2017年04月03日

ステイ・クロース/ハーラン・コーベン

 最近、ハーラン・コーベン原作のドラマを見ることが多かったので、本人の作品を読んでみようかな、という気になって、図書館で探す。
 フランスでドラマ化された『ノー・セカンド・チャンス』はドラマでは主人公が女性だったが、原作では男性だったので驚いた。 子供が誘拐される話なので、父親よりも母親が主人公のほうが視聴者の共感が呼べるという判断であろうか。 でも他の国でドラマ化されるんだから、ハーラン・コーベンは結構アメリカで人気のある作家なのだろう。
 そんなわけで、あたしが今回選んだのはこちら。

  ステイクロース.jpg “STAY CLOSE”(=「そばにいて」)
 あ、これ、ちょっと前に気になっていたやつだ、と表紙を見て思い出す(というか、表紙にそのとき惹かれたというか)。
 こんなところで再会するとは。 表紙の印象は残っていたんだけれど、作者どころかタイトルも覚えていなかったので。 なにがどこで繋がるかわかりません。

 アトランティックシティの有力者の息子が忽然と消えたのは、2月18日。
 かつては実力派の報道カメラマンだったレイは今では雇われパパラッチに身を落としているが、その日、仕事のさなかにとんでもない写真を撮っていたことに気づく。
 市警察の刑事ブルームは17年前の同じ日に起きた失踪事件を思い出し、新たな側面から調査を開始。 すると、18日周辺の時期に毎年男が行方不明になっていることを突き止める。 そんなとき、17年前行方知れずになっていた(その男と一緒に逃亡したのではないかと思われていた)元ストリッパー・キャシーがブルームの前に現れる。 キャシーは偽名で、過去を封印し、本名のメガンとして家庭をつくり普通の主婦としての人生を掴んでいた。 彼女の証言やブルームの調査によって、行方不明になった男たちはみなDV疑惑や、女たちに尋常ではない暴力をふるうタイプであることがわかっていく。
 そしてレイもまた、17年前のあの日に人生を狂わされた一人であることも。
 謎の「目的のためなら手段を選ばない」若いカップルも登場し、事件は複雑怪奇に絡み合っていく・・・という話。

 作中に何度も登場する、「歴史あるボードウォーク」。 途中で、「これって『ボードウォーク・エンパイア』に出てくるのと同じもの?」と気づいて驚く。 そうだ、舞台はアトランティック・シティ。 禁酒法時代とアル・カポネ。
 彼女たちの抱えていた<虚無>が街のたたずまいと不意に結びつく。
 確かに事件はある、犯人はいる。 でもそれは些細なことに過ぎないように思えてしまった。
 それよりも、群像劇であることのほうが印象深い。 誰もが主役でありえるのに、この物語の主役ではない。 ただそれぞれが、それぞれの人生を生きている。 もしかしたら、ギリギリのところで。
 作品そのものが、ハードボイルド。
 これまで読んできたものとは違う種類の“重さ”を感じてしまった。
 ちょっとしばらく、ハーラン・コーベン、いいや。 間を置こう。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする