2017年04月09日

マン・ダウン 戦士の約束/MAN DOWN

 ポスターのイメージから、「終末感漂う滅亡系、しかも軍人が絡む作品をシネ・リーブル神戸でやるなんて珍しい〜」と思い、ほぼ興味本位で観た。
 シャイヤ・ラブーフくんが特に好き!、というわけでもなくて、ほんとにたまたま。 またちょうどタイムスケジュールがそのとき都合のいい時間だったのもタイミングで(一週逃すとガラッと変わってしまうこともあるので・・・公開2週目以降はほんとに上映時間を読むのも難しいのですよ)。

  マンダウンP.jpg 愛する者を守ること。 ただそれだけが男の願いだった――。
   衝撃のラスト7分46秒、あなたの心は“えぐられる”。

 アメリカ海兵隊の一員、ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)は妻のナタリー(ケイト・マーラ)と息子のジョナサン(チャーリー・ショットウェル)を残し、アフガニスタンへと向かった。 妻子との再会、無事の帰国を心の支えにして過酷な任務に耐え、ようやく帰還を果たすことになったのだが、戻っれみればアメリカは廃墟と化し、故郷の街に辿り着いても住民たちの姿はどこにもいない。 一緒に帰還した親友のデビン(ジェイ・コートニー)と共に、ナタリーとジョナサンを懸命に探すガブリエルだったが・・・という話。
 ちなみに「マン・ダウン」とは、なんらかの理由で兵士が戦闘不可能な状態になることを指す軍隊用語。
 時間軸が混在していること、これがこの映画のいちばんの特徴。 というか、時間経過通りに描いてしまったら筋立てはごくごくシンプル、むしろ退屈なものになってしまうかも。 何が起こっているのかわからない、という混乱具合が観客を引き込むし、ガブリエルのパニックさ加減にいささかでも共感できるから。

  マンダウン4.jpg inアフガニスタン。
 海兵隊訓練時代の様子も挿入される。 いかにしてガブリエルが一人前の兵士となったのかの過程が描かれることで、サバイバルな日常を生きるのちの姿に説得力が出るわけで。
 シャイア・ラブーフくんはそんなに好きだと思ったことはないのですが(しつこい)、これは好演だったな〜。 タフさと弱さ、冷静さと混乱、非情さと優しさ。そんな相反する感情をうまくミックスしていた。 というか息子がいてもおかしくない歳になったのねー、としみじみしちゃったというか。

  マンダウン2.jpg 上官との面談。
 アフガニスタンの作戦中になにかあったようなのだ。 上官(ゲイリー・オールドマン)がガブリエルに何があったのか語らせろうとするのだが、ガブリエルは詳細な説明を拒む。
 このあたりからこの映画が構造的に仕組んでいるものの正体が見えてくるのであるが・・・見えたからといってロジカルミステリのようにすっきり爽快とならないところがそもそものテーマと絡んでいるところで。 どんどん気持ちは重くなる。 彼が背負ってしまったものの深刻さや、根の深さといったものに。
 でもゲイリー・オールドマン、最近老け役な感じが多かったからちょっと若く見えちゃったよ。
 いろいろ語るとネタバレになってしまうので多くは言えないが、ポイントになるのは荒廃した街でスティーヴと名乗った何かを知っているようでいて何も知らないと語る謎の人物の存在。 これがクリフトン・コリンズ・Jrだったのでびっくりでした。 なんか久し振り!(オープニングクレジットで気づかなかったのは、「クリフトン・コリンズ」と出ていたからだ。 いつの間にJrがなくなったのだろう。 改名?)、とうれしくなる。 気になる俳優さんに不意に遭遇できるほどうれしいことはない。

  マンダウン1.jpg ついに息子を奪還、が・・・。
 で、いろいろ要因はあるのだけれど、これもまた<父と息子の物語>だったりするのだ。
 そういう<男同士>の観点から見ると、心配してばかりのような妻・母親って邪魔者のような存在に描かれがちなんだよね。 でも母と娘や母と息子を描けば父親の存在が微妙になるし・・・親と子の関係というものを両親と子供同等に描くことは難しいのだろうか(もしくは理想的過ぎて物語にならないとか?)。
 そう考えると上官と彼の関係も疑似親子的ではあるのだ。
 自分の立場から精一杯な気遣いを見せるものの、心がかたくなな彼には届かない的な、そこは屈折した関係ではあるのだが。
 とはいえ、<戦争>というものがどのような形であれあらゆるものを破壊してしまう、破壊されていないように見えても中身はわからない、ということには変わりはなくて。 なのでこれもまた、SF的手法を借りた反戦映画といえるだろう。
 なんでミニシアター系で公開になったのか、納得。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする