2017年05月14日

特捜部Q −吊された少女−/ユッシ・エーズラ・オールスン

 ハヤカワの新刊案内でこれの文庫版が出ると知り、「だったらもう図書館で待たずに借りれるのでは」と探してみたところ、すぐ見つかりました。 人気シリーズを予約で待って借りて読むのもいいのだけれど、延長できないから、こうやって忘れた頃の読むのもまた一興。 ジェフリー・ディーヴァーも周回遅れなあたし、「一分一秒でも早く読みたい!」という情熱は、やはり若さと時間に余裕があるものの特権だな、ということをしみじみ感じる今日此頃。 多少遅れても、読めたらいいじゃないか、に変わりつつある自分がいるので。

 気がつけば<特捜部Q>シリーズも6作目ですよ!
 それだけカールやアサドと付き合っているわけですが・・・カールの相変わらずのやる気のなさにはほんと腹が立つ!
 『ミレニアム4』でミカエルがボケボケなうっかりさんではなくなってしまったことに一抹の寂しさを感じたのに、カールの変わらなさにはついイラっとしてしまうという・・・読者って、勝手です。 アサドやローセはそれなりに成長しているというか、そういう部分が見えるだけに、カールのダメダメさ加減が目立つからでしょう。 たとえそれが、事件捜査の際に災厄に巻き込まれた反動だとしても。

  特捜部Q06吊された少女.jpg ポケミスサイズにも慣れてきたどころか、違和感なくなった自分。

 ボーンホルム島の警察官からの調査依頼の電話を、カール・マークが軽くあしらったことからおおごとになり、結果<特捜部Q>は17年前の轢き逃げと判断された事件の背景解明を余儀なくされることに・・・という話。
 序盤はかなりショッキングなシーンの連続で、「またリアルに具合悪くなるのだろうか・・・」と思ったのも束の間、特捜部Qの面々は地道にといえば聞こえはいいがどちらかといえばモタモタと捜査を開始する。 重要な証言を取れそうな人からはなにも聞き出せず、いろんなことを見逃している。
 そして彼らと交差するように、スピリチュアルヒーリングセミナーが入口になっている新興宗教にのめり込んでいく現状がつらい人たちの描写がさしはさまれ、大変暗い気持ちになる。 あたし自身は特定の信仰を持っていないので、<絶対帰依>の感覚ってただひたすら恐ろしいとしか感じられないのだけれど、そこに救いを見い出してしまう人たちの生活っていったいどんなものだろう。 想像するだけで、つらい。
 そんな宗教話に結構なページ数を割かれて困ってしまったのだけれど、それがアサドの過去をわずかでも紐解くための伏線なのか・・・と思えば付き合わざるを得ないし。
 そして相変わらず、二人揃って命の危機にまたしても(というか、毎回)陥るカールとアサド。 いい加減に学習してほしい!
 アサドがかわいそうでしょう!
 でも、そうやって死地を共にくぐりぬけてきた過去が積み重なっているからこそ、カールはアサドに対して信頼感を強め友情を感じているのよね・・・けど、そういうのがないと成立しないのか。 男の友情ってめんどくさいなぁ。 その点、一致団結すると女の友情のほうが素直で簡単だと思う。
 この物語自体は<特捜部Q>の中では特筆すべき事件ではないけれども、シリーズの流れでいけばアサドの過去が少し、けれど重要なことがわかり、カールの巻き込まれた災厄についても少し進展があった。 こういうところがシリーズ物のずるいところなのよ!
 シリーズの最後までこの謎は引っ張られるんだろうか・・・続きが気になる。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする