2017年10月06日

早川書房、おめでとう!!

 家に帰ってきてシャワーを浴び、髪をタオルでガシガシと乾かしながら、「あー、ヨーグルト食べようか」と思ったとき。
 なんとなくふと思いついて、タブレットのスイッチを入れた。
 <速報>として、「ノーベル文学賞にカズオ・イシグロ氏」の文字。
 「へーっ!、すごーい」と思わず声が出てしまった。
 ここしばらくノーベル文学賞受賞者は知らない人か読んだことがない人がずっと続いていたので・・・(ボブ・ディランは除く)。
 自分が知っている、読んだこともある作家で、しかも自分としては好印象の相手。 なんかすごい。 これが同時代感?
 まだご本人若いから、候補に挙がっているとは思ってなかったから余計びっくりだった。

 で、同時に思ったことは、「早川書房、おめでとう!!」である。
 現在、カズオ・イシグロの著作の版元はすべて早川書房なのです。
 その時点でツイッターのトレンドワード上位に<早川書房>が入っていたので、思わずクリック。
 そこには「早川書房、おめでとう!!」的なコメントがごそっと続いており・・・(うち半分ぐらいは、そのあとに「カズオ・イシグロ特需で儲けが出たら、中断してる『〇×』(人によって違うが、翻訳物のSF)の続きを出してね」と書いていたりして、ここの出版社事情に詳しい人たちの存在を教えてくれる)、なんだか読んでてジーンとしてしまっていた。
 勿論、<早川書房>という出版社のことを知らない人もいて、知らない人がいるということにショックを受けている人もいて、TVニュースで早川書房の社長がインタビュー受けていたことを教えてもらい、帰宅途中だった営業部員がニュースを知って自主的に会社に戻り、鳴り止まない電話に対応して結構動揺してたこととか(「入社して初めて5桁の注文を受けた」とか・・・)、これまでにない大騒ぎの早川書房の様子を垣間見ました。 ツイッターは多少更新されているけれど、HPのニュース欄にもフェイスブックも更新されていない。 注文殺到の電話に全社一丸となって対応したことがうかがえる。
 しかもタイミングがいい。 10月19日にカズオ・イシグロの新刊『忘れられた巨人』が文庫になる。
 でも、ハヤカワ的には映画『ブレードランナー』続編の公開に合わせてフィリップ・K・ディックまつりを開催中なんだよね〜。
 確かに<特需>はあるだろうけど、大量の増刷はハヤカワの契約印刷所に可能だろうか・・・今月前半の新刊がだいたい刷り上がっているタイミングとはいえ。 カズオ・イシグロの著作はそれほど多くないうえどれも絶版になっていないし、すべて電子書籍化されている。 大きい本屋さんならそれなりの在庫を抱えているだろう。 あまり早川書房の人たちに負荷のかからない方法で、この時期を乗り切ってほしい。
 早川書房の知名度が上がるのはすごくうれしいことだし、主にSFとミステリの翻訳書中心の専門出版社の老舗でありながら、しばらく前から科学ノンフィクションにも力を入れているし、SF・ミステリ要素はあるけどより文学性の高い作品も発掘してきている(その結果がこれ)。 なにより今はあまり売れない翻訳物に力を入れてるんです!、という会社の姿勢がもっと広まってほしい。
 なんか、「カズオ・イシグロおめでとう」なんだけど、それが「早川書房おめでとう」になっちゃっているあたりに、一部SF・ミステリジャンルを愛する人たちの早川書房への愛を感じ取って(勿論その気持ち、あたしも同じなんだけど)、とにかくうれしいのです。
 だから逆に、「カズオ・イシグロ、ありがとう!!」みたいな気持ち。

ラベル:海外文学
posted by かしこん at 03:01| Comment(0) | 本・読書 reading books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする