの世話は母親に任せっきりの毎日だった。 しかし娘の誕生日、母親と過ごしたいとねだられ、妻がいるプサンへと娘を送り届けるため、ほぼ始発のKTX(韓国の長距離特急列車)に乗り込むことに。 それなりに混雑してきた車内に、挙動不審な女性客が乗ってくる。 彼女は何かに感染しており、苦しんでいる彼女を見つけて介抱しようとする乗務員にかみつき、得体の知れない何かと凶暴性は伝染していく。 それを目の当たりにした乗客からパニック状態も特急列車内に瞬く間に伝染していくが、車内TVによれば韓国の各地で暴動が起こって軍が鎮圧に動いているという話。 それはこの騒動と関係があるのか? ソグは乗客のサンファ(マ・ドンソク)とその妻で身重のソンギョン(チョン・ユミ)らとともに娘を守りながら生き残り策を模索する・・・という話。
 とはいえ、ソグは基本「自分とその関係者さえ無事なら他は関係ない」という実にファンドマネージャー的な考えの持ち主で、主人公なのにここまで感じ悪いやつも珍しい(『トガニ 幼き瞳の告発』の人だとすぐに気づかなかったよ)。 多分農村出身で(同居している母親がやってることがそれっぽかった)、今の地位に這い上がった自負もあるのだろうし、エリート意識と貧乏に戻りたくない感覚がないまぜになっている人という感じ。 娘と一緒にいても、娘をほぼ優先しないところはあまり一緒に過ごしていない証拠でもある。 だから他の乗客たちのいいところが引き立つというか、特にサンファは顔が怖くて態度も一見粗暴であるが、誰より妻を大切に思っていて正義感が強い人であることが目立ちます。

  新感染3.jpg こういう体がねじれたような動き、お約束ですね。
 まぁ、ゾンビ映画というか、正確にはパンデミック系映画に分類されるのですが、何かに感染した結果、全員が同じ特徴を持ち同じ行動をとり、次から次へと非感染者に襲い掛かって感染者を増やしていく・・・という属性がゾンビ映画っぽいところ。 国が非常事態宣言を発令し、実際は違っても「鎮圧は時間の問題」とか発表するあたり、ロメロ的社会風刺の流れも汲んではいる。 
 でも、そもそもこのような非常事態において自然ににじみ出るのがその人間の本性なので、過度の装飾は必要ないと思うのです。
 なのに、子供や老人、果ては妊婦まで揃えるとは・・・感動させようという意図が丸見え(それとも、韓国映画においてはそういう部分がないとダメなんでしょうか)。 しかも絵に描いたような嫌なやつも出してきて、「こいつ、早く死ね」と思わせちゃうあたりもキャラ的な計算を感じてしまう。 あぁ、すんなり楽しめないなんてあたしはどんどんひねくれ者になっていくなぁ!

  新感染1.jpg 先頭車両を目指して大奮闘。
 心を金に売ったような人間を主人公に据えたのは、極限状態において何が最も大切なのか気づかせるため、人として目を覚まさせるため。 だから社会的弱者ともいえる妊婦や老人、高校生や浮浪者といった方々に見せ場を作り、「人間らしさとはなんなのか」と訴えてくるのはいいのですが、それに<家族の絆>的なものまでのっけてくるのは重すぎます・・・結果的に泣いてしまうのはありだけど、最初から「泣ける映画です!」と宣伝するのはいかがなものか・・・(これは日本における映画宣伝の問題でもあるが)。
 だから最初の頃の被害者はあっという間に感染するのに、観客が感情移入できるようになってきたキャラは感染するまで時間がかかるという現象に少し違和感(かまれる場所によって違うとかルールはあるみたいですが、そこらへんはちょっと微妙)。 なんかずるい!

  新感染4.jpg 感染者たちの襲い掛かり具合とかは韓国映画らしくグロさも容赦なし。 「人(?)がごみのようだ」をリアルに表現しております。

 結構各方面で絶賛されているこの映画ですが、ちょっとあたしには微妙だった。 途中、中弛みを感じてだるくなったこともあり。
 まったくダメではないんだけど・・・「お勉強感」が見えちゃったのがつらかったか。
 むしろラストシーンはバッドエンドで終わってくれたら、また評価が変わったかも。
 今後、韓国発のゾンビ系映画がどのように発展していくのかによっても、変わるかもしれないかな。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする